2023年 管理人が選ぶBest Single | ver.5 - 洋楽チャートをデータと共に

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2023年 管理人が選ぶBest Single

■ 2023年 管理人が選ぶBest Single

2023年のChart Mania 管理人が選ぶSingleとAlbumを発表します。10位全てがTop40ヒットで埋まりました。
 

1: Kill Bill / Sza
2: Boy's A Liar Pt.2 / Pinkpantress & Ice Spice 
3: Vampire / Olivia Rodrigo
4: Paint The Town Red / Doja Cat
5: My Love Mine All Mine / Mitski
6: Cruel Summer / Taylor Swift
7: Water / Tyla
8: I Remember Everything / Zach Bryan f. Kacey Musgraves
9: Cupid / Fifty Fifty
10: Get Him Back / Olivia Rodrigo

2023年はMorgan Wallen、Luke Combsといったカントリーアーチストが活躍したり、Peso Plumaなどのメキシコ音楽のブームが起きたり、ヒップホップアーチストがこぞってロック的なアプローチを見せたり、韓国のアーチストがシングルアルバムともに年間通じて活躍したりといった年でした。MiguelやTaylor Swift、Chris Brown、The Weekndと数年前の曲がチャートに戻ってきたりしたことも今年は多かった。大爆発とはいきませんでしたがRema、Tylaといったアフリカ地域の音楽も来年以降大ブレイクしても不思議ではなくなりました。

1: Kill Bill / Sza

去年の年末に登場してましたが、今年はSzaが大活躍でした。最初何か昔の曲のカバーかと思ってしまうほどスタンダード感があって、切なく歌うSzaの声が恋人を殺すという衝撃的な歌詞と合わさってとても哀愁がありました。1位になって欲しかったと思っていたらDoja Catのリミックスで(チャート上では出てきませんが)一気に1位まで取れたのは良かったです。

2: Boy's A Liar Pt.2 / Pinkpantheress & Ice Spice

Sound Of 2022年のWinnerであったPinkpanthressと今年大ブレイクしたラッパーIce Spiceの曲のヒットはやはり今年の代表的なヒットと思います。Pinkpanthressのメロディアスなポップ音楽に、スパイスのように効いたドスの効いたIce Spiceのパートは曲を味わい深いものにしています。

3: Vampire / Olivia Rodrigo

Olivia Rodrigoはデビューで大ブレイクして今年期待されていたアーチストでしたが、期待を超える活躍でした。「Vampire」は「Drivers Licence」のようなパワーバラードと思いきや、徐々にテンポが上がっていき、最後にはトランスのような終わり方を見せるというJim Steinmanのようなドラマチックな構成も素晴らしいと思います。

4: Paint The Town Red / Doja Cat

去年の活躍ですっかりポップスターとなったDoja Catですが、スターとなった反動からダークな雰囲気に変わったのには驚きました。「Paint The Town Red」はアルバム1曲目ですが、バカラックの「Walk On By」を使ってアンチヘイトな曲として私の道を歩くという風に変えています。アルバムではここから「Demons」もろもろと続くわけで、アルバムセールスは振るってませんが、それでもこの曲が1位を取れるあたり強いです。

5: My Love Mine All Mine / Mitski

同じ日本人としてMitskiの活躍(正しくは年明けてからヒットするでしょうが)はうれしいトピックスでした。この曲も最初からスタンダード感たっぷりで、ゆったりと漂うようなメロディはひたすら美しく、Mitskiのボーカルも素晴らしものでした。

6: Cruel Summer / Taylor Swift

今年最も活躍したのはTaylor Swiftでした。昨年『Midnights』のリリースでシングルヒットが続く中で過去作の再録盤が2枚リリースして、いずれも今年のセールスで最も多くを売り上げました。さらにはこの曲、2019年のアルバム収録曲ながら、Taylor Swiftの意向で再カットして大ヒット。収録された『Lover』を含む4枚のアルバムが売れ続けましたが、こんなことは普通はまずあり得ません。もともと2020年にリリース予定だったものがコロナの関係で中断されたのですが、話題となったErasツアーではこの曲をフューチャーしてこれが1位まで押し上げました。エレクトロポップに躍動感のあるリズムが心地いいサウンドで、確かに『Midnights』以降のスタイルにもマッチしていました。

7: Water / Tyla

来年はひょっとしてもっと上のヒットになるかもしれないし、アフリカンビートとR&Bの融合がブームになるかもしれません。南アフリカ出身のTylaのこの曲はかつてのR&Bのディーバを彷彿とさせる力強さと艶やかなボーカルが魅力です。

8: I Remember Everything / Zach Bryan f. Kacey Musgraves

今年カントリーが活躍する中で、Zach Bryanのこの曲とアルバムが1位を獲ったのは衝撃的で、チャートの歴史にいくつか訪れる奇跡の瞬間だったと思います。カントリーというよりはロック的。シンプルなメロディながら力強く歌う二人のデュエットは美しくも感動的です。

