□ Billboard No.1 Hits - 1984 - (19)
- Prince & the Revolution
- Purple Rain (1984 Film)
今週は1984年の全米1位曲を紹介します。私が洋楽を聞き始めたのがこの年ですが、全米1位に関しては名曲が多かった年という印象があります。ブリティッシュインベイジョンの波が83年をピークに収まり始め、全米から新しいスターが次々と登場していきます。
その一人がPrinceで、自身を映画化した『Purple Rain』で世界的なブレイクを果たします。そして女性ポップシンガーの時代を開いたCyndie LauperとMadonnaが登場します。UKからはGeorge Michael(Wham)が全米に上陸。80年代ヒットメイカーのPhil Collinsもこの年に初の全米1位を獲得します。80年代のシーンを引っ張る主役が揃い始める、そんな年でした。
■ Owner Of A Lonely Heart / Yes
( 2 Weeks)
『こわれもの』や『危機』で知られるUKのプログレッシブロックバンドYesの初の全米1位曲です。「Round About」(72年13位)以来、シングルヒットを出すようなバンドではありませんでしたが、80年代に入りBagglesのTrevor Hornを加えて、ポップな曲も作るようになります。そしてこの年にはついに初の全米1位を獲得しました。ショッキングなビデオクリップもまた話題になりました。
■ Karma Chameleon / Culture Club
( 3 Weeks)
ブリティッシュインベイジョンの中心的なバンドであったCulture Clubの唯一の全米1位曲です。邦題が「カーマはきまぐれ」ですが、Boy George が女装であったことから「オカーマは気まぐれ」などとも言われました。曲はCulture Clubらしいラテンのリズムと美しいハーモニーが魅力のナンバーです。この曲が収録された『Colour By Numbers』はシングルヒットを連発して、日本でも大人気でした。
■ Jump / Van Halen
( 5 Weeks)
最近TVCMでも話題のこの曲は70年代末に登場したハードロックバンドVan Halenの全米1位曲です。Michael Jacksonの「Beat It」でも話題になっていたEddie Van Halenの両手を使った高速ギター、そしてボーカルDavid Lee Rothの魅力が詰まったポップなナンバーですが、特に間奏部分の盛り上がりは何度聞いても痺れる魅力があります。
■ Footloose / Kenny Roggins
( 3 Weeks)
この年に話題になった映画『Footloose』からタイトルトラックです。Kenny Rogginsも70年代から80年代にかけてヒットを数多く放ってきましたが、この曲で全米の頂点を立ちます。映画『Footloose』はダンスを禁止されていた田舎町を舞台にした映画で、映画の各パートはミュージックビデオのような作りになっていました。
■ Against All Odds ( Take A Look At Me Now ) / Phil Collins
( 3 Weeks)
80年代に数多くのヒットを放つGenssisのメンバーPhil Collins初の全米1位獲得曲です。映画『カリブの熱い夜』サントラからPhil Collinsらしい美しいメロディの光るバラードナンバーです。邦題はややこしいですが「見つめて欲しい」。ちなみにPoliceは「見つめていたい」。
■ Hello / Lionel Richie
( 2 Weeks)
ヒットメイカーLionel Richieの4曲目の全米1位曲。Lionel Richieらしい泣きのバラードですが、ビデオクリップがまた素晴らしいものに仕上がってます。盲目の少女に電話をかけるLionel Richieがこの曲のサビを歌う場面は、ちょっとコメディが入っています。
■ Let's Hear It For The Boy / Deniece Williams
( 2 Weeks)
映画『Footloose』から2曲目の全米1位曲。「Free」のヒットでも有名なソウルシンガーのDeniece Williamsでしたが、この曲で初の全米1位を獲得します。映画ではケビンベーコン演じる主人公がダンスの下手な少年にダンスを教えるシーン でこの曲が流れますが、これがミュージックビデオとしても秀逸で、映画の中でも印象的な場面です。
■ Time After Time / Cyndi Lauper
( 2 Weeks )
女性シンガーの時代が到来。Cyndie Lauperが「女性だって楽しまなきゃ」と歌うまでは女性はまだまだ抑圧されていた時代でした。そしてセクシーで強い女性像を作り上げたMadonnaの登場。当時の洋楽ファンはCyndie派とMadonna派に二分されていましたが、この年のCyndie Lauperの活躍はすさまじいものがありました。「Girls Just Wanna Have Fun」が2位に輝いた後、この名バラードが全米1位を獲得します。その後もヒット曲を続け、デビューアルバムから4曲がTop5入りする活躍を見せました。ドラマのようなビデオクリップもまた素晴らしいです。
