2010年の全米1位曲 (17)
2010年の音楽シーンはKe$haがLady Gagaの作ったデジタルロックの流れを引き継ぐ形でブレイクし、Lady Gaga、Katy Perryと合わせて新世代の女性ポップアーチストが活躍しました。この年ブレイクしたのはBruno Marsで、B.O.B.でのシングルヒットに始まり、自身のソロも成功を治めるなど2010年代の大活躍のきっかけとなりました。
■ Tik Tok / Ke$ha
9W
ロサンゼルス出身のソングライターKe$haのデビューシングルにしてビッグヒットで1月2日付から2月27日付まで9週間1位を記録、2010年の年間1位曲にも輝きました。最初の1位週となる12月27日までの週間ダウンロードでは610,000回のダウンロードを記録して、女性シンガーとしては最も多い記録を作りました。2008年に登場したKaty Perry、2009年に登場したLady Gagaのようなデジタルポップサウンドで、Katy Perryとは友人であったことから「Kiss A Girl」のミュージックビデオにも出ていました。この曲の前には全米1位になったFlo Ridaの「Right Round」でもバックで歌っていますが、自身のイメージに合わないということで、ビデオ出演を拒否し、フューチャリング表記もされませんでした。デジタルロックサウンドにボイスチェンジャーのアレンジ、ラップスタイルで歌う感じは2010年代の流行の一つのスタイルでした。このヒットを受けてデビューアルバム『Animal』も全米1位に輝いています。
■ Imma Be / Black Eyed Peas
2W
2009年に「Boom Boom Pow」と「I Gottta Feeling」がメガヒットしたBlack Eyed Peasのアルバム『The E.N.D.』から4曲目のヒットにして3曲目の全米1位です。Lil Wayneの「A Milli」調の念仏のようなヒップホップなパートと後半のAORなパートをつなげたメドレーのような曲で3月6日付けと3月13日付の2週間全米1位を記録しています。近未来のメカが登場するSFチックなPVははお金がかかっています。
■ Break Your Heart / Taio Cruz f. Ludacris
1W
ロンドン出身のシンガーTaio Cruzの全米1位曲です。アルバム『Rockstarr』からのカットで、3月21日付で1位を記録しました。全英で2009年に1位を獲得したいかにも全英で受けそうなシンセサイザーポップスなヒップホップで、これまでのヒップホップとは違ったポップでEDMな香りのするサウンドが2010年の一つの形でした。全英でヒットしたバージョンにはLudacrisがフューチャーされていませんが、全米1位の時には参加していてLudacrisにとっても嬉しい1位となりました。Taio CruzとFraser T Smithが作曲プロデュースをしています。
■ Rude Boy / Rihanna
5W
Rihannaの6曲目の全米1位曲で、3月28日付から4月24日付まで5週間全米1位を記録しました。2009年に発売されたアルバム『Rated R』からのカットですが、3曲目のカットで1位を獲得しました。2010年代に流行していたエレクトロポップなヒップホップサウンドでヒットメイカーStargateがプロデューサーをしています。
■ Nothin' On You / B.O.B. f. Bruno Mars
2W
アトランタ出身の若手ラッパーB.O.B.のデビューヒットにして全米1位獲得曲で、5月1日付と5月8日付の2週間全米1位を記録しています。Bobby Ray Simmons Jrというのが本名で、BobをB.O.B.と書かせています。曲はBruno Marsの書くメロディアスでドリーミングな曲にB.O.B.のラッピンが軽快に乗ります。おおよそヒップホップらしくない明るさがありメロディメイカーBruno Marsの名前はこれで世界中に知れ渡りました。B.O.B.も人気ラッパーとなりアルバム『The Adventure Of Bobby Ray』も全米1位を獲得しました。
Usherの9曲目の全米1位曲で、5月15日付と、1週飛ばして5月29日付と6月12日付までの計4週間全米1位を記録しています。曲はOMGと書いてOh My Godの意味でアルバム『Raymond V Raymond』からの2ndカットでした。Black Eyed Peasの頭脳 Will.i.am作曲プロデュースによるデジタルロックトラックで、ボコーダーサウンドもやっています。
■ Not Afraid / Eminem
1W
Eminemの3曲目の全米1位曲で、5月22日付の1週間1位を記録しています。前回の1位「Crack A Bottle」と同様に先行カットのデジタルダウンロードにより一気に1位を獲得したナンバーですが、Eminemの曲の中では「Lose Yourself」に近い真面目なラップナンバーで、2000年代のEminemとは全く変わったEminemのイメージを印象付けました。Eminemの分岐点となったアルバム『Recovery』からのカットです。
■ California Gurls / Katy Perry f. Snoop Dogg
6W
Katy Perryの2曲目の全米1位曲で、6月19日付から7月24日付まで6週間1位を記録しました。アルバム『Teenage Dream』からの最初のカットですが、まさかこの1位から5曲連続1位を獲るとはこの時点では予想していませんでした。作曲はKaty PerryにDr.Luke、Max MartinにBenny Blanco、Bonnie MckeeとSnoop Dogg。プロデューサーはDr.LukeにBenny Blanco、Max Martinとヒットメイカーがずらりと並んでいます。リズムの感じは「Around The World In A Day」のころのPrinceっぽくもあり初期のMadonna、またはKool & The Gangっぽくもある80年代な音で、Lady GagaやKe$haとまた違った路線のダンスポップです。この新しい感じのカリフォルニアナンバーで一気にKaty Perryの人気が盛り上がり、アルバム『Teenage Dream』も初の全米1位に輝いています。
