手術当日、手術の1時間半ほど前に、麻酔医が部屋に到着。
麻酔医というと...線の細い、神経質そうな先生を勝手に想像していたら。
北海道の「熊飛び出し注意」のステッカーの熊みたいな身体の大きな先生が、ヨレヨレの手術着を着て現れた。
先生の第一声、「はあい、これから説明するよー」
なんだかすごい威圧感と迫力で、主人と子供は部屋の隅で小さくなり、
わたしはベッドの上で、姿勢を正す。
病歴やアレルギーなどの確認の他、パウチされた資料を使って、
これからの全身麻酔についての説明が始まる。
麻酔で痛みは感じない。
けれど意識が感じないだけで、身体は感じている。
体内にたくさんの薬が入り、感じさせなくしているだけだ。
よって、身体は大きくストレスを受ける。
点滴からも薬が入り、喉からも入る。
身体に負担がかかーる...
よく通る声で、資料を指しながら説明する熊先生
毎日多くの患者さんに説明しているせいだろうか、
もう説明が、演説調になっており、語尾が「はいーる!」「かかーる!」みたいな感じ。
たくさんの薬を使い、身体に負担がかかるものである、ということを繰り返し聞いたダンナが、退院後、わたしが少しでも疲れたそぶりを見せると、
「い、いいよ、寝てて。麻酔の影響じゃないのか、あの熊みたいな先生が言ってたじゃんか、はいーる、かかーるって」
と、ずいぶん労ってくれた。
熊先生、ありがとう
熊先生 「身長は何センチ?164センチ...そうすると22センチの長さの管が喉にはいーる。この管からも
薬を送る。挿入の際は口をこじ開けることもある。手術後、喉が少し痛んだり口の中が傷つい
たりするかもしれなーい」
手術後、舌の裏側のいちばん奥がヒリヒリしてけっこう痛かった。
が、2日で気にならなくなった。
熊先生 「術後、気持ちが悪くなり、嘔吐感を感じる人が3人にひとーり。...なに、酔いやすい?はい、じ
ゃあ、あなたがその1人にけってーい」
マジですかい
わたしは本当に酔いやすい。
子供の頃から、車に乗れば吐き、遠足のバスはエチケット袋を抱えたまま、遊園地へ行けば乗り物を見ただけで、こみあげてしまい、
下手をすれば、テキトーにくるっと一回転しただけで、立ちくらんで倒れてしまう。
術後、痛みの上に気持ち悪いまできちゃうのか、とブルーになったが、実際は全く感じなかった。
何か質問はあるか、の問いに、
歯医者でも帝王切開でも麻酔が効かなかったこと、母のことなどを話し、非常に不安であると訴えたところ、
先生、ひとこと、
「効く、間違いなく」
と、太鼓判。
時間がないから詳しくは説明しないけれど、と前置きし、麻酔の種類が全然違う静脈麻酔であること、
万一に備え、自分がずっと手術室にいて、薬の調整をすること、なんの心配もいらないこと、
「薬は効く、寝て起きたら終わってるよ」
きっぱりそう言い、説明が終了。
この先生がいてくれるのなら、きっと大丈夫だ、と思えるような先生だった。
あとはまな板に乗るだけだ
...3に続く
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