SSC 2016!!! | 犬好き麻酔科医ブログ

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海外臨床留学麻酔Dog、カブリオレのお送りする、
最新論文から、医療の未来像まで。
日々精進。

終わったぜえ!!!
2016SSC、
これを読まずに2017年を迎えられるか!!!
通しでよんでくれえ!!!



Surviving Sepsis Campaign:
International Guidelines for Management
of Sepsis and Septic Shock: 2016






A. INITIAL RESUSCITATION (初期蘇生)

1. Sepsis、septic shock は、緊急疾患。治療は即座に行われるべき!

2. Sepsisによる低還流に対して、先ず、少なくとも 30  mL/kg の細胞外液輸液を、
最初の3時間で行うことを推奨する。

3. 初期輸液蘇生に続き、追加輸液負荷は、
頻回に血行動態を再評価しつつ行うことを推奨する。
( 臨床的評価、HR、BP、Sat、RR、体温、尿量、など全てを参考にし、
侵襲的、非侵襲的モニターも、参考にする。)

4. さらなる血行動態の評価 (心臓機能など)を行い、
Shockのタイプを確定させる。

5. 輸液反応性を評価する上で、
静的な指標(cvpなど)より、動的な指標(SVV、PVVなど)を参考にする。

6. Shock患者の、初期の目標血圧は、平均血圧で65、とする。

7. 蘇生を行う上で、Lac上昇患者では、低還流改善の指標に、
Lac正常化を指標とする。

コレが、初期蘇生の項目。
昔のCVPや、ScvO2とかが消えましたなあ。
そして、オリジナルEGDTの様な、無制限な大量輸液から、
評価しながらの輸液というね、
過剰輸液のリスクを理解する方法へ変わりましたなあ。
それでも輸液は大事なんで、まあ、1.5-2L位は、初期にダーっとされます。
その後の輸液に、ちょっと待ったコールがかかった形っすな。
あと、平均血圧に関しては、
原則、65-85の管理で、圧による予後に差はない、と。
85のがノルアド増えることで不整脈とかも出るしね、と。
ただ、、、、
高齢者、HTもち、とかのサブグループでは、云々って意見もあるけどね。
原則、65以上で問題ないと思うけどね。
(麻酔科領域で、術前血圧に関係なく、低血圧は予後が、、、なんてにもあるけど、、
でも、絶対的に、ベースライン血圧って、影響あるよねえ?)
蘇生目標は、Cvpでも、CIでもScvO2でもなく、Lacのが、良さそうな雰囲気だね。



次は、、、
B. SCREENING FOR SEPSIS AND PERFORMANCE
IMPROVEMENT

1. 病院システムとして、Sepsis、重症、ハイリスクを早期に察知、
察知後は、バンドルに沿った治療が行える様にする。

うーん、まさにねえ。
Sepsis、Septic Shockと、思われない限りは治療はされないわけで、
事実、Sepsisスクリーニングで、発見は早まり、予後もよくなる。
そして、バンドル遵守率が増えるほど、予後もよくなる、と。
せやな、システム、っさ。



C. DIAGNOSIS

1. Sepsisが疑われる患者には、
ルーチンで、細菌培養(血液、その他)を、抗生剤開始前にだす。
その後、抗生剤は、直ぐに開始する。
(血液培養は、必ず、2Set以上取る!!!)

培養はね、、、、
医者のレベルが、モロに出る分野ですから、
培養が少ない医者=適当な医者(僕が言ってる訳ではないですよ⁈)
ってなみなされ方をします。
適当に抗生剤繋いで培養は無し、なんてやってたら、
海外じゃあ、誰も口を聞いてくれなくなりますからなあ。
抗生剤使うと数時間以内に細菌数はガツンと減ります。
なので、抗生剤開始前に必ず取りたいですね。
犯人がわかってこそ、追い詰める(De escalation)ことが出来るわけで。
この最初の培養をしない事自体が、予後悪化に関連してると考えられてます。
初期培養、そして、血液培養は2Set、、せめて、、、1Set。。。
よろしくお願いしたいものですな。
血液培養以外は、重要性は落ちますが、ココでしょ?、って部位があれば取りたいですね。
ただ、イタズラに抗生剤投与までの時間を長引かせるのもアホっぽいんで、
さっさと血液培養とって、45分以内には抗生剤始めたいね、と。
Time Is Money、ってなSepsisのためにある言葉ですから。
血液培養して、他が思い浮かばなければ、抗生剤始めましょう!
なにせ、1時間以上遅れると、死亡が上がる、なんて話もありますからな。