■ Love The Way You Lie / Eminem f. Rihanna
7W
Eminemにとって4曲目、フューチャリングされたRihannaにとって7曲目の全米1位曲です。7月31日付から9月11日付まで7週間1位を記録して、1位獲得週は352,000回のダウンロードを記録しました。Rihannaの歌うバラードとEminemのラップを組み合わせて大ヒットとなりましたが、このスタイルは一つの形となり、その後の「Monster」のヒットにも通じていきました。
■ Teenage Dream / Katy Perry
2W
Katy Perryにとって「California Gurls」に続く全米1位で、通産で3曲目の全米1位曲です。アルバム発売と同時にダウンロードとエアプレイを集め9月18日付と9月25日付の2週間全米1位を獲得しました。最初の1位週は221,000回のダウンロードを記録しています。シンプルな曲調ながら大人となった人たちを強く励ますような曲で、後にGlee CastによるカバーもTop10ヒットを記録しました。
■ Just The Way You Are / Bruno Mars
4W
B.O.B.のヒットや、Travie McCoyなどのヒットでチャートを賑わせていたハワイ出身のソングライターBruno Marsのソロとして初の全米1位曲です。10月2日付から10月23日付まで4週間全米1位に輝きました。1位になった週は194,000回のダウンロードを記録しています。Bruno Marsらしい美しいメロディとポップなフィーリングのあるナンバーで、メロディメイカーとしてのBruno Marsの名前を一躍知らしめました。カセットテープが歌うビデオクリップも話題になりました。
■ Like A G6 / FarEast Movement f. Cataracs & Dev
3W
ロサンゼルス出身のテクノバンドFar East Movementの初の全米1位曲です。10月30日付と11月6日付、2週間1位を明け渡して11月27日付の通産3週間全米1位に輝きました。Kev Nish、Prohgress、J-Splif、DJ Virmanの4人組で、それぞれ日本系、中国系、韓国系、フィリピン系であるので「極東」という名前がつけられています。Black Eyed Peasに代表するようなエレクトロポップで、よりハウスサウンドっぽく、ボーカルはラップスタイルという音です。プロデューサーはフューチャリングされているThe Cataracsで挟まれる女性ボーカルがDevです。シンプルなメロディながら癖になる曲です。
デビューヒット「Tik Tok」に続くKe$haの2曲目の全米1位曲です。EP『Cannibal』からのカットで、11月13日付で1週間1位を記録しています。1位獲得週のダウンロード280,000回で、「Tik Tok」に近いデジタルダンストラックです。Kesha自身にDr.LukeにBenny Blanco、Ammo、Kasher Hindinの作曲で、プロデュースはDr.Luke、Benny Blanco、Ammoとなっています。
■ What's My Name ? / Rihanna f. Drake
1W
Rihannaの8曲目の全米1位曲です。アルバム『Loud』からカットされ、その前にカットされていた「Only Girl」を抜いて先に1位を獲得しています。週間ダウンロード235,000回を記録して11月20日付で1週間1位を記録。12月25日付ではエアプレイ増加により再浮上しています。ここでフューチャリングされたカナダのシンガーソングライターDrakeにとっては初の全米1位曲となります。ヒットメイカーStargateプロデュースするヒップホップなナンバー。
■ Only Girl (In The World) / Rihanna
1W
「What's My Name?」よりも前にカットされた「Only Girl」がエアプレイとセールスで12月4日付で1週間1位を記録し、Rihannaの全米1位は9曲目となりました。2010年は4曲を1位に送り込む活躍を見せたRihannaですが、この曲もヒットメイカーStargateのプロデュースながら、EDMの香り漂うダンスサウンドを取り入れています。
Pinkの初のベストアルバムからカットされて12月11日付で1週間1位を記録しています。週間のダウンロードは209,000回を記録し、好調なエアプレイ(6位)と合わさっての1位でした。Pinkとしては「So What」に続くソロ2曲目の1位で、作曲は「So What」を手がけたMax Martinでした。Max Martinらしいメロディアスでパンチの効いたPinkらしいロックナンバーです。
Katy Perryのアルバム『Teenage Dream』から3枚連続の全米1位曲で、これは女性ソロとして1998年から1999年にかけてのMonica「Boy Is Mine」「The First Night」「Angel Of Mine」に続く出来事でした。また集計期間としては12月18日付から1月1日付と1週空いて1月15日付の合計4週間1位を記録していて、1位獲得週のダウンロードは212,000回を記録しています。ヒット請負人となったStargateプロデュースナンバーで、花火を挙げよう、爆発しようというエンパワーソングで、壮大でメロディアスなサビが効いています。花火がKaty Perryから打ちあがるビデオクリップも話題になりました。
ということで1990年から2010年まで全米1位を振り返ってみました。