歩くな立つな | 介護職員の本音 「認知症介護を楽しく乗り切ろう」

介護職員の本音 「認知症介護を楽しく乗り切ろう」

世間の介護事情や認知症介護についてあれこれ言いあう場。政府だけに頼らず手っ取り早く現場を変えられるのは介護職員です。

認知症棟ではあるあるな事なんですが、夕方から入床までは、フロアはバタバタです…
いわゆる夕暮れ症候群てやつ……………

そこいら中でフラフラと歩きまわり、食事はまだか!
お腹が空いた!
家に帰らなきゃ!と始まります。

一番厄介なのが、歩く事も十分にできない利用者が、歩き出している時ですかね〜

職員は転倒させてはならないと、常に付き添う事や介助するために走り回っていますけど、これを凄くストレスに感じているんだなぁ〜と肌に伝わってきます。


職員は転倒させたくないので、歩かないでください。
杖を使って下さい。
車椅子で移動して下さい等と、あちこちで大騒ぎをしています。正直私だってイライラしますよ…
クソ忙しい時に大勢揃って歩き出すなって思いますし…


また職員の口調が強くなれば利用者だって怒り始めますから、余計転倒のリスクは倍増です。


でも普段温厚の利用者が怒り出すんだから、利用者だって自分の自由を守るために必死なんでしょうね。
歩くなと言う方が理不尽なんですから…



そんな時私は「自分の自由にさせてあげて下さい」と職員にお願いしています。
もしかしたら転倒するかもしれないけど……………


でもね…
自分の自由にならず、いつも不機嫌で眉間にシワを寄せて生活しているより、温厚でいつもニコニコしていてもらう方が本人の為なんじゃないかなぁ〜と思うんです。

転倒させない事が我々の仕事じゃないと時々思います。



とは言ってもこれは私の考えで、すべての職員が私と同じ考えではありません。
私が勤務していない時は、きっとあちこちで大騒ぎでしょう。




ついこのあいだ、歩くな立つなと大騒ぎしていた事がありました。性格的には温厚なはずの利用者が凄い剣幕で怒っています。
俺は窓の外を見たいんだ!
歩行車なんて使いたくない!
俺は自分の脚で歩けるんだ!
ついて来ないでくれ!


職員としたら入床介助中に一人の利用者だけに関わっている時間なんてありません。
1時間の間で50人の入床介助をしている真っ最中ですから。

最初は私も「〇〇さん歩き出してるよ〜」と職員の対応を呼びかけたんです。
いわゆる歩かせるなぁ!という意味での声かけです。


職員も転倒させたくないので必死に付き添ってます、でも入床を待っている利用者も沢山います。
その職員はどうしたら良いか途方に暮れて、大声でお互い怒鳴りあっていました。

コリャまずいと思い、私も自由にさせて良いよと言いました。


すると凄い形相だった利用者の顔が瞬く間に笑顔になり、いつもの温厚な利用者さんに戻ったのです。


その時思い出しましたね…

転倒させないことが介護じゃないって…


難しいですけどね。
安全を守るのも仕事ですから…


でも利用者の満足気なあの顔を見たら、歩くなと言うのは如何なんだろうと考えさせれれました。

今日は私が現場にいないので、きっと歩くな立つなと大騒ぎしているんでしょうかね…






スピーチロックはまずいけど、転倒はさせられない。
ならば歩くなと言うしかないのか…

そんな環境で職員は日々奮闘しています。