9: Cupid / Fifty Fifty

欧米のガールズポップはセクシーで強いといったイメージがあるのですが、この手のカワイイ系がちゃんとチャートで受け入れられたというのは驚きでした。K-Popの路線とはまた違った普通に洋楽のダンスポップのお手本というべき曲で、この手の曲が来年以降に増えてくると2000年のあのポップスブームの再来が起きるかもしれません。

10: Get Him Back / Olivia Rodrigo

Olivia Rodrigoぐらに影響力のあるアーチストがこんなストレートなパンクロックをするというのも凄いです。Joan Jettsの「I Love Rockn Roll」の現代版という感じで、この手のロックは聞くと力が沸いてきてロックって良いなと思います。

Non Top 40の中でも10曲選びました。

 

1: Crash The Car / Knower
2: Black Seminole / Lil Yachty
3: On My Mama / Victoria Monet
4: Not Strong Enough / Boygenius
5: Will Anybody Ever Love Me? / Sufjan Stevens
6: ETA / Newjeans
7: From The Start / Laufey
8: Begin Again / Jessie Ware
9: This Is Why / Paramore
10: Hollywood Baby / 100 Gecs

1: Crash The Car / Knower

絵に描いたような素晴らしいパワーバラードなのですが、Genevieve Artadiのボーカルが、このアルバムでは神がかっていて、特にこの曲では最初の入りから最後の盛り上がりまでずっと素晴らしい。まず曲が良くて、各楽器のパートが良くて、コーラスが入り盛り上がり、ストリングスが入ってさらに盛り上がるという、最後の最後まで熱気が伝わってくる曲でした。

2: Black Seminole / Lil Yachty

この人ラッパーですよね。ブロッコリの人ですよねと疑ってしまうほどこの曲はPink Flyodの『狂気』そのものでした。演奏もそうですが、ギターの入り方がえぐくて、しかも2段構えの後半は女性ボーカルのスキャットを交えながら盛り上がる大曲です。

3: On My Mama / Victoria Monet

Grammy賞でもノミネートされて、来年はきっと注目されるでしょうVictoria MonetはもともとはAriana Grandeの「Thank U Next」や「7 Rings」を書いていたソングライター。この曲も現在まで最高48位とTop40ミスですが、結構ボーカルも力強くて、粘っこいボーカルに元々のメロディアスな曲と、最近元気のないR&BではSzaに次いで活躍しそうに思っています。

4: Not Strong Enough / Boygenius

Julian Baker、Phoebe Briders、Lucy Dacusというインディロック界のスターが競演するBoygeniusですが、そのアルバムの中でも開放感のあるメロディが特に光るのがこの曲。曲の入り方が良くて、ドライブ感満載で、サビまで一気に心が持って行かれます。

5: Will Anybody Ever Love Me? / Sufjan Stevens

Beatlesを彷彿とさせるような美しいメロディと混沌としたノイジーな音との融合が素晴らしいSufjan Stevensのアルバムは今年の目玉でしたが、この曲は特にまとまっていて、後半の混沌としたパートを含めて特徴的な音でした。

6: ETA / Newjeans

Newjeansの「Super Shy」はメディアのベストによく選ばれていましたが、正直『Get Up』の収録曲はどの曲も素晴らしいもので、個人的にはラテンのリズムがアクセントになっているこの曲を入れました。日本の代名詞であったカワイイ系があちらでもちゃんと受けたところが凄いです。

7: From The Start / Laufey

今という時代にボサノバが新曲として登場するというが衝撃ですが、クラッシックボーカルのLaufeyは美貌も併せてスター性が満載で、次が楽しみなアーチストの一人です。

8: Begin Again / Jessie Ware

Stevie Wonderの「Another Star」が流れたのは1976年のディスコブーム前夜。前作で70年代後半のリバイバルディスコブームの中心として存在感のあったJessie Wareはそのアンセムソングというべきこの曲で存在感を出しました。ただ今年Milye Cyrusの「Flowers」のヒットがあったもののディスコブームが下火になりつつあり、この曲の立ち位置も今年初めよりは微妙になりました。

9: This Is Why / Paramore

Paramoreは定期的に管理人の選ぶベストに入ってくるバンドではありますが、今回のアルバムで別の次元に行った、パンクとポップが良い具合に癒合した音が独特で素晴らしいです。

10: Hollywood Baby / 100 Gecs

今年一番期待されていて、ちょっと肩透かしを食った感じもありますが、ハイパーポップというかBeckのようなごちゃ混ぜ感がありながら、ポップである音は独特で、素晴らしいです。その中でどちらかと言えばロック感のあるこの曲がヒット要素が高かったのですが、反応も思ったよりはなかったのは残念でした。