D. ANTIMICROBIAL THERAPY

1. Sepsisの認識後、可能な限り早く抗生剤を開始する。
コレは、1時間以内で行う必要がある。

2. 原因となり得る全ての細菌をカバーすべく、経験的広域抗生剤として、
1,若しくは複数の抗生剤を開始する。
(コレには、真菌、ウイルスの可能性も含まれる)

3. 広域抗生剤は、原因菌が判明したら、感受性がある狭域抗生剤に変える。
また、明らかな臨床症状の改善があった際も考慮する、

初期抗生剤で、原因菌が外れていると、死亡が上がることは有名。
だから、広域抗生剤を投与する。
その後、原因菌が判明(3-4日)するので、感受性がある狭域抗生剤にするのがマナー。
絶対的に、そうしなきゃ、予後が悪くなるか?、ということに関しては、
異論もあるが、
コレは、大人のマナー、医者のマナー、としての問題で、
別次元のものとしても、しっかりやってほしいよね。
後は、広域、言うても、全てのSepsisにカルバペネムを使う必要はない。
腹であれば、グラム陰性と嫌気性をカバーできればいいし、
市中肺炎であれば、プロトコル通りの抗生剤を選べば良いし、
COPDがあれば、緑膿菌、
入院患者なら、MRSAも、
とかね、経験的に決まってることを加えて、広域を選ぶわけっすな。


4. 感染を伴わない重度の炎症状態(急性膵炎とか)に対する、
予防的抗生剤は、勧めない。

5. 適切なPK/PD理論に基づき、抗生剤量は調整すべし。
特に特別なモニターが必要なクスリはね!

肝臓、腎臓の機能の問題以外に、Sepsis特有の問題がありますね。
最近だとね、少なくなったとはいえ、
初期蘇生で、それでもやっぱ大量の輸液がなされ、
結局んトコ、血液は希釈されんだよね。
で、初期量は、カナリ多めに、ってな言われる様になってきたね。
更に、Sepsisの早期には、腎臓での薬剤クリアランスは一過性上昇が
起きていることもわかってきた。
つまりは、投与量が足りない上に、投与分も早く除去されてしまうと。
ま、失敗例から学んだ結果として、抗生剤は、
取り敢えず、初期には多めに入れとけ!
で、後は、知ってる人なり薬局に聞け、ってね。思っててね。
Septic Shockで、血液分布異常が多い人は、バンコマイシン1gのボーラスじゃ、
治療失敗リスクがすごい高いことも知られてるしね、
他の抗生剤でも、治療濃度以下がSepsisでは、多いことが知られている。
初期量は、いつもの倍くらい使うくらいのつもりでね!
特に、アミノグリコシド系、バンコマイシンとかはね重要っす。
後は、持続抗生剤投与、ってオプションも、
もしかすると、有効かも?、ってデータはありますが、
まだまだ一筋縄ではいきませんな。
全ての薬剤をモニターできる時代までは、
副作用の問題はあるけれど、Sepsisに関しては、
OverDoseやむ無し、くらいの考えでいいのかもしれませんな。



6. Septic Shock初期治療時に、経験的複合治療(2剤以上の抗生剤)を
行うことを弱く推奨する。


7. Shock以外のSepsis、重症感染では、ルーチンな複合抗生剤を推奨しない。

ふーん、
複合抗生剤については、いろんな意見があるからねえ。
そんな中、Shock状態に既になってる患者には、
もしものことを考え、複合抗生剤を、弱く推奨、と。
それ以外は単剤でいけよ、と。

