自分がどれほどに優しすぎて、甘すぎたかを知る。
一体何度、絶望を感じ、悲しみの果てに立ち、怒りを通り越した苦しみを味わう必要があるのか?
僕は随分と我慢して、随分と譲歩して、随分と折れてきた。おかしいことだらけの中でも、ずっとずっと正しいことをしてきたし、すべては良い方向になるように動いてきた。
影でもみ消してきたクレームやトラブルなんて、数え切れない。影で創り上げてきた商品群や環境だって、計り知れない。僕はあまり自分を評価しない人間だけれど、そんな自分で見てさえも、僕ははっきり言って誰よりも頑張ってきた。そして、きちんと見れば結果も出してきた。
けれど、どうだ。
何も分かっちゃいない。
ここは仕事の関係の人も少しは見ているのだろうから、これまでは直接的な表現はしなかったけれど。もう、疲れた。
今の職場の人間は、何も分かっちゃいない。もちろん皆がそういうわけではなくて、「何かをするべき人間」や「何かをしなければいけない人間」が、何も分かってない。
そして、上は下を見ていない。なんて下らないことなんだろう。ただ上を見て、媚びへつらい、とにかく問題を起こさずにゴマをすることだけを考えている。そんなもん、人間としてさもしい。
それで下の誰が傷つこうが、苦しもうが、関係ないのだ。表層ではなぐさめたり、謝ったり、いかにも解決策を講じたようなフリをする。けれど、何もしない。本当に何もしない。
それでいて、下らないことはすぐにする。意味のないことや悲しみしか生まないことでも、上が言えば二つ返事ですぐにやる。考えてもいない。検討もしなければ、考慮もない。
「~のメンツを潰してしまうから」なんて言われる。メンツ? 何のメンツだよ、と突っ込みたくなった。努力も研鑽もなく、ただ長くいるだけで地位に甘んじているようなもんに、メンツなんてあるのか。
そしてまた、下の人間が何かを考えたくらいで潰れるようなメンツなら、あってもなくても同じだ。そんなに小さくて狭くて、器がないなら、いずれ潰れるんだから。
そもそも。そのメンツとやらを持った人間達が、きちんと考えてやってくれていれば、僕がこんな風にやらなくても良いのだ。
あるいは、そもそもどうでも良いならそれでもいい。ならば、こちらに何も求めないで欲しいし、何も口を出さないで欲しい。そして、ならば上はいる意味がないから消えて欲しい。
僕は仕事を愉しみたい、と考えている。今いる仕事の世界を、最大限に愉しみたい。
いらっしゃるお客様、特に常連さんにはいつも笑顔でいてもらいたいし、こちらもそれで愉しみたい。それが出来るはずなのに、ここはやろうとしない。
「何がしたいんだろう、ここは」と呟いてしまう。理解に苦しむ。本当にお客様のためにとかを考えたら、僕の方向性にしかならないはずなのに。
本当はそんなこと考えてないんだろうね、明らかに。いやはや、度量のない人間達だ。
単に、僕が使われる側に適していないのか、とも思う。
でも純粋にしっかりとした人間の下でならば、最高に働く自信はある。要は、上を尊敬できるかできないかの問題だ。尊敬できる人間には、僕は最大限に尽くす。尊敬できない場合は、最大限に変革を望む。
今のこの職場よりも最低な職場なんて、ないようにも思える。そんなことはないんだけどね、現実的には。
でも、少なくとも。
良い職場ではない。
もうあんまり贅沢も言ってられないな。
かの尊敬していた人のように。
ある程度の妥協も覚悟の上で、さっさと職を変えるしかない。
陶芸、やりたいかな。
まぁ、いろいろ探そう、さっさと。
自分の感覚とか正しさとか、発想とか価値感とか、一番大切なのは性格とか人間性が崩壊する前に。
そういえば、言われたよね。
「精神衛生は、すごく大切だぞ」ってね。
意味、分かるよ、本当に。あの人の気持ちが今は誰よりも、よく分かる。
愚痴りたい。
でも、愚痴りたくない。
話がしたい。正しい人と。 arlequin






