1週間ほど前。
マンションのエントランスに、猫が。
夫が保護してきた。
小さなお腹がぺたんこの猫。
翌日、動物病院での診断では、
猫エイズとのこと。
くしゃみの回数がひどく多く、
目やに、病気なのか鼻からの臭い、
食欲はあるものの、酷い状態。
夫は自分の部屋に隔離し淡々と世話をした。
猫エイズはもちろん、
治りにくいとされる猫風邪も移すわけにはいかないので、
2匹の猫たちとも厳重に引き離した。
2匹の猫と一緒の部屋で寝ているわたしは、
あまり、捨て猫もみじ(娘がつけた名前)と直接関わらないようにした。
飼ってあげることのできないこの子に情を持つのが嫌だった。
夫は仕事をしながらもみじのお世話を投げ出すことなく、
遊んでやり、病院へ連れて行き、
もみじが撒き散らす鼻水で汚れた部屋を掃除し続けた。
その合間に、あちこちに問い合わせ、
もみじが幸せになれるようにと、受け入れ先を探し続けた。
明日、もみじは、夫と広島へ行く。
病気のもみじが、のびのび暮らせる施設がある広島。
娘がつけた、もみじという名前。
夫の広島出張が決まってすぐに我が家にきたもみじ。
「この子は広島に導かれてるような気がするんだよね」
そういう夫。
今回、夫を見ていて、
初めて夫のこんな一面を見て。
すごいな、この人、と心から思った。
わたしだったらとてもできなかった。
そう思う。
わたしが乳腺外科の検診に行って帰ってきても、
どうだったの一言も言わない。
通院に付き添うことも一度もない。
闘病中は様々なことで、
寂しさもムカつく気持ちが生まれたこともあった。
でもいま思うと、
そんなだったから、わたしは気丈に強くがんばれた、とも言える。
ねえ、どうだったくらい言ったらどうなのよ?と言ったこともある。
でも、わかっているのだ。
わたしを傷つけてしまうのが恐いのだ。
だから何も言わない。
わたしの夫は、そういう人。
昨日の立ちくらみでは、
ちゃんと助けてもらいました。
もみじは明日行ってしまうけれど。
夫はきっと淡々と帰ってくるのだろう。
でももみじのおかげで、
夫の深い愛情や優しさを見た気がする。
ヘンな夫婦だな、わたし達(笑)
もみじ。
広島で幸せに暮らすんだよ。
夫のこと、忘れないであげて。
告知から1年~夫という人・1~
告知から1年~夫という人・2~