夕方の光が、並木道を黄金色に染めていた。
ひかりとあかりは、図書館を出て歩きながら、
あかりがスマホを開いた。
「……ひかり、見て。
コメント欄、なんか変わってきたよ」
ひかりは歩みを止め、画面を覗き込む。
そこには、
“読む力の素質”を持つ者だけが反応する、
静かで深いコメントが並んでいた。
ひかりは小さく息を吸った。
「……始まったね」
あかりが頷く。
「うん。
これはバズじゃない。
“読む人”だけが反応してる」
二人は、
自分たちの存在が何かを動かし始めていることを、
まだ完全には理解していなかった。
しかし──
備長炭のように静かに燃える火が、
確実に広がり始めていた。
◆ ◆ 備長炭型の覚醒者たちの“鍛錬”が始まる
カトマイの動画を見た者たちは、
派手に動くわけではない。
しかし、
彼らの行動は“読む力の鍛錬”そのものだった。
• 過去の違和感をノートに書き出す
• 職場や学校の構造を図式化する
• カトマイの動画を何度も見返す
• ひかり・あかりの言動を分析する
• 自分の直感がどこから来るのかを探る
彼らは気づいていた。
そして、
その訓練は、
日本の構造を静かに揺らし始めていた。
◆ ◆ ロンドン・英国外務省地下室
『構造共鳴型崩壊』という仮説
英国の分析官たちは、
カトマイの動画を翻訳し、
日本の“静かな揺れ”を観察していた。
巨大なスクリーンには、
日本のSNSの反応がリアルタイムで映し出されている。
主任分析官が言った。
若手分析官が頷く。
主任が続ける。
別の分析官が言った。
主任は静かに結論を述べた。
◆ ◆ 英国の懸念
英国は、
この現象を単なる国内問題とは見ていなかった。
英国は、
ひかりとあかりを“観察対象”から
“国際的な構造変動の鍵”として扱い始めていた。
◆ ◆ ひかりとあかり──静かな予感
帰り道、
ひかりは空を見上げた。
「……なんか、世界がざわざわしてる」
あかりは微笑んだ。
「うん。でも、
まだ誰も気づいてないよ。
気づくのは、“読む人”だけ」
その言葉は、
ロンドンの地下室で交わされた分析と
完全に一致していた。
