Classic Pop Album | ver.5 - 洋楽チャートをデータと共に

ver.5 - 洋楽チャートをデータと共に

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Classic Pop Album紹介


Discovery / Daft Punk (01)


Daft Punk
Discovery

 『Discovery』はフランスのテクノポップアーチストDaft Punkが01年に発表したアルバムです。Daft Punkは97年に発表されたデビューアルバム『Homework』から「Around The World」「Daftendirekt」「Da Funk」がシングルヒットして一躍注目を集めました。ボイスチェンジャーを多用したり、音をこもらせるエフェクトを使うなど、他のテクノポップサウンドとはちょっと違った歪んだサウンドが特長でした。そして4年後に発表されたこのアルバムですが、テクノポップでありながら、過去のポップミュージックのエッセンスがこってりと入ったアルバムに仕上っています。アルバムを聞いて感じるのはポップスの全盛期であった70年代のサウンドの懐かしさ、それは10ccだったりELOだったりします。同じ頃にMadonnaはフランスのミルウェイズと『Music』を出していますが、あれもテクノポップでありながら、根っこはポップミュージックリバイバルでした。『Discovery』が発売された頃は次世代の音はこんな感じになるのかと期待したものです。


 「One more time 」は70年代後半のディスコサウンドにCherが「Believe」で使ったボイスチェンジャーがアクセントになっています。1曲目が終わると、鐘の音が入り、前作を引き継いだような切れ味鋭いファンクサウンドの「Aerodynamic 」が続きます。激しいビートのリズムにギターが唸りを上げ絡みます。「Digital love 」はまるでELOのようなスペースファンタジーサウンドです。次の「Harder,Better,Faster、Stronger 」もそうですが人間のボーカルをサンプリングして音を変えながら曲に貼り付ける、ギターのノイズを散りばめるという、サウンドが奥深いです。「Crescendolls 」はテクノダンスパーティナンバー。「Nightvision」のぞっとするほど10ccな音に導かれ「Superhero 」でアルバム最初のクライマックスが訪れます。そして「High life」で2度目のディスカバリーへ出航。「Something About Us」はダフトパンク流AORサウンドで、「Voyager 」でChic風カッティングギターが展開すれば、「Short circuit」では80年代初期のPrinceがやっていたファンクサウンドが現代に蘇ります。「Face to face」はいくつかのサウンドを切り貼りするポップの”ステンドガラス”で、10分以上の大曲「Too long」でアルバムは閉められます。


 アルバムに収録されている曲はそれぞれに懐かしいメロディとテクノの持つ強烈なビートがあって、それぞれの曲がドラマチックに展開します。2001年を代表するポップミュージックの一枚です。 
★★★★