8. 白血球が少ないとか、菌血症だ、とかだけで、ルーチンな複合抗生剤を
しないことを、強く推奨する。

9. Shockに対し、複合抗生剤が使われた場合、
細菌の判明や、臨床的改善が得られれば、
de-escalation として、単剤への変更を、数日の内に行うことを推奨。

とまあ、
ほんと〜に、Septic Shockで、一大事やあ、って時以外は、
複合抗生剤を基本的には、推奨してないんだよね。
ほんと、もしもの、って為だけにね。
Sepsis Shockは、死亡率がなんだかんだ30%くらい?
で、抗生剤が外れると、死亡率が上がるからね。
そう言う意味での2剤併用であってね、それ以上のモンではない。
ルーチンで、変な薬を組み合すことはない様に、、、ね。
2剤も、同系列のものを使う、、、なんてことがない様にね?
併用の原則は、知っておいてね?
普通は、βラクタムに、ニューキノロン、マクロライド、アミノグリコシド、などを
併用することを言うんですよ。
βラクタム2剤、、、、とかじゃないですよ⁈
複合抗生剤が、有効かもと言うデータは、いくつか出てはいますが、
そこを強調すると、de escalationやら、出来なくなる医者もいるんで、
Shockの時の一時的な手段としてのみ、今回は推奨になったんでしょうかね。



10. 多くの重症感染に対し、抗生剤投与期間は、7-10日で、充分。

11. 臨床的改善が乏しい人、巣部の感染をコントロールできない場合、
ブドウ球菌感染、真菌、ウイルス感染、免疫不全、がある場合、
より長期の抗生剤を使用して良い。

12. 原発巣ドレナージ後(腹部、尿路など)に、臨床的改善が早い場合、
より短期間の抗生剤で十分だ。

13. 抗生剤投与中、 日々、 de-escalation できないかを評価する。


最近じゃあ、VAPの治療も7日、とかね。
大体の疾患は、7日で大丈夫、と。
ま、感染巣コントロールできてることが大事ですがね?
感染巣コントロールは、積極的に、って時代だからね。
長期の抗生剤は、下痢、クロストリジウム、耐性菌、の原因となるしね。
ブドウ球菌は、14日が基本かな。
緑膿菌、マルトフィリア、アシネトバクターとかもそう言うイメージだけどねえ。
無駄な抗生剤を減らす為、日々評価する、ってな大事っす。
その為には、臨床的改善と、培養がキモ。
重々、注意をね。



14. プロカルシトニンは、抗生剤投与期間の短縮に役立つ可能性がある。

15. プロカルシトニンで、抗生剤中止決定を決めれる、、、、
かもしれない。。。が、EBMは少ない。

プロカルシトニンも、一時期よりは下火になったのかな?
WBC、CRP、臨床的改善、から、全部合わせての判断だからねえ。
ま、CRPがいらん、なんて人もいますが、、、。ちょっとねえ。
絶対的では、全然ないけど、ま、抗生剤投与期間が減るなら測ってもいいな。


E. SOURCE CONTROL

1. 可及的に緊急で感染巣部コントロールが、必要な患者であるかを判断する、
ってことは非常に重要。
判断し必要であれば、これも可及的に行うべし。

2. 感染の原因になってそうな血管内留置物があるのなら抜去する。
抜く前に必要なら違うルートを取ってからだけどね^ ^

感染巣部コントロールは、結構強く言われてます。
状態が悪いから落ち着いた後に?
状態は、、、、落ち着きません! それがSepsis!
取り敢えず、感染巣は、取れ! CV、A Line、抹消ルートもね、同様。



