ドラクエ5冒険日記(3) | カインの冒険日記

カインの冒険日記

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ビアンカと少年たちとの約束。
それはレヌール城のお化け退治。
約束したのはビアンカだけど、
お化け退治につきあうことになってしまったカイン。
一方で、父パパスは、
サンタローズへ帰る準備をしている。

ビアンカ、悪いけど、僕はこれで・・・。
カインがそう言おうとした矢先に、
ダンカンの妻がパパスを呼び止める。
「ちょいとお待ちよ。せっかく来たんだ。1泊してお行きよ。」
パパスは、少し考え、答える。
「では、お言葉に甘えるとしよう。な、カイン。」
ビアンカはそれを聞いて、
カインに親指を立てながら目配せをした。


夜。
パパスが寝たのを確認して、
ビアンカはカインを起こしに来た。
「準備はいい?レヌール城にいくわよ。」
眠いのもあり、
猫とお化け退治の取引が釈然としないのもあり、
カインは、いまだ気乗りがしなかった。
しかし、主導権はすでにカインにはなく、
それはビアンカが握っていた。
そして、カインの中に、
ビアンカを慕う心もまた芽生えてきていた。
猫のためじゃなく、お化け退治のためじゃなく、
ビアンカがそうしたいから協力する。
カインは、いつしかそう思うようになっていた。

お化け退治は1晩では済まなかった。
夜が明ける度に、
もうここまでか、と残念に思う気持ちがカインにはあった。
しかし、まるで、そのカインの気持ちを悟るかのごとく、
パパスは体調を崩していた。
ダンカンの病気は、単なる風邪だったが、
その風邪は、パパスに感染していた。
「はっくしょん!!風邪がうつってしまったぞ、ダンカン!ダンカンバカヤロー!」
パパスの風邪が治るまでは、ここアルカパに留まれる。
それは、今やカインには大きな喜びだった。
父の風邪を心配する気持ちよりも、
ビアンカと冒険をしたいという気持ちのほうが、
はるかに大きくなっていたのだから。

カインとビアンカは、
野を越え山を越え、
城に入り、危険にさらされ、
墓に閉じこめられればこれを救い、
魔物に食べられそうになればこれを退治し、
二人三脚で協力しながら先へ先へと進んだ。

レヌール城は、
かつてはエリック王とソフィア王妃が治める城だったが、
いつしか魔物に襲われ、
城の住人たちは、
霊となってしまった今でも、
魔物たちの余興として、踊らされ続けるのだった。
その魔物たちを束ねるのが親分ゴースト。
親分ゴーストは、この廃墟となった城で、
王さながらの気分に浸っていたのだった。
そこに現れたのが、まだほんの小さな少年と少女。
少年たちは、自分を成敗すると言っているが、
子供なぞにやられようはずもない。
親分ゴーストは、そう軽く思っていた。
それが自分の誤りだったとわかったのは、
ほんのすぐ後のことである。

度重なるメラに熱い思いをしながらも、
子供たちを痛めつける親分ゴースト。
一方、痛めつけられても痛めつけられても、
薬草を食べ続けるカインとビアンカ。
戦いは長期戦へともつれ込んだ。
13発のメラを打ち込み、魔力が底をついたビアンカが、
すがる思いでカインを見た。
カインは、大丈夫、とビアンカを見つめた。
檜の棒を握りしめて親分ゴーストに飛びかかるカイン。
カインの攻撃は微力だったが、
積み重なるビアンカのメラのダメージと相まって、
ついに、親分ゴーストは立ち上がれなくなった。
「わかった!悪かった。ここを立ち退くから、それで許してくれ。」
親分ゴーストは許しを請うた。
カインとビアンカは目を合わせる。
許していいのかな?
いいんじゃない?
2人の視線の会話はそう言っていた。

こうして、魔物たちはレヌール城を去り、
エリック王とソフィア王妃は安らかな眠りについた。
王と王妃の墓の前で、金色に輝くオーブを目にするカイン。
「きっとお礼なんだわ。もらっていきましょう。」
ビアンカは簡単に言ったが、
もちろん、この宝玉がどんなに重要なものなのか、
知るはずもなかった。


お化け退治が済んだわけで、
アルカパへと戻るカインとビアンカ。
どういうわけか、カインが戻るよりも早く、
カインとビアンカがレヌール城を解放したことが、
町全体に伝わっていた。
そして、翌朝、
タイミングを計ったかのように体調を取り戻すパパス。
カインは、サンタローズへ帰るのが惜しかった。
アルカパを離れるのが、
いや、ビアンカと離れるのが寂しかった。
2人で乗り越えた困難を思い返すと、
わずかの冒険が、それはそれは長い時間に思えた。
そして、別れの言葉は、とてもとても短く感じた。

「また一緒に冒険しましょうね。」
そう言うビアンカに、カインは力強く頷いた。
うん。そうだね、ビアンカ。
また、いつか一緒に冒険できる日が来るよね。
今は、ただその日が来るのを楽しみに待つカインだった。

ところで、肝心のお化け退治と引き替えの猫は、というと、
ビアンカが世話をするのかと思ったら、
ちゃっかりカインに押しつけて来た。
ただ、別れ際に、
自分のリボンを子猫につけて、
「じゃあね、ゲレゲレちゃん。」
と手を振るのだった。

ゲレゲレ!?
ナニその名前?
カインは、ビアンカの命名の奇抜さに、
驚きで、別れの涙も引いてしまっていた。
そういえば、と、カインは思い出す。
船の中で夢に見た、トンヌラと名付けようとした父さん。
父さんとビアンカ、なんだか命名のセンスが似てるなぁ。
そう思いながら、カインはパパスについて、
サンタローズに帰るのだった。
帰りながら、ゲレゲレは猫ではなく、
ベビーパンサーであることをパパスから教えられるカイン。
え!?
まさか、ビアンカはそれを知ってて僕に?

ビアンカにかき回されてばかりのカインだった。


カイン:レベル7、プレイ時間1時間38分




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