ある男性会社員は、定時後も毎日会社に残って上司の仕事をサポートしていました。
上司の仕事を手伝えば、自分にはまかされない業務を知ることができるので、自分のステップアップのためにも意欲的でした。
それに、上司からもとても頼りにされて気持ちがいいです。
「君は優秀だ、とても助かるよ」なんて言われると、尊敬する上司の役に立てていることが誇りにすら思えました。
ある日、男性会社員の働きぶりをどうにか評価したいと考えた上司は、こんなことを言いました。
「君は毎日仕事を手伝ってくれているから、上層部に掛け合って給与をあげてもらったよ。これからも頼むね。」
男性会社員は、上司が自分のことを考えていてくれたことにとても感動しました。
そして、もっと頑張ろう、役に立ちたい、と強く思いました。
ところが…
それからしばらくして、男性会社員は自分に違和感を感じていました。
なんだか最近やる気が出ません。
前のような意欲ややりがいが、湧いてこないのです。
自分のためになると思っていたはずの仕事は、なんだか急に面倒でつまらない作業のように感じるし、
上司から仕事を頼まれる時も、不満を感じるようになりました。
燃え尽き症候群なのか?
もしかしてうつ?
不安になった男性会社員は、「うつと診断されたら仕事に影響が出るんじゃ…」と考え、とりあえずカウンセリングルームに行ってみることにしました。
アンダーマイニング効果
「以前は楽しくやっていたのに、なぜか途中から面倒になった」
こんな経験があったら、「楽しい→面倒」に変わる間に起こった出来事を思い出してみると、きっかけがあったりします。
もちろん、燃え尽き症候群やうつという可能性もありますが、「アンダーマイニング効果」も知っていてよいかもしれません。
アンダーマイニング効果とは、もともとその人が意欲的に行っていたことに報酬を与えると、意欲が減ってしまうというものです。
男性会社員は、上司から
「君は毎日仕事を手伝ってくれているから給与をあげてもらったよ。これからも頼むね。」
と言われたことで、「仕事」の意味が変わってしまいました。
これまでは、
上司から頼られる嬉しさややりがい、
自分のステップアップになるという意欲
などが、男性会社員が仕事を手伝う意味であり動機でした。
ところが、この働きに給与が生じたことで、
仕事は給与をもらうための手段
に変わってしまいます。
これによって、仕事をする意味が変わり、純粋に仕事を楽しむことが出来なくなってしまうんですね。
そしてこの給与は「毎日仕事を手伝ってくれているから」もらえた給与であり、ということは今後も仕事を手伝うことを前提とされているようにも感じます。
人は面白いもので、自発的にやっていることを強制されると、やりたくなくなってしまうんです。
※「だから給与をアップさせてはいけない!」という話ではありません(笑)
上司は良かれと思って給与をあげ、それを男性会社員も喜んだはずなのですが、
それが「逆効果」になってしまうこともあります。
月曜日に続きます
(あしたはクライアントさんの感想をアップします)
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