ビアンカたちが帰っても、
なお忙しそうに動き回る父パパスを追って行くのが見つかって、
村の老人に、そう言ってたしなめられたカイン。
そう言われると、子供ながらに、
なるべく邪魔にならないように、
という気がしてきて、一人で村を散策する。
散策でわかってきたのが、
どうも、洞窟に薬を取りに行った薬師が、
なかなか帰ってこない、ということであった。
カインは子供ながらに考えた。
もし、薬師に事故か何かあったと仮定して、
自分が薬師を助けに行けば、
薬師は家に戻って薬を調合することができて、
それをビアンカのお母さんに渡して、
ビアンカのお父さんの病気が治って、
ビアンカも喜ぶに違いない、と。
ただし、カインにとって、
ビアンカを喜ばすことが、
それほど大きな動機になっていたわけではない。
それは、子供の、
ほんのささやかな冒険心が芽生えた瞬間なのであった。
だから、
カインはあくまで可能性の一つでしかない仮説を信じ、
かつ、自分がそれを解決できると考えて止まなかった。
事実、カインの仮説は見事に的を射ており、
カインは無事に薬師を救えた形となり、
カインは大いに自信を持った。
この自信は、後に偉業を成し遂げるカインの、
大いなる一歩であったと言える。
さて、
こちらは、幼いカイン少年の一冒険を知る由もないビアンカ母子。
裏の事情はつゆ知らず、
薬を手に入れ、
ホクホク顔でサンタローズを後にしようとするところ。
これを見て、2人旅は危なかろうと、
隣町アルカパまでの護衛を務めると言うパパス。
もちろん、カインも連れて。
アルカパは、サンタローズから目と鼻の先。
アルカパに着いて、
カインは、ビアンカが大きな宿屋の一人娘であることを思い出した。
思い出したと言うべきか、たった今知ったと言うべきか。
以前、来たこともあったのだが、
それを覚えておくには、カインはまだ幼すぎたのだった。
4人はビアンカの家である宿屋へと入る。
「ただいま、あんた。」
「おじゃまするよ、ダンカン。」
ダンカン、というのが、この宿屋の亭主であり、ビアンカの父。
「さあ、薬を。」
「ああ、すまない。」
そんな大人たちの会話を後目に、ビアンカがカインを町へと誘う。
ビアンカは、弟のようなカインに、
町を案内したくてしょうがなかった。
一人っ子の立場として、
姉らしさを発揮したくてしょうがなかった。
カイン、ここは道具屋、ここは武器屋、
あの見張り番は夜になると寝ちゃうんだから。
ビアンカは、それはそれは丁寧に町を案内した、上から目線で。
そんな姉御肌のビアンカの前に立ちはだかったのは、
子猫を鳴かせて遊ぶ、2人組の少年たち。
ビアンカは、それを見るや、
子猫を解放しなさい、と少年たちに詰め寄る。
少年たちは、レヌール城のお化け退治と引き替えだ、と言う。
カインは困った。
カインは、
パパスにサンタローズへ連れて帰ってもらう必要がある。
ここアルカパで勝手な行動はできなかった。
さらに、なぜ子猫の解放とレヌール城のお化け退治とを
引き替えにすることになるのかも理解できなかった。
さらにさらに、この少年たちは、
どうやってレヌール城のお化け退治完了の真偽を確認するのか、
それもカインにはわからなかった。
そんなこんなで、
カインの頭の中で、そんないろいろなことが巡っている中で、
ビアンカの決断は早かった。
「いいわよ、約束ね。カインもいいわね。」
よくない、と言うに言えないカインを押し切り、
ビアンカはお化け退治を目指すのだった。
もちろん、カインを連れて。
カイン:レベル4、プレイ時間39分

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