「なにもしない」時間 ~マインドフルネスの活用~ | セントラルたなか鍼灸院

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こんにちは。

セントラルたなか鍼灸院の井手口猿です。

 

皆さんの日常に「なにもしない」時間はありますか?

「なにもしない」時間を作っていますか?

 

われわれ現代人は常に「やらないといけないこと」に追われながら生活をしています。

多忙な生活の中、「やらないといけないこと」にのめり込むことで充実感を得、将来の目標やスケジュール通りに物事が進むようエネルギーを注ぎ込み、それが正しい生き方だと信じています。

 

確かに「やらないといけないこと」はあります。仕事や勉強に取り組むことはもちろん大切です。

しかし、追われるように感じる「やらないといけないこと」は、本当に今「やらないといけないこと」でしょうか?

忙し過ぎる日常の中でストレス状態が続くと、心も体も休むことができず、慢性的な緊張や不安状態が続きます。このような日々のストレスからさまざまな慢性疼痛や慢性疾患の症状が現れることもあるのです。

 

忙しい現代人に必要なのは、毎日数分でも良いので「なにもしない」時間を積極的に過ごすことかもしれません。

「今この瞬間を大切に生きる」という、仏教瞑想から発展したマインドフルネスを通して、「なにもしない」時間の過ごし方について考えてみてはいかがでしょうか。

 

  • マインドフルネスとは?

マインドフルネスとは、「今この瞬間に気づき、目覚めている状態」を意味します。「何をしている時にも、心が(マインド)しっかりとそこにある(フル)状態(ネス)」であり、様々な思考や先入観を手放し、今この瞬間をしっかりと意識すること、またはその状態を指します。

 

例えば「なにもしない」時間を過ごそうとして、美しい夕陽を眺めています。でも、「明日レポートを提出しないといけなかった、間に合うかなぁ」「昨日はなんであんな言い方をしちゃったんだろう」「さっき会社から留守電が入ってたけど何かあったのかなぁ」など、頭の中で過去や未来の予定や心配事がいっぱいではマインドフルネスではありません。

美しい夕陽を見ているつもりでも、心では美しい夕陽を見ていないからです。

 

頭の中に湧き上がってくる思考に意識を向けず、自分の呼吸に意識を向け、今この瞬間に自分を戻し、心と体をひとつにして、美しい夕陽を心と体で感じることが、「今、ここ」にいるマインドフルネス状態なのです。

 

マインドフルネスでは、「なにもしない」時間を持ち、「今」という一瞬一瞬の体験に意識を向け、自分自身をあるがままに受け入れ、解き放つことを目的としています。

自分自身をあるがままに受け入れ、解き放つことによって、何かにとらわれていたことに気づくことで、思い込みの枠が外れ、自己概念が自然に修正されていきます。

 

  • マインドフルネス はじめの一歩

さまざまな指導者のマインドフルネス・トレーニングがありますが、現代日本人に取り入れやすいマインドフルネス方法のはじめの一歩として「なにもしない時間を作る」ことと「呼吸に意識を向ける」ことをおススメします。

 

1.「なにもしない」時間を作る

私たちはいつも絶え間なく「なにかをする」という生活を送っています。日々の生活に追われ、立ち止まって自分の心と体に耳を傾ける時間が取れない人が多くいます。すべての行為をやめて「なにもしない」時間を過ごすことで、心にゆとりが生まれ、静かな落ち着きを養い、ありのままの自分を受け入れる余裕を作り出すのです。

心に気がかりなことがあったとしても、体に痛みや不快感があったとしても、何かを変えようとするのではなく、今という瞬間を感じながら、ただ自分の置かれているありのままの状態と共に、その瞬間を過ごすことが大切です。

 

2.呼吸に意識を向ける

9月25日のブログ「緊張と弛緩を感じる。」でも呼吸法のことを書かせていただきました。

その話と重なる点も多いですが、今回は改めてマインドフルネス的観点から「呼吸を観察する」ということについてお話しします。

 

ご自身の呼吸を観察してみましょう。

呼吸では、鼻孔を通る息の流れを感じます。鼻孔を出入りする空気の温度や湿度を感じ、呼吸に伴う筋肉の動きを感じ、お腹が呼吸に合わせて動くのを感じましょう。息が出たり入ったりするありのままの様子を観察し、その感覚や空気の量を感じ取ります。無理に呼吸を深くしたり、長くしたりする必要はありません。ありのまま、「私は長く息を吸っている」「私は短く息を吸っている」とそのままを感じましょう。

 

最初に息が出たり入ったりするのを3分間観察してみると、次第に呼吸から意識が離れていきます。頭や心の中には、もう一人の自分がひっきりなしに話しかけてくるのがわかるでしょう。心に浮かんでくる思いはそのままに、良い悪いなどの評価をせずに、「こんな思いが浮かんでくるんだなぁ」だけを感じて受け流し、呼吸に意識を戻しましょう。マインドフルネスでは、この自分の心の声「想念」に耳を傾けず、呼吸に意識を戻し、思考の空回りを鎮めます。

心の中の思いは、あたな自身でも現実でもありません。その思いを客観的に観察して手放すことで、思いから解放され、心の中の支配力から抜け出すことができるのです。

 

呼吸に意識を集中し心と体が落ち着いてくると、ストレスのたまる状況であっても、物事を冷静に深く観察し、「あるがまま」とらえることができるようになります。

現代の忙しい日常生活では、心と体がバラバラになってしまうことが珍しくありません。体がここにありながら、心だけよそにある状態です。呼吸により、心と体が一体化する「心身一如」の状態になると、私たちの感情・心・身体の傷は、自らの力で癒し始めます。

 

  •  歩く瞑想に参加して

10月21日は名古屋大学医学部付属病院 総合診療科 統合ヘルスケアチームのラウンドテーブルディスカッションに参加してきました。

私はチームに貢献するどころか勉強させていただいてばかりなのですが、

医師、看護師、臨床心理士、栄養士、保健師、ヨーガ療法士、パーソナルトレーナー、アロマセラピスト、僧侶、鍼灸師などなど、

さまざまな分野の専門家が集まり統合医療的アプローチのための症例検討会を行いました。

 

今回はそのラウンドテーブルディスカッションの前に、アロマセラピストでもあり僧侶でもある中村智美先生のご指導の元、チームの先生方と鶴舞公園にて「マインドフルネスの歩く瞑想」に参加してきました。

 

自らの呼吸を観察し、体を感じ、想念に耳を傾けず緑の中をゆっくりと歩く。

そんな「なにもしない」時間の過ごし方を体験してきました。

 

やはりこれもトレーニングですので、「心身一如」の状態になるためにはこれから続けていくことが大切だとは思いますが、

ほんの少し「なにもしない」時間を体験しただけで、心にゆとりが生まれたように思います。

 

 

みなさんもぜひ、日常の中に「なにもしない」時間を作ってみて下さい。

呼吸を観察し「今この瞬間」に心と体を一つにしてみて下さい。

たったそれだけのことで、何かが変わる(というよりご自身の認知が変わる)のを感じていただけるのではないかと思います。

 

 

 

セントラルたなか鍼灸院  

井手口 景

 

セントラルたなか鍼灸院ホームページ

http://www.c-tanaka829.jp/ 

 

 

*内容の多くは中村智美先生の資料から引用させていただきました。

 ありがとうございます。