二つに一つを選ぶしかないんだよ。 | 介護職員の本音 「認知症介護を楽しく乗り切ろう」

介護職員の本音 「認知症介護を楽しく乗り切ろう」

世間の介護事情や認知症介護についてあれこれ言いあう場。政府だけに頼らず手っ取り早く現場を変えられるのは介護職員です。

薬の副作用があっても利用者本人が穏やかに生活できればそれが最良と考えるか。

それともBPSDが顕著にあるため、いつも多動でイライラし、何かあるたびに他の利用者とトラブルが絶えない生活だけど、薬の副作用があるよりかは、それが何よりも利用者の為になると考えるか。


毎回私の職場ではこれらの意見に分かれます。
(昨日のブログの結末話し)
(⌒-⌒; )




重要なのは利用者本人が何を求めているのか。
もう一つは介護者側が何を目標とするのか。



残念ながら多くの利用者は、自分が何を望んでいるのか正しく私たちに打ち明けることが出来ないことが多いです。
なので介護者側が、この利用者は何を望んでいるのかと推測するしかありません。

また他の利用者に悪影響を与えたり、介護者側の負担を軽減させる時にも睡眠導入剤や抗精神薬を検討する場合も多いでしょう。



結局は介護者側だけの都合で薬を使うか使わないかを決めているんですよね。



薬の副作用があれば一見穏やかにみえても、せん妄や嚥下障害、転倒リスクなどで利用者の生活には制限がかかります。またBPSDによる影響でも生活に制限がかかることは同じです。



ある時、抗精神薬の調整が上手く行かず状態が悪くなった利用者さんがいました。
暴言暴力、徘徊は無くなったが、嚥下低下し一日中傾眠状態になってしまったのです。

認知症棟の看護師は医師と相談して一旦抗精神薬は休薬し、しばらく経過をみることにしました。
でも副作用が抜けた翌日に利用者さんが大暴れ…
他の利用者に怪我をさせてしまったのです。



起きてしまった事態にもう後戻りは出来ません。


そこでケアマネにこう言われました。
(怒られた訳ではありません)



介護士と看護師の話し合いは出来ていたのか?
この利用者さんがどのような姿になってもらいたいのか、ちゃんと意見は一致していたのか?



「私は薬を使用することは完全に反対はしなかったし、だからと言って休薬するするのは、まだ様子を見てもよかったと思っていた。何れにしても利用者さん本人が苦しむのは同じだと思っていたから……」

看護師は…
「薬の副作用が強くて状態が悪化すれば医師と相談して休薬するのは当たり前だと思っている。医療としては何とか薬で本人が一番良い状態に戻って欲しかった…」



元々薬を使用するかしないかの相談は、医師も含めてしていたんですけどね…



最初は私も「薬の効果は期待できないと思う」と医師と看護師には言っていたのです。(今までの経験上)
でもお互いの歩み寄りにより、今回は抗精神薬を使ってみようとなったのです。最終的には医師が判断しました。




でもその後の話し合いが足りなかった。

休薬するか、休薬しないかの……………



ケアマネにはこう言われました。

「薬を使うリスクは解っていたんでしょ?」
「ならば予想できた範囲のものならば、休薬した場合のリスクも考えるべきじゃない」

「皆んな頑張ってくれたよ…」
「これが老健の限界…」
「後は精神科の入院を検討しようよ」って……………


看護師は泣いていましたけどね。
(ー ー;)

ケアマネに言われたことが悔しかったみたいです。



私も薬の効果は期待していませんでしたし、副作用の方が強くなるだろうと思っていましたから。
でも最終的に私も医療側の考えに賛同したわけだし、今回の事には私も責任がある訳です。





今回の騒動を受け介護部長にこう言われました。

薬の副作用でADLが低下することは予想できていたはず。がんばるまんは認知症介護の経験が長いから。

抗精神薬に頼らずBPSDが強くても何とか皆んなで協力しあって介護する覚悟をするのか…
それとも副作用が出てもそれが利用者本人と、他の人間の為だと妥協するのか…
その二つに一つを選ぶしかないんだと。





解っていたんですけどね、それは…
でもその結果、当の本人を苦しめ、他の利用者にも怪我をさせてしまったことが全てです。

看護師は医療で何とかしたい気持ちが強いのでしょうし、介護士は医療だけに頼らず、それ以外で何とかしたい気持ちがある。
双方の歩み寄りは難しいです。