「もう全部終わりにしたいんです」とおっしゃる方が
今日も明日も律儀に会社に出社します。
遅刻をするでもなく、サボるわけでもなく、
至って真面目に仕事をこなして、そしてまたカウンセリングルームの扉をたたく。
つらい。助けてほしい。
でも…私は本当に助かっていいのだろうか。
ふだん、
頑張って努力して、自分を実際以上の姿に見せようとしている人ほど、
「何も出来なくて、怠け者で、これといった才能もない本当の私」
を嫌というほど知ることになります。
「良い」という概念がなければ「悪い」という概念も生まれないのと同じで、
理想の自分があればあるほど、そうじゃない自分にも気づいてしまう。
そして、本当の私では到底周囲に受け入れてもらえないと思うから、ますます「理想の私」で頑張らないといけなくなる。
すると、例えばカウンセリングで
「頑張りすぎない状態に心を戻していきましょうね」
なんて言われると、胸がざわざわしてしまいます。
だって、「頑張ってない時の自分」では生きていけないと思っているから。
本来の自分に戻っても、幸せにはなれそうもないから。
つらいから、本当は助けてほしいけど
こんなにダメな自分だから、きっと助かってしまったらもう何もしないんじゃないか?
何も頑張れなくなっちゃうんじゃないか?
そう思うと、軽々しく口に出せる言葉が何もなくなってしまって、
「全部終わりにしたい」
「消えてしまいたい」
という願望が生まれます。
無理をしてばかりでつらい自分も、
本来の何もできないだめな自分も
どちらでも苦しいのなら、自分を消してしまうことが解決、というわけですね。
本当は、その「何も出来ないだめな自分」というのは、全然「本来」の姿ではないのですが
悩みの渦中にいる時は、なかなかそうも思えません。
そういう人にとってはある意味「消えてしまう」ことが
ひとつの救いのように思えたりもします。
「消えてしまいたい」という言葉の中に
自分が何を見ているのか、どんなことを望んでいるのか。
「消えたい」について極めていくのも、カウンセリングだったりします。
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※このブログ内に登場するエピソードは特定のクライアントさんの経験談とは関係ありません。