6月16日、南北の国境線上にある南北連絡事務所が突然爆破されました。というか、3日前に金与正が予告した通りに爆破が行われたわけなんです。
今日はこの事についてなんですが、何故、北朝鮮、金与正はこうして半島を緊張させているのか?
その答えの1つは恐らく、金与正の実績づくり。北のナンバーツー。いや北のナンバーワンとしての軍事的な実績を作ろうとしてるのではないか?というのが今日のお話です。
南北連絡事務所というのがあるんですが、これは言うなれば、韓国の文在寅大統領の北朝鮮政策の象徴のようなものでした。その大きな成果がこの連絡事務所だったわけなんですが、それが吹っ飛ばされたわけです。
これは2018年の4月に文在寅と金正恩の会談が行われた時の板門店宣言。この中で決まったものですが、この中でこの国境沿いの北側にある開城(ケソン)の工業団地にこの南北連絡事務所をおきましょうという事が決まったわけです。
そのために168億ウォン、日本円で15億円を韓国の税金から出しているわけです。これが爆破されてしまったんですが。
元々何のために作ったか?➡︎南北の当局者、南北の交渉だとか協議、それから民間の交流を支援するため作られて、週一回定期的に協議が行われたようなんですね。
ウイルスが始まってからも電話でかならず協議するということになっていたんですが、
この文在寅にとっては非常に重要なもので、
「南と北が会いたい時にいつでも会えるように」という事で作ったという事なんです。
まさに文在寅大統領にとっての北朝鮮政策の象徴的な存在だったわけです。
これが爆破されたという事に関して、韓国の中央日報の日本語版にこういう記事が出ていました。
![下三角](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/529.png)
ハノイで恥辱を受けた金正恩。その日の怒りが「板門店宣言」爆破させた。要は、昨年の2月のベトナムハノイであった、トランプ大統領と金正恩委員長との米朝首脳会談が物別れに終わった後に、この連絡事務所は先ほどような交渉、協議の場ではなくて、北の側の不満の表示の手段になったと書かれています。
要するに昨日の爆破に至るまでは、昨年2月のハノイでの物別れ、ここから始まってるんだという事が書かれてるんですね。
その中で今年の6月9日、韓国の側からビラの散布がありました。韓国の脱北者の団体が北朝鮮の人民に対して風船に色んな情報を入れてこのビラを散布するという事件です。
これは随分前から何度も行われていたわけで、5月の末にビラ散布が行われた時に、6月9日にこれがきっかけとなって、南北間の連絡を完全に遮断するという風に金与正からの発表があったわけです。
これを以てこの連絡所というのは機能しなくなったわけですね。完全に交渉は遮断されたので、
先ほどの中央日報の記事の中では今回の爆破の意味というのは、【南北関係がこれによって、過去に戻った(→文在寅大統領によって前進したかのように見えたのが)だけでなく、史上最悪の状態になった】と言える。
もしかしたらこれから武力的な衝突が起きるかもしれないという事を匂わせています。
『用のない連絡事務所が跡形もなく崩れる悲惨な光景を目にするだろう。』その3日後に爆破されて、全くその通りになった。その後にこう言っています。
『もう南朝鮮当局者は我々とは何もできなくなった。できることは後悔と嘆きだけだろう』
こういう言葉というのはもちろん金与正自身が書いてるわけではありません。スピーチライターが当然いて、その人たちが書いてるわけなんですが、こういう表現を使っています。
それが『軍に軍事境界線への侵入の準備を命令した』ということを言ってるんですね。
6月13日、この軍事境界線→38度線の『軍事境界線に侵入する準備をしろ』と命令したというわけです。
そして昨日6月16日、朝鮮人民軍がこの軍事境界線がある非武装地帯(→DMZと言われてるもの)に、『侵入する準備ができている』と警告してるわけです。➡︎まだ侵入してないけど、侵入する準備が出来てるという風に言ってるわけですね。
ここで
1950年から始まった朝鮮戦争。
これが3年後に休戦になっています。
この休戦協定の後に、南北の境界線に設定されたものです。➡︎『ここは非武装地帯である』と。
文在寅大統領はこの「DMZを平和地帯にしょう」と提案してた。しかしそこに軍を入れるという風に金与正は命令を下したと言う。
これはまさしく《これまでの文在寅の成果をことごとくゼロにする》ことを意味しています。
この6月13日の金与正の声明ではっきりとこう言ってるわけです。
『韓国と確実に決別する時だ。ごみはごみ箱にすてなくてはならない』
という風に言って、明確な態度を表明してるわけです。
ここまで北朝鮮・金与正が厳しい態度をを取るに至ったのは突飛なことなのか?突然なのか?それとも原因があるのか?