F. FLUID THERAPY

1. 血行動態が輸液で改善し、輸液を続ける場合、
輸液チャレンジ(入れて評価) を推奨する。

2. 初期輸液は細胞外液!
それ以降も細胞外液! 、が原則。

3. バランス外液か、生理食塩水を推奨する。

4. 外液に加え、外液の量が余りに多いと判断した際のAlb投与を弱く推奨する。

5. HESは、使用しないことを推奨する。

6. ゼラチンよりも外液。


輸液に関しては、輸液過剰が悪い、ってのが、より明確になってきたことかな?
HESは、多くのStudyで、予後を悪化させ、もう弁解の余地はない。
他の人工コロイドも、同様に使う理由はない。
外液とAlbで、有意差を出したRCTがあるわけではないし、使用された患者層も、
年代も、多々差があるし、メタ解析というものに否定的な見方もある。
が、、、、
そのメタ解析では、Albが外液よりも予後を改善する、と、報告するものもある。
ま、積極的に使う理由は全くないが、使うことにそこまでは目くじら立てんでも、
ってレベルでの弱い推奨かな、と。



G. VASOACTIVE MEDICATIONS

1. まずノルアド、は大原則。

2. ノルアドに追加して、Vaso (up to 0.03  U/min) 又は、
エピネフリンを、平均血圧確保の為に使用しても良い。
ノルアドを減らす為にVasoを併用しても良い。
(Vasoが地味に0.04が0.03になってる!、なんで⁈)

3. 極々僅かな特別な患者にのみ、Dopamineを使う。
(スゴい徐脈患者、くらいかね?)

4. Dopamineによる腎保護作用など無い!

5. 十分な輸液、昇圧後も、しつこい低還流状態を示した患者では、
DoBを推奨する。

昇圧剤は、単純っス。
だって、ノルアド繋いどけば、それでもう、正解だから。
Dopamineを今時使う人は、かなり減ったと思いますが、
原則、死亡率始め、不整脈など、いいことはありません!
Dopamineと、ノルアドで戦って負けたのは有名ですが、
Dopamineと、プラセボでも、Outcomeは、腎保護含め、差は出ませんでした。
不整脈製造機、みたいなもんっスな。
Vasoは、VASSTなどの有名Studyの結果、現在の地位を築きました。
一応、0.01-0.04で使うもんだと思いますが、
Big Studyでは、0.03というDoseであった為、今回の記載上、0.03となったようです。
ま、僕は0.04をMaxで使いますが、、、一応Vincentさんという人がそう言ってたんで。
Phenyrephrine(ネオシネジン)好きな人、多いですね。
バイトに来る大学の後輩もすぐネオシネジンン持続投与をしてますが、、、
一応、、、、最も内臓の臓器血流を減らす可能性がある昇圧剤とされているので、
僕は、ネオシネジンンを持続投与する、という概念を持ちません。
なんかStudy結果でもあれば、いいけど、存在しない筈です。僕の知る限りは。
DoBに関しては、
少なくとも、初期に言われた、標準以上の心拍出量を保ったほうがいい、
という、なんちゃってGDTは、否定的です。
全てのSepsisでDoB使うことなかれ。
低還流が続く場合、しかも、輸液などの治療後に使う手段です。
エピネフリンは、ノルアドと、差はないとされるが、でもLac、血糖の問題があり、
積極的に使う意味合いも薄い。


6. 昇圧剤を使用する患者には、早めにA Line、入れましょう。



H. CORTICOSTEROIDS

1. Septic Shockの治療に、輸液や、昇圧剤で血行動態が安定するなら、
ステロイドを使用しないことを推奨する。
どうにも改善しない場合、1日200mgのハイドロコートンを弱く推奨する。

患者を選ばず使用するステロイドでは、予後に差はない。
一方、スゲえ重症でいい効果があったとするStudyもあるが、質は低い。
更に、副作用の高血糖、高Naは、起きやすい。
そういう中で、
少なくとも、ルーチンで使用することはなかれ。
輸液、ノルアド、Vasoくらいで、あれ、反応せんなあ、
なーんて時に限って、使用してみてもいいよ、くらいなもの。
魔法のクスリに、頼り過ぎることがないように。



I. BLOOD PRODUCTS

1. 虚血、低酸素、出血、などなければ、
RBC投与開始基準は、Hb7。

昔のGDTでは、Hb10でしたね。時代っすなぁ。


2. エリスロポエチンを貧血治療に使用することはしないこと!


3. 出血してる、手術予定、とかの状況を除き、
単純に凝固データを正常値にする為のFFP投与はしない!

