バニラに来てから少し経った頃、俺はイライラしていた。なぜなら、相変わらず延長交渉が取れないからだった。
延長交渉が取れなくては、女の子も折角取った指名が報われず、やる気を失ってしまうからだ。我慢しきれなくなった俺はついに行動を起こす。
『代表、次の延長交渉自分が行ってもいいですか?』
インカムではなく、直接聞きに行った。
代表は、
『え?ええけどなんで?』
『いや、皆調子悪いみたいなんで自分が行って延長取ろうかなぁと思って。』
そういうと代表から、ジェスチャーでオッケーが出た。
そして、ワンセットで帰られるお客様がいたので、すぐさま俺は交渉に行った。
『お客様、もう帰っちゃうんですか?よかったら30分だけでも延長どうですか?』
『えーいいよ。高いし。』
早速お金で来た時は、極力すぐに割引の話に持って行く。
『もし、30分延長して頂けたら500円自分が出しますんでよかったらどうですか?』
『え!?ええの?』
『はい!もし1時間なら1000円出しますよ。』
『マジで?でもどうせなんか自分にバックがあるから言ってるんやろ?』
『いえいえ、延長して頂いても自分にはバックなんてないですよ。ただ、お客様に安く楽しんで頂きたいので出すだけです。』
『じゃあ・・・・1時間だけ延長するわ。』
『ありがとうございます!』
あっさり交渉成立。こんなに上手くいったのも久々なくらいだった。
そしてインカムで、
『あちらのお客様、1000円割引で1時間延長です。』
と言うと、代表から、
『ありがとう!』
と帰って来た。俺はその日三本の延長交渉に成功した。
しかし、これがまた火種になってしまう・・・・。

続きは次回更新で。






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初日に色々見て回り、ある程度この店舗の問題は分かった。簡単に言うと、
1 ボーイの入れ替わりが激しく、新人はいじめられ、やめてしまう。
2 お客様に対し、接客が少しキツい感じがする。
3 何故だか延長交渉が全く取れない。
こんな感じだった。解決するためにも、しばらくは色んな人間とコミュニケーションを取ることにした。そして、まずは話し掛けやすそうな新人の
子を見つけ話し始めた。
『始めまして。村木です。これからよろしく。』
『え?あ、はい!野中と言います!よろしくお願いします!』
少し怯えた感じがしたが、悪い子ではなさそうだった。
『そんな緊張せんでええよ。んで、野中くんは入ってどれくらいなん?』
『今で2週間くらいです。』
俺は違和感を感じた。2週間もいれば大体のことは一人でできるはず。なのにまだ、誰かの指示を待ってる感じがした。
『ホールは誰に教えてもらったん?』
『・・・・・。すいません。自分仕事に戻りますんで。』
急に逃げられた。
『ガタッ』
物音がする方を見ると、"アイツ"がいた。そう、内藤だ。恐らく内藤はホールのリーダー格で、新人いじめの中心になり、ボーイの教育なんてほとんどしていないのだろう。
『村木さん、こそこそ嗅ぎまわるのはよくないっすよ?』
『いやいや、2週間もいる新人がなんであそこまで店に馴染めてないか聞いてただけっすよ。』
すると、内藤は俺に近づいてきて、
『あんま邪魔したら・・・殺すで?』
そう言ってタバコを吸い始めた。
これは思った以上に苦労しそうだった。
それからはあまり表立って新人に話し掛けるのはやめたが、極力俺が教え、常に内藤と二人きりにしないようにした。次第に野中は俺に心を開いてくれるようになった。
そんな中、シュウさん達が来店された。
『祐介、どや?元気にしてるか?』
正直、大変だがお客様にそれを伝える訳にもいなかい。
『えぇ、なんとかやってますよ。いい意味で変えられればいいんですけどね。』
『まぁ頑張りや!』
このやり取りだけでも、やる気が湧いてきた。
『もうちょい頑張ってみるか。』
そう心に決めた。

続きは次回更新で。



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バニラへの異動が決定した俺に代表達が送別会を開いてくれた。
ボーイ始め、20人近く集まってくれ、女の子の中には泣いてしまった子もいた。嬉しくなり、バニラでも頑張ろうと思っていると、代表が耳元で、
『何かされても絶対引くなよ。お前はROSEの代表として行くんやぞ。お前が引かん限りは、何かあったら俺が助けたる。』
と、声をかけてくれた。
心の中では、
『んな大袈裟な。』
と思っていたが、気持ちは嬉しかった。
そして、ついにバニラに初出勤の日がやってきた。
バニラの代表は緒方さんといい、長い間地域一番店のバニラを引っ張ってきた凄腕の代表だ。
緒方代表が、
『みんな集まってくれ、今日からホールの教育係としてROSEから来た村木くんや。』
『よろしくお願いします。』
そう言うとみな拍手で迎えてくれた。少し不安だったが、なんだかんだ受け入れてもらえるかな、と思っていた。
しかし、解散と共に二人の男が近寄って来る。
『始めまして。わざわざ地域二番店から教育係さんに来てもらってすいませんねぇ。』
明らかに喧嘩をふっかけられた。本来なら喧嘩は苦手な自分だが、代表との約束がある。決して引いたらアカンと思い、
『いえいえ、こんな素晴らしいお店やのに接客がアカン言うて呼ばれたんですわ。みんないい人そうやのに何ででしょうね?誰か問題児でもおるんかな?』
そして、睨み合い。内心めんどくさかったが仕方ない。その場はなんとか収まった。もう一人の男も俺を睨みつけていた。
これが、内藤と金との出会いだった。ここからある意味の腐れ縁が始まることになるとは思ってもみなかった。
そして、営業開始。
さすが、地域一番店だ。
みなきびきび動いている。
なら、何がダメで俺が異動することになったのか?
接客にも特に問題は見当たらず、初日だし色々見て回ることにした。
すると、意外な所に問題があった・・・・

続きは次回更新で。

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