■ The Reflex / Duran Duran
( 2 Weeks)
ブリティッシュインベイジョンの中心バンドの一つ、Duran Duranの初の全米1位獲得曲。もともとはシングル向きでない曲で、アルバムからの3rdカットでしたが、ChicのNile Rogersが「リ・リ・リ・リフレックス」の名イントロとともにクールなナンバーにミックス。もともとビジュアルにも定評のあったバンドでしたが、このビデオではその魅力も詰まっています。日本でも当時凄い人気でした。
■ When Doves Cry / Prince
( 5 Weeks) * 年間シングル
80年代初めにミネアポリスから登場したPrinceは1982年に『1999』でポップシーンでブレイクし、続くアルバム『Purple Rain』からこの曲が1位となって一気にトップスターの座に駆け上がります。5週1位ながら1984年の年間1位シングル。ネットリとしたファンクのリズムにまるで念仏のようなメロディ。一度聞いたら癖になりそうな魔力を持っています。
■ Ghostbusters / Ray Parker Jr
( 3 Weeks)
この年はサントラヒットが多かった年ですが、この曲も映画『Ghostbusters』からのタイトルナンバー。Ray Parker JrはGhostbustersだけじゃなくヒット曲もかなり出していますが、いかんせんこの曲のイメージが強すぎるようです。ビデオクリップには驚くようなゲスト(刑事コロンボに大草原のローラ)が登場しています。
■ What's Love Got To Do With It / Tina Turner
( 3 Weeks)
Tina Turnerのデビューヒットが1960年だったので、この曲が全米1位になるまで都合24年をかかったという苦労ヒットでも有名です。曲はTina Turnerのハスキーでパワフルなボーカルの魅力が良い味を出しているバラードで、この年のGrammy賞も受賞しています。
■ Missing You / John Waite
( 1 Week)
数ある80年代のヒット曲の中でも私がこよなく愛しているナンバーの一つ。BabiesのメンバーだったJohn Waiteの初の全米1位曲ですが、この後89年にはBad Englishとして再び全米1位を獲得します。とにかく歌いやすいナンバーで、歌っていると思わず入り込んでしまいます。
■ Let's Go Crazy / Prince
( 2 Weeks)
映画『Purple Rain』から2曲目の全米1位。Princeの勢いのすさまじさを感じさせる全米1位獲得ですが、独特のドラムに乗りながらノリの良いファンキーなロックを聞かせてくれます。曲のラストのジミヘンばりのギターもご愛嬌。
■ I Just Called To Say I Love You / Stevie Wonder
( 3 Weeks)
邦題「心の愛」で日本でも大ヒットしたナンバー。60年代から全米1位を獲得しているStevie Wonderの8曲目の全米1位曲です。70年代のファンキーで酔うようなメロディラインとは違った、ど真ん中のバラードナンバーで、80年代Stevieの代表的ナンバーでもあります。
■ Caribbean Queen ( No More Love On The Run) / Billy Ocean
( 2 Weeks)
80年代にヒットを連発するBilly Oceanの初の全米1位曲。当時聞いていてこの年の中で唯一全米1位が?と思っていたナンバーですが、改めて聞いてみるとディスコサウンドをアダルトコンテンポラリー風に上手く消化したナンバーと思いました。個人的には次のカットの「Loverboy
」(2位)の方が好きでした(John Matt Raungeとの共作)。
■ Wake Me Up Before You Go- Go / Wham
! ( 3 Weeks)
ブリティッシュインベイジョンに乗り遅れたと思いきや、この後すさまじい活躍を見せるGeorge Michael のバンドWhamの初の全米1位曲。60年代MotownのSupremesのリズムを使ったオールディーズ風のポップナンバーですが、サビで「Before You Go-Go」とGoを2連続で使っているところが素晴らしいです。
■ Out Of Touch / Hall & Oates
( 2 Weeks)
80年代に出す曲出す曲を全米1位に送り込んできたHall & Oatesの6曲目の全米1位曲にして現在までの最後の全米1位曲。Hall & Oatesらしい美しいメロディを持ったダンスチューンで、ビデオの中で披露するDaryl Hallの軽やかなステップは見所の一つ。
■ Like A Virgin / Madonna
( 6 Weeks)
84年最後の1位がMadonnaの初の全米1位というのも何か象徴しています。Chic のNile Rogersと組んで作られた2ndアルバム『Like A Virgin』からのタイトルトラックにして、Madonna伝説の始まりでした。ベニスで撮影されたビデオクリップは強烈な印象があります。
ということで84年の全米1位曲でした。