4. 出血がなければ、血小板輸血は、1万以下が開始基準。
出血可能性が高い患者では、2万が開始基準。
出血可能性がめっちゃ高い人は、5万が開始基準。



J. IMMUNOGLOBULINS

1. 免疫グロブリン製剤は、原則、使用しない。

実は、質の低いStudyも全て含めると、免疫グロブリンで予後は改善する。
だが、最もデカイStudy、そして質の高いStudyのみだと、
なんのいいこともないとされている。
高価なものを無効なのに使う必要はない。
更に、日本の使い方は、Low Doseだったり、変な使い方だしね⁈



K. BLOOD PURIFICATION

1. 血液浄化のテクニックに特別な推奨はない。

CHD、CHF、CHDF、High Flow、 Low Flow、
非腎臓適応の透析、膜の種類、、、、
特別なことをしてもしなくても、アレはただの持続透析機に過ぎませぬ!
PMXは、メタ解析だと、実は予後が良い。
ただ、一つの国の(JAPAN)のデータを抜かすと、、、アレレ。。。
新しいTrialでは、PMXで死亡が上昇したり!
中間解析が報告されたヤツも、決していい結果ではなさそうだし、、、。
ま、逆風っすわな。
日本発祥の治療なんで、効果はあって欲しいが、
現状、、、、30万円の価値はないでしょうなあ。
尿が出てるのに、サイトカイン取る為の、持続透析してます!なんていうのも、JAPANだけ?
更に、透析中は、持続鎮静をかけます!、なんていうのは、、、ねえ?



L. ANTICOAGULANTS

1. アンチスロンビン製剤は、原則、使用しない。

おっきいStudyでも、メタ解析でも、無効!


2. トロンボモジュリン、ヘパリンに関しては、推奨も禁止もしない。

2008のガイドラインでは、推奨されてた、ProCは、今じゃ否定され、
製造すらされていない事実。。。時代やねえ。
新しい、トロンボモジュリンは、現在、Phase3が進行中。
生き残れるかな?
ヘパリンは、根強い有効性がありますが、怖いのは出血。
どーなるかはまだまだ不明で、推奨も禁止もなし。



M. MECHANICAL VENTILATION

1. 特にARDS合併症例では、一回換気量は、6 mL/kg 。

2. 特にARDSでは、平均気道内圧は、30以下。


一回換気量6で、平均気道内圧が30を超える時、
一回換気量は4まで下げる。
呼吸回数の設定上限は、35回まで、と。
一回換気量を下げる、ってな、ARDS以外でも普通のことになってきましたね。
例えば、手術中も、6〜8が、推奨される時代です。
重症患者であれば、一回換気量は6、せめて8以下、にしましょう。
呼吸回数は、僕は、30がリミットだとしてたけど、一応35がガイドラインの意見。


3. SepsisによるARDSとなった患者には、Peepは低めより、高目を推奨!

ま、しっかりしたStudyはないんですが、、、、。
そして、全体としては、低い、高いのPeepで、ARDS患者で差は出てません。
が、重症に限れば、高いPeepで、予後の改善を報告するものがあります。
細かいものでは、Peepを上げても、Driving Pressure(平均気道内圧➖Peep)が、
減る、変化しない場合、Peepを上げたほうがいい、というものもありますが、、、。
複雑になりよりは、重症患者では、Peep高目を推奨、
それ以外では、どっちでもいいけど、重症に今後なりそうで、
血行動態が落ち着いてんなら、高めで、いいんじゃね、的な感じですかね。
若しくは、一回換気量を6にして、平均気道内圧gq28になるまでPeepを上げる、って
方法を推奨する人もいます。
ま、まだ不明なことが多いのでね、各自工夫してるとこですかね?
最低でも、Peepは5以上はかけなさい!、ってのは常識ですのでね。
僕は、5で始めといて、血行動態が落ち着いたら、Peep上げてく感じ。
でもまあ、10-12くらいかな、普通の患者では。
ごく一部だけっすな、12-15とかまで上げるのはね。
ま、最低5、から、始めてくださいね!



