今週は手術は無し、ひたすら回診とスライド作り。


院内演題発表と大学内での演題発表会が来週あるのだが、Dr.Rmは熱心でプレゼンターを全員集めてスライド発表のリハーサルを金曜午後に延々と行った。そんなことするのは日本人だけだと思っていたのだがこちらでも熱心な人は同じのりである。素晴らしいのがその場ですべて手直し、内容はもちろんスライドの構成、かなり具体的にテーブルの大きさやフォーマットまで手直し。彼がとても頭の回転が速いのがよくわかる。他人のが直されるのを逐一見ているとポイントもよくわかった。


今回の自分のスライドはsurvival curve やグラフが無くて見栄えがしないが構成はかなり時間をかけてチェック。そして、普段の会話で通じにくい自分の苦手な発音saphenous など、Fサウンドは極力発音しない原稿を作成。自分のレベルでは早くしゃべると通じにくいことも認識しているため会話のスピードも要注意。おそらくこれが自分に合ったやり方で手直し無し、手ごたえも充分。今後も型にはまった同様の手法をとっていけそうだ。これでこそこちらに来た甲斐もあるというもの。




指導医側からの視点として、どれだけ手術をさせてやれるか、というのは指導医の力量によるところが大きい。懐の大きな人だと、こちらが何をしても動じず淡々と手術を前立ち側から見ている。


いまのところこの施設内ではDr. Hが最大に懐が大きい。彼と組んだ一例目からいきなり、心停止まで自由演技、心拍再開後も自由演技である。細部にわたるまで術者ごとの好みにあわせてやるという雰囲気がある中で完全な自由演技は自分の体に染み付いた動作を出すだけなので楽だし、研究でブランクのある自分には非常にありがたいトレーニングである。


しかも前立ち側からすべてうかがっていて絶妙のタイミングで助け舟を出してくる。トラブルがあってもおそらく前立ち側から対処してくれるのだろう。人に安全に手術をさせてやるのは、自分でする2倍難しいと思う。Dr. Hの場合は吻合以外への変なこだわりも少なく人にやらせていても安全で早いイメージがある。


大きな施設なので色々な上司がいて、自分が上司として下をトレーニングするときもどうすべきか学ぶことができる。自分の理想像はDr. Hで、45歳以降はCABGは全例研修医に執刀してもらいたい。

昨日は朝4時にこちらでは珍しい大動脈解離Type A を救急で診察。ICUに入室させて手術チームを呼んで結局皮切は8時ごろから。日本ではすべての手配を医者がするので治療以上に部屋の手配や血液、検査の手配、チェックなどやること盛りだくさんなのだが、こちらはNursing Coodinator というベッドや緊急検査、手術の管理専門の当直おばちゃんが居てすべてやってくれる。その人が窓口となり相談しながらすべて手配ができるので英語環境では特に大助かり。当直中の電話対応もすべてやってくれているとのこと。日本にも似たようなことをやってくれる病院もあるのだがここまで徹底していることはなかった。


その解離手術だがDr.Rm執刀でEEGで反応がなくなるまで冷やして低体温循環停止、上行置換で終わり。温度の上げ下げで時間がかかるが実質何もしていないので全く疲れないし休憩も豊富。テクニカルにも手順的にも自分でもできるだろうが、昨日驚いたのは運針であった。大動脈側は普通のバイトなのだがグラフト側がものすごく薄いバイト。2mmぐらいだろうか。それにあわせてピッチもものすごく狭い。そしてぎゅうぎゅうに糸を引っ張って締め上げる。


外科手技の模倣がTrainee 側には必要で、手順をほとんど真似て信頼されていくのだが、この運針もコピーする必要があるだろう。かなりこだわりもありそうだったし。


CABGも高齢のDr. Mrは大胆な運針で豪快。Dr. Rfは日本人的な通常の運針と全く違う。CABGなんかあれだけバイトもピッチも違うのになんで両方きれいな吻合になるのかちょっとよく理解できない