オリジナル設計による

松島千治DIM工房
 初めに、趣味での物作りは誰かに言われてすることではないので、私は、DIYと言う言葉は不適切だと考えています。自らの意思で作るのであれば、「Do it myself !」であるべきなので、私はDIMと言うことにします。それでも、現時点ではDIMでは他の人には何のことか分からないので当面の間、タイトルとか最初はDIM(DIY)と記載しています。

 私は、面倒臭がりなのでDIMが特に好きというわけではありませんが、自分の欲しい仕様のものが売られてなかったり、高価だったりした場合には、可能な範囲でDIMすることがあります。ここでは、同じように市販の製品に満足できない人のために、DIMしたものを公開しています。

 なお、ここで公開している内容は、特に断りのない限り基本的にオリジナルだと自負しています。したがって、このページを参考にした活動を行う場合は、松島千治DIM工房からの参照を必ず明記して下さい。 また、このページのすべての資料は、許可のない複製を禁止とさせて頂きます。ただし、すべての公開資料を調べているわけではないので、先人がいないとも言い切れません。先例をお知りの方は、お知らせ頂けると幸いです。

 また、ここでの提供は無償での情報であり、信頼性を保証するものではありません。ここで紹介している内容により読者の方に如何なる損失が生じたとしても、一切責任を負いませんので予めご了承下さい。

 

松島千治のプロフィール
千葉大学工学部電気工学科を1981年に卒業し、2012年に開発スペシャリストを務めていた電子機器や電子部品の某大手メーカーを退社。その間、プリンタ,スキャナ,液晶パネル,画像処理,静電タッチパネル,3次元座標入力,GPSベースバンド,ワイヤレス給電などの開発に携わる。退社後も、不導体の静電気劣化防止方法を発明するなど開発を続けている。

 

 

車中泊DIM(DIY)②

板厚9mmで軽量・多モードフラット化

(スズキ スペーシア MK-53S) 2024.9.14初版

 

 今回のブログでは、車中泊DIMyselfについて紹介します。実施した車種はスズキのスペーシア(MK-53S)ですが、同じような形状の他の車種でも同様にできることも多いので参考にして頂ければ幸いです。軽自動車で車中泊をするなら、VANタイプの方が広くて良いに決まっていますが、車中泊以外で走ることの方がほとんどなために1リットルで30km走れる地球環境への優しさを優先してスペーシアを選びました。

 

写真1 車中泊DIMyself

 

 今回紹介する車中泊DIMの内容は、フラット化についてです。設計に際し考慮した主な特徴は、次のとおりです。

 

 ・車体に加工なし

 ・着脱容易

 ・地球にやさしい軽量
 ・収納性を考慮した部品の小型化

 ・マルチモードによる多様な使い方

 

 今回のフラット化は、多くの先人と同様にイレクターパイプのフレームの上に板を乗せる構成です。イレクターパイプのフレーム配置を写真2に示します。この写真2は後ろの扉を開けて写したものです。

 

写真2 フレーム配置

 

 左右方向のフレーム位置の固定は、後部座席のヘッドレストをイレクターパイプが囲む構造にしたことと後方左右のカーペットを挟んでの車本体への押し当てたことです。また、後ろにずれないのはフレームの脚が倒した後部座席に当たるためで、前にずれないのは後方左右のカーペットを挟んでの車本体への押し当てている個所が前に動けない位置なためです。

 フレームを支えている脚の数は、前方と後方と中央についてそれぞれ左右合わせて4本と助手席との隙間を埋めるフレームについての2本とで合計14本です。フレームは脚の上に嵌めてるだけなので、容易に外せます。中央に脚をつけない人もいるようですが、イレクターパイプがたわむし、イレクターパイプの仕様を超えた使い方なので、コストが高くなってもしっかり中央でも支えるようにしました。

 

 また、このフレームは、写真3に示すように、左右に分解できます。さらに、右側は写真ではひとつになっていますが、左側同様に2つに分解できます。左側は、助手席との隙間を埋めるフレームを含めて3つに分解できます。このように分解することで、60センチ四方のスペースに収納できます。

 

写真3 フレームの分解

 

 写真4は、このフレームに板を載せた基本構成です。この板の特徴は、購入時点から片面が木目を生かして綺麗に塗装処理されていたことと、厚みが9mmと薄いことです。写真には4枚が写っていますが、助手席との隙間にも小さい板が1枚載っています。

 

写真4 基本構成

 

 ほとんどの先人が18mm厚程度の厚くて重い板を使っているのに、どうして9mmで良いのかというと、板を支えるピッチを狭くしたからです。具体的に板を支えるピッチを狭くする方法は、写真2や写真3を良く見ると分かります。フレームを構成する棒の中央に太くなっている個所があるのは、そこでも板を支えるためです。これは、イレクターのジョイントパーツを短くカットして嵌め込んだものです。また、左右各々の中央付近の前後方向の棒も板を中央で支えるためのものです。