4. Sepsisによる重症ARDSに対し、肺胞リクルートメントを推奨。

やり方は、色々ありますが、30程度のCPAPを30秒程度行うことで、
低酸素の改善が見られるタイプの患者がいますな。
だけど、血圧、、、、めっちゃさがるんで、注意しつつね。


5. 重症ARDSでは、ProneをSupineより、推奨する。

早期に、長時間、伏臥位で換気しましょう!、ってな、大分強く言われるようになった。
伏臥位、大変だけどね、予後は良くなると報告されている。
でも、早期に、ってのと、16時間とかの長時間であることに注意だね。
そして、事故抜管が最大の恐怖でもあるので注意を。
これができない場合、APRV、ECMO、HFOとか、、、する?



6. 成人ARDSに関しては、HFOは、しないことを推奨する。

数年前、HFO関連の研究は全滅したのは記憶に新しいっすな。
死亡率は、残念ながら、上がってしまいました。。。


7. ARDSに対する、NIPPVに関しては、推奨もダメ出しもしない。

軽いARDSに関しては、有効、というStudyは、存在する。
が、恐らく、患者を大分選別する必要がありそう。
そして、、、、ライバルのNasalHighFlowが、
標準より、NIPPVより、予後が良い、という報告まで出始めましたしね。


8. 重症のARDSに対し、48時間以内の筋弛緩薬の投与を弱く推奨する。

早期重症のARDSで、人工呼吸器と同期できないほどの自発努力があるとね、、、
そりゃあ、めちゃくちゃな状態になりますわ。
そんな時、いっそ筋弛緩薬を、、、、ってな自然の流れだったのかもしれません。
でも48時間以内、早期、ですけど。
これもでも、色々異論はあるところですけどね。


9. 血行動態が安定し、低還流がないARDSには、制限輸液を推奨する。

でも、ARDSに限らず、だよね。
血行動態が安定してる時は、輸液は少な目。コレ常識ネ。


10. 気管支の攣縮とかがない限り、ARDSにβ刺激薬は推奨しない。

吸入?、と思いきや、3RCT中、2つが静脈投与。
で、予後は、悪くなる可能性がある。
やめましょ、やめましょ。


11. ルーチンで肺動脈カテーテル、使うべからず。

ごく僅かの、ARDSによる、右心不全をきたした場合は、
活躍の機会があるかもしれんが、、、原則はね、いらない。


12. ARDSじゃなくても、一回換気量は、低め!4-6が良い。

せめて8以下でね!


13. 誤嚥性肺炎予防に、人工呼吸器中は、必ず、ベットは30-45度上げる。
これで、VAP頻度は下げられる。

全ての人工呼吸器患者のベットが30度上がるように祈ります!


14. 人工呼吸器の 離脱準備が整った患者には、SBTを推奨する。


15. 人工呼吸器離脱プロトコル、を使用して離脱準備することを推奨する。

コレ、抜管余裕でできるじゃん⁈、って状態で、数日管理され、
結果、VAPとかになり、気管切開、、、、なんて患者を減らしたいですね。



N. SEDATION AND ANALGESIA

1. 人工呼吸器患者の鎮静は、持続であれ、間歇的であれ、
最低限の量とすることを推奨する!

過剰な鎮静は避けます。これ絶対。
でも、できてない人が、大多数。でも、それは大きな間違い。
1日一回は、鎮静をオフにする、ってな最初の時代。
その後は、一度も深くなりすぎないように、鎮静を調整する時代へ。
RASSが、-5とか-4とか、、、、
そんな記載はカルテに存在しては、本来いけないんっすな。




O. GLUCOSE CONTROL

1. 血糖値コントロールは、プロトコルに則り行う。
2回連続で血糖値180以上であれば、インスリンを始める。
180以下を目指す管理は、110以下を目指す管理より、推奨される。

