Classic Pop Album紹介
It's Better To Travel / Swing Out Sister (87)
- Swing Out Sister
- It's Better to Travel
音楽に身をゆだね、そっと目を閉じると様々な世界の光景が頭を次々と通り過ぎていきます。It's Better To Travel。そんな素敵なタイトルのアルバムはいつでも手に取りやすいように自分のCDラックの左端に置かれています。
『It's Better To Travel』は86年に発売されたSwing Out Sisterのデビューアルバムです。「Breakout」などのヒットにより文字通り世界中でブレイクしました。特に日本ではCMに起用されたこともあって人気を集めました。Swing Out Sisterはファッションデザインの勉強をしてきたコリーン(vo)、マンチェスター大学で哲学を専攻しながらジャズバンドをしていたアンディ(Key)、パンクからエレクトロまで幅広いサウンドを模索していたマーティン(D)の3人によるポップグループです。アンディの書くジャズ、ロック、ポップ、ソウルといった幅広い音楽性にマーティンがダンス色を加え、コリーンがエレガントに演出します。この独特のコンビネーションこそがSwing Out Sisterの魅力であり、それが最も発揮されたのがこのデビューアルバムでした。
アルバム1曲目の「Breakout 」は60年代のオールドポップスを下敷きにしながらファンクサウンドで華麗にコーティングしたSwing Out Sisterを代表するナンバーです。全米で6位、全英では4位の大ヒットを記録しました。東京駅のSEから始まる「Twilight World 」はアンディのバカラック志向が垣間見えるゴージャスなナンバーです。バックのストリングスとコリーンの伸びやかなボーカルの絡みが魅力的です。「After Hours」は映画のスコアサウンドのように次々と情景が変わっていくSwing Out Sisterらしいナンバーです。デビューシングルの「Blue Rood」を挟んで、全英で7位のヒットを記録した「Surrender 」が流れます。ポップでカラフルな「Breakout」とはうってかわって、ロマンチックなサウンドに載せてコリーンがしっとりと大人のボーカルを聞かせます。「Fooled By A Smile」は日本の清涼飲料水のCMで使われた「Breakout」のようなポップナンバーです。サビのメロディは一度聞けば忘れられない美しさがあります。映画のスコアサウンドのような「Communion」、アダルトコンテンポラリーな「It's Not Enough」が続いた後、最後に「It's Bettter To Travel」のインストゥルナンバーでアルバムは閉められます。
オールドポップスを見事なまでに現代風に、ダンスミュージックとしても聞けるようにアレンジされたポップスの傑作です。
★★★☆