という事で、一応考えられる大義名分というか理由が無いことはないですね。
![1](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/269.gif)
つは
【2018年の南北首脳会談】にて。文在寅大統領と金正恩委員長との会談の中で
文在寅大統領は、先ほどの『脱北者団体のビラが境界線を超えて飛ばないようにする』と約束していたわけです。
この約束が守られてないのは確かです。だから怒っても仕方ないというのは言えるかもしれない。
しかし、もっと大きな原因として言えるのは、というか根本的な理由として言えるのは、アメリカ・トランプ政権が北朝鮮への厳しい経済制裁を解こうとしない。これを続けている。【それに対して、文在寅が反対しないことを北は憤ってるわけです。】
これは文在寅が「まあアメリカをなんとか説得しますよ」と言ってきてるわけですね。
これ、『全然言ってきてる事と、現実が違うじゃないか』という事を怒ってるわけです。
そういう意味では原因は文在寅政権にもあるとは言えるわけです。
【韓国との緊張状態を作り出す事によって、米国との経済制裁解除の交渉を有利に持っていく】と、これは言えると思うんですね。
➡︎この一連の動きというのは、《北の非常に周到な用意ががあった》というんですね。
➡︎というのはこの動きの一ヶ月以上前、5月3日に、先ほどの非武装地帯DMZで北朝鮮軍が突然韓国側に発泡してるわけです。そういう事件が起きてます。理由は不明。で、死傷者は出てないですが、一時的に南北の銃撃戦になってます。
このような銃撃戦がDMZで起きたのは過去5年間で初めてだと言うんですね。
その前日に金正恩が死亡説が流れてる中で、20日ぶりに姿を現してるわけです。その翌日にこういう事件を北朝鮮は起こしている。
その後にたまたまかどうかわかりませんけども、ビラの散布があって、それに対して北側が怒って「もうこれで南北の交渉は一切やらない。連絡遮断だ」と言った後に、昨日の連絡事務所の爆破、そしてこの非武装地帯への軍の進入の準備。
【この一連の流れは用意周到ではないか❓】というんですね。
つまり、風船にビラが入ってきたから突然やったわけじゃないんじゃないか。という事なんです。
![ダイヤグリーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/537.png)
この記事の中で、韓国の議会の野党に当たります、保守系の野党の中で【未来統合党】の議員さんのコメントを出してます。これがちょっと面白いと思ったんですが。【未来統合党】の議員さんのコメント:『金与正が女性ということで、見下げられる雰囲気があったが、この事務所爆破で北のナンバー2であると立証した日になった』と。
金与正が実質的に金正恩のナンバーツーであると
いう事がだんだん見えてきたわけですけど、しかし【北の中で、女性であるという事で見下げられていた。そういう雰囲気があったんだろうけど、今回の事務所爆破によって、軍事的な実績という事で、名実ともにナンバーツーになった】という日ではないかという事。
ここで1つ言えるのは、北朝鮮の指導者になるためには、【軍事的な実績・指導力が要る】という事なんですね。
お父さんが指導者だからといって、そのままエスカレーターですぐに次の指導者になれるかというと、実はそうではない。北では。
北は軍事国家なので、北の軍隊のトップにならないといけない。そのためには指導者になる前に、何らかの軍事的な実績が必要なんだというのはこれまでの北の3代の指導者、全員に言えた事なんです。
これを命令してやらせたのが、金正恩であるという事に一応なってるわけです。
それから、
延坪島(ヨンビョントウ)の砲撃事件というのもありました。これ確か韓国軍の死者も出てるんじゃないかと思うんですけど。
これも金正恩が指導して命令してやった実績だという事になってるわけですね。
このように、事前にちゃんと公言したことを実行してこそ、北の内部がついて来る。この国民もついてくるんだという事が北にはあるということを、韓国の議員さんが言っています。
という意味で今回のことは、金与正の実績づくり、北のナンバーツーとして。もしくは北のナンバーワンとして。ということが言えるのではないか。
この後更に6月25日に韓国の脱北者団体➡︎次のビラ散布を予定してるわけです。これがもし実行されたらその後どうなるか?
北側が射撃してくる可能性がある。
そうなるとこれがきっかけとなって、【第二次朝鮮戦争】という事が考えられなくもないわけです。
そういう意味では非常に大きな所に今きてるのかもしれません。
今日はここまでです。ご視聴誠にありがとうございました。