2. 血糖値とインスリン量が安定するまでは、
血糖値は、1-2時間ごとにモニターされるべき。
その後もインスリン使用中は、4時間ごとにモニター。

3. 正確な血糖値モニターには、末梢組織より、静脈血、動脈血を推奨。

4. A Lineがあれば、毎回、動脈血で測定することを推奨。

血糖値に関して言えば、IIT、厳重な血糖値管理の否定、が、ここ数年の全て。
プロトコルは、大事。多くの患者はコレで十分。
時に、インスリン抵抗性な人は、個別Orderでね。




P. RENAL REPLACEMENT THERAPY

1. 持続透析、間歇的透析、どちらを使用しても問題ない。

2. 血行動態不安定だが、輸液バランスを調整したい場合は、持続透析を推奨。

3. Crが高い、尿が出ない、以外の症状がない場合、
AKIだというだけで透析を開始することには反対する。

透析を要するSepsis患者の死亡率は高い。
それだけっすなぁ。
どんな透析をしようとも、
いつ、透析を始めようとも、
予後は変わらん。
早めに透析のが良かろう、という考えは、
今の所、透析が必要ない人にも使用するだけで、
予後には影響しない、ってな報告が多い。
必要ない透析は、しないにこしたことないよね?



Q. BICARBONATE THERAPY

1. 血行動態を安定されるためのメイロン、
低還流による乳酸アシドーシスで、
PHが7.15以上の人に対し、昇圧剤を減らすためのメイロン、
これらの使用は、間違っている。

全身管理の素人ほど、アシドーシスを過剰に恐る。
PH7.15以下でなけりゃ、メイロンは、原則使用しない。
呼吸数で代償できる場合は呼吸数で二酸化炭素を下げてPH管理する。
乳酸アシドーシスは、メイロンが効く病態ですらない。
メイロン使うのは、ARDSで、肺保護換気で、二酸化炭素上げて、
腎臓の代償が追いつくまでの間くらい?
ま、PH6台で、ちょっとどうにも〜、だったら、少量でね。



R. VENOUS THROMBOEMBOLISMPROPHYLAXIS

1. 禁忌(出血、HITなど)がなければ、 薬物的血栓予防として、
ヘパリン、低分子ヘパリンを使用することを推奨。

2. 低分子ヘパリンのが、未分化ヘパリンより、予防に適している。

3. 薬物的血栓予防と、機械的予防を可能なら組み合わせて使う。

4. 薬物的血栓予防が禁忌なら、機械的予防を行う。

一応、大きなStudy4つの比較で、
低分子ヘパリンは、未分化ヘパリンより、血栓予防、死亡、の点で優れてるかもと。
で、日本でも、低分子ヘパリン、
確か保険適応通ったはずなんで、こっちでいきましょいね⁈



S. STRESS ULCER PROPHYLAXIS

1. 消化管出血のリスクがある患者は、ストレス潰瘍予防を行う。

2. ストレス潰瘍予防が必要なら、PPIか、H2ブロッカーを使用する。

3. 消化管出血のリスクが少ない人には、ストレス潰瘍予防は、行わない。

48時間以上の人工呼吸器管理、凝固障害、は、強い因子なので、
長期人工呼吸器患者は、ストレス潰瘍予防がいるかもしれませんな。
その他、肝臓疾患、透析、重症、では、ストレス潰瘍がリスクとなる。
全体では、2-3%で、発生するとされている。
じゃ、全例にすればいい?
確かにストレス潰瘍のリスクは減るらしい。
ただ、肺炎、クロストリジウム下痢、のリスクが上がる、、、かもしれない。
PPI 🆚 H2ブロッカーでも、PPIで肺炎増える説もあり、
今後共に、変わってくかもしれない。
スコアリングで決めれるようなの、きっといつか誰かが作るはず、です。



T. NUTRITION

1. 経管栄養できる患者に、早期の静脈栄養は、しないことを推奨する。

昔ほどの経管栄養絶対主義では、なくなった風潮ではありますが、
早期に経管栄養できるならする。
その場合、静脈栄養はしない。
経管できなくても、栄養状態が良ければすぐはしない、とね。


