【佐伯ひかりシリーズ 第22話】
読む力が政治に届く
◆ 国会図書館・資料閲覧室
ひかりは、国会答弁の速記録を読んでいた。
あかりが隣で、消費税法の条文を確認している。
「……これ、財務大臣が“消費税は間接税という仮説をご理解ください”って言ってる」
ひかりは眉を寄せた。
「仮説ってことは、証明されてないってことだよね。
でも制度は“証明された扱い”で動いてる」
あかりが呟いた。
「……論理的に破綻してる」
◆ ひかりの“読む力”が動き出す
ひかりは、消費税の構造を図に描き始めた。
• 納税義務者は事業者
• 消費者は実質的負担者
• しかし、消費者は納税証明を得られない
• 住民税は会社が預かり、納税証明が発行される
• 消費税は預り金ではないと裁判所が判示
ひかりは言った。
「これは“制度の言語操作”だ。
間接税という言葉で、構造のズレを覆い隠してる」
「読む力があれば、
その“覆い”を剥がすことができる」
◆ カトマイの動画収録
カトマイは、ひかりの図をもとに動画を収録していた。
「今日は“消費税の構造”について話します」
画面には、
ひかりが描いた“制度の断面図”が映る。
「消費税は“間接税”とされていますが、
実務上は“預り金ではない”とされています」
「つまり、
消費者は納税者ではない。
でも“負担者”として制度に組み込まれている」
「これは、
制度が“言葉”で構造を操作している例です」
◆ 英国外務省・分析室
主任分析官が言った。
「日本の消費税制度は、
“言語による構造操作”を含んでいる」
若手分析官が頷いた。
「ひかりは、
その操作を“読む力”で見抜いた」
主任は言った。
「これは、
政治制度の“深層”に読む力が届いた瞬間だ」
◆ 国会議員の控室
ある若手議員が、
カトマイの動画を見ながら呟いた。
「……この視点、
今まで誰も言語化できなかった」
「読む力って、
制度の“言葉の使い方”まで読めるんだな」
◆ ひかりとあかりの帰り道
二人は、国会前の並木道を歩いていた。
「……消費税って、
“間接税”って言われてるけど、
実際には“直接税的な性質”もあるよね」
ひかりは頷いた。
「読む力があれば、
制度の“言葉の揺らぎ”を見抜ける」
「そしてその揺らぎを見つけた人が、
制度の“深層”を少しずつ変えていく」
二人の足元には、
備長炭のように燃える小さな火種が、
また一つ灯っていた。