 もし、これらの中央のジョイントパーツによる支えがないと、イレクターパイプの径よりイレクターパイプを嵌め込むコーナーのジョイントパーツの径の方が肉厚分大きいので、板はコーナーのみで支えられることになります。中央付近を押されると9mmの板ではたわんでしまいます。車中泊等長時間たわんでいると、板がそってしまいます。

 55cm(横方向)×54cm(前後方向)の板を4隅で支える場合は15mmか18mm厚の板が必要ですが、このように約27cm毎に支えるようにしたので9mm厚でも人がのっても安定して充分な強度が得られます。なお、スペーシアの場合、身長177cmの私が座っても天井に頭がぶつかることはありません。

 

 ここからは、以上に説明して基本構成に、拡張ボードを付加したバリエーションについて説明します。フラット化は、必要に応じて床板を外したり、左右のどちらかだけをフラットにしたり、拡張ボードの付け方により、自由な組合わせが無数にあります。

 拡張ボードの裏側を、写真5に示します。拡張ボードの裏側に付けたフックでイレクターパイプにパッチンと着脱できるようにしています。

 

写真5 拡張ボードの裏側

 

 拡張ボードの下にはフレームがないため、9mm厚では明らかに強度的に不十分なので、拡張ボードだけは2枚をボンドで貼り合わせて18mm厚にしています。ただし、基本構成との段差を生じないように、フックの部分は張り合わせはせずに9mm厚1枚につけています。そのため、フック周辺は桟や板金で補強しています。

 

● 車中泊モード

 写真4の基本構成では、車中泊で寝るには狭すぎます。そこで、車中泊モードは、写真6に示すように、先人がやっていたのと同様に助手席の背もたれを前に倒してその上に拡張ボードを乗せる構成にしました。写真6では右後ろの板が外れてますが、通常は付けた状態で車中泊します。

 

写真6 車中泊モード

 

 車中泊モードのスペースは、拡張ボードの長さ70cmと助手席後ろの隙間の板20cmと基本構成を合わせてフラットな板の部分の長さはちょうど2mになり、身長190cm位までなら脚をまっすぐに伸ばしても後ろのドアにあたらないくらいになります。また、拡張ボードの横幅は、48.5cmですが、運転席のアームレストを前に倒せば、約60cm幅がフラットになり、更にドアの間にも隙間があるので、狭いと感じることはありません。さらに、脚を大きく曲げて寝たくなった場合でも、左向きで寝れば十分な広さがあります。

 

● 背もたれモード

 拡張ボードは、写真7に示すように、作業をする時などには、背もたれモードとして使うこともできます。

 

写真7 背もたれモード


 背もたれの有無とは無関係に、後ろ側の板を外すと足をおろして後ろ向きに座ることができます。後部棚は、後述するように前にずらすことができるので、PC作業などもデスクのように快適に行うことができます。背もたれがあると、作業で疲れた時などにゆったり休むことができます。

 

● 脇テーブルモード

 拡張ボードは、写真8に示すように、脇テーブルモードとしても使うことができます。

 

写真8 脇テーブルモード

 

 脇テーブルは、後ろの棚だけでは不十分な場合に便利です。脇テーブルの高さは、後ろの棚に揃えました。ただし、イレクターパイプのジョイント部は、上からの過重には強いのですが、水平方向はさほど強くありません。このため、脇テーブルに重い物を乗せた状態では走行できない仕様としています。

 

● 片側モード

 未実施で写真もありませんが、基本構成のイレクターパイプは左右対称なので、後席の片側を通常の座席にして反対側をフラットにするような構成も可能です。


まとめ

 

 今回のブログでは、スズキのスペーシアでの車中泊のためのフラット化の方法や特徴について、実施例をもとに紹介しました。少しでも、読者の方の参考になれば幸いです。

 

 ・車体に加工なし

 ・着脱容易

 ・地球にやさしい軽量
 ・収納性を考慮した部品の小型化

 ・マルチモードによる多様な使い方

 

 

 今回の車中泊DIM(DIY)②フラット化のブログを、最後まで読んで下さりありがとうございます。 車中泊DIM(DIY)では、併せて次のリンク先をご覧いただけると幸いです。 

 

 ① 後部棚については、次のリンクをクリックしてください。

 

 ③ 目隠しについては、次のリンクをクリックしてください。

 

 また、プログの分類タイトル「松島千治DIM工房」では、他にも様々な自作品を紹介しておりますので、次のリンク先をご覧いただけると幸いです。

 

 さらに、当ブログ「未知を既知に 自由研究家 松島千治」では、この他にも様々な研究成果などを紹介しておりますので、次のリンク先をご覧いただけると嬉しいです。

 

 最後に、お気軽にご感想やご意見を残して頂けると嬉しいです。

 

以上