2. 最初の7日間、 早期の経管栄養ができない患者に、
静脈栄養をしないことを推奨する。

最初の7日間は、静脈栄養無し!が、原則。


3. 早期の経管栄養は、完全絶食、糖質のみの静脈投与、より推奨される。

4. 早期には、低カロリーでも、フルカロリーでも、どちらを目指してもいい。
低カロリーにした場合、患者の状況で、次第に増やしていく。

まあ、経管栄養しとくだけでも、、、、ね。
カロリーに関しては、最近、もっと色々言われてきてて、
フルカロリーは、目指さん方が良い、ってなってきてるね。
目標は、30-70%の中で、細かく言えば、60-70が一番じゃね?
って話もあるけど、
でも、とりあえず、始めることが、一番大事でしょ!
一方、経管栄養をしない、と決める基準、ってな、より難しい。
とりあえず、、、、やってみない?、って思ってくれるのが一番だけど。
中止基準ってな、しっかり作ることも大事だと思うけど、
意外と、中止する必要はないって報告も多いしねえ、
難しいところですね。


5. omega-3 fatty acids を免疫賦活作用を期待して使うことには反対する。

理由は、良いことを確定させたStudyがないこと。
悪さをした、ってわけじゃないんで、復活の可能性は残る。


6. ルーチンで、消化管逆流量をモニターする必要はない。
しかし、経管栄養耐性、誤嚥性肺炎のリスクが高い人では、測定する。

逆流量が多いことと、経管栄養の可否は、関係ないとされてるからね。
ただ、逆流させまくって、誤嚥性肺炎作ることだけないように。


7. 経管栄養耐性には、消化管運動促進剤を推奨する。

名前として上がってるのは、metoclopramide, domperidone, erythromycin,の3つ。
どれも、QT延長と不整脈が副作用なのが嫌なとこ。
消化管を取るか、、、不整脈を取るか、、、。
副作用ない消化管促進剤出れば売れるだろ〜なあ。


8. 経管栄養耐性で、誤嚥性肺炎のリスクが高い患者には、
幽門を超えた部分の経管栄養チューブを推奨する。

重症患者の多くで、胃内容物の排出遅延が起こっている。
胃の運動って、他よりも低下しやすいんですよねー。
そんな時に、胃を超えたところにチューブ進めて栄養!、ってね。
理論的には、、、。
ただ、実際は、肺炎は、多少減るが、大きなOutcome改善はまだ認めてなく、
リスクが高い人だけやりましょうかね?、くらいなもの。


9. 静脈からのセレニウム投与をしないことを推奨。

10. アルギニンを使用しないことを推奨。

11. グルタミンを使用しないことを推奨。

12. カルニチンは、推奨も禁止もしない。

微量元素ってな、重症患者では、軒並み減ってるわけですが、
単純に補充することだけで、予後が改善するほど甘くはない。
今後共に、注目の分野ではありますな。



U. SETTING GOALS OF CARE

1. 治療のゴールの設定、予後の設定、を患者、家族と相談する。

2. 治療のゴールは、治療の方法、終末期プラン、 緩和医療、
などを包括的に含み設定される。

3. 治療のゴールは、可能な限り早く設定されるべし。
Icu入室後72時間を超えることはあってはいけない。

日本の医者は、ゴールの設定ができません。
心臓が動いてること、呼吸していることが、毎日の目的?
ゴールは、患者ごとに違い、希望も違う。
治る人は、積極的に治療介入し、速攻で治す。
治療を制限する人、撤退する人、様々で、
現在の状況から、得られる最大の予後、起きやすいケース、
全てを話し合って、決めるのが、本当のゴールっすなぁ。
ま、僕もそこまで無理だけど、、、、。人生経験が大事なとこですな。
ただ、、、
日々生かしとくだけの目的ではダメ。
いつまでにどうしたいのか、そのために何をするのか、
最終的に、どうするのか、長期の目を持ち、短期の治療を設定して初めて、
集中治療医と、呼べるんでしょうな。
うーん、集中治療医、欲しい!!!
僕は、なんちゃって、なんでね、ホンモノ、欲しい!!!


以上!!!
終わったぜえ!!!