競技会前の円陣を組む
”巻き張り”とは、1.5ℓのペットボトルに砂を隙間なく詰め込み、
先に紐でをくくり、週刊誌を丸めたもの(取っ手)と結んだモノ。
”闇トレ”
(2230から深夜遅くまたは徹夜でのトレーニング)の際には、
腕立て、腹筋、背筋、空気イスを一通りこなした後、
この‘巻き張り’でひたすら取っ手を巻き取るように回し、
砂で重たくなったペットボトルを上げるトレーニングをします。
地味な器具ですが、一度巻き上げただけで握力がなくなるため、
4年生の監督の目を盗み、胸や腹などを使い、巻き上げることもしました。
ペットボトル1本に慣れてくると、2本、3本と重量を増やされます。
私はアメフト部ということでmax3本でやらされていました。
(経緯)
訓練初日。上級生から「お前は3本持ちたいんだよな?」という
挑戦的かつ強制的な意味合いをもつ言葉をかけられ、
即行で「はい!」と答えてしまいました。
「できません!」なんてとても言えない雰囲気なんです。
※体育会出身の方は分かって頂けると思いますが。
休む暇はなく、トレーニング部屋は熱気で息苦しくなり、
窓も曇っていきます。
消灯後の真っ暗な中で、罵声を浴びせられ、
心理的にも体力的にもトコトン追い込まれます。
この時期ほど一日が長かったことはありませんでした。
(時間も分からない状態なんで)
1年間を何とか乗り切った防大生が、
また数名辞めていく時期でもあります。
(実際に私の中隊でもシゴキに耐えられず、1名退校)
競技会では決勝進出するも”銅メダル”に終わりましたが、
1か月という短い期間にここまで追いこみ、
やり切った経験は自分の宝物です。
●厳しかった上級生にも終わった後は
「お前の頑張りは本当に凄かった!」と認めてもらえたことが
自分の自信になったこと。
●一番厳しく指導された方には、「中期部屋っ子」
として可愛がってもらえたこと。全ていい思い出です。
【余談1】
表彰台では、周囲から「お疲れさん」「よくやった!」と
声をかけてもらった時に、
「皆さんの期待に応えられず、申し訳ありません!
1位ではなかったので何の価値もありません」と
KYな発言をしてしまう程、打ち込んだ特に思い出の残る訓練でした。
【余談2】
終了後、初めて喫煙が許されるため、
上級生から”タバコ”がプレゼントされます。
そこに書かれたメッセージも嬉しかったです。
宝物として実家に飾っています。
【余談3】
この訓練で生まれて初めて”お尻の皮”を破く経験をしました。
漕ぎ続けると手の皮だけでなく、お尻も擦り傷のダメージを受けます。
同期に頼んで、お尻にバンドエイドなどを貼ってもらいました。
お風呂では滲みるので湯船に入れません。