支えても尽くしても泥沼「イネイブラー」② | 仙台駅前にあるカウンセリングルーム まきび

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 イネイブラーの背景

 

なぜイネイブラーは「ただのお世話」ではなく「相手のためにならないお世話」をしてしまうのでしょうか。

 

例えば、ケアテイカーが「家族の代わりにお世話役をする」のだとすれば、

 

イネイブラーには「家族の代わり」に加えて、「自分の苦しみを見ないためにお世話役になる」という側面があります。

 

これはつまり、「他人に意識を向け続けていれば、自分の心の傷と直面しなくて済む」ということです。

 

 

 

そう考えれば、イネイブラーのお世話が「相手のためにならない」お世話なのも納得できます。

 

相手がもし良くなってしまったら、

相手の問題がもし改善されてしまったら、

イネイブラーは自分の心の傷に気づかなければならなくなります。

 

だから、イネイブラーは適切な援助をするわけにはいかないのです。

 

相手の問題を助けているようで、結果が伴わないのはこれが理由です。

 

 

 誰もがイネイブラーの素質をもつ

 

さて、こんな感じで説明されていると、「イネイブラーってひどい」と思ってしまうかもしれません。

 

でも、例えば、部下に対して「なんか助けてあげたくなるんだよな~」なんて思ったことはないでしょうか。

 

困っている人に弱くて、ついつい話を聞いてあげたりすることはないでしょうか。

 

あるいは恋人に対して「この人は私がいないとダメになってしまうかも」なんて思うことはないでしょうか。

 

 

こういう感覚は、ある程度面倒見の良い人であれば一度は感じたことがあるんじゃないかと思います。

 

実は、これがイネイブラーの入口なんです(笑)

 

私たちは、自分がやっていることがイネイブリングだなんて、なかなかわからないものなんです。

 

でも、実は多くの人がその素質を持っている。

 

こころの傷がある人で、

誰かを支える以外で楽になれる機会がなかったり、

支えが必要な相手と出会うことがあったら、

誰でもイネイブラーになってしまう可能性があります。

 

「相手のために」「仕方がないから」「ことわれなくて」なんて思ってやっていることが、本当は自分の心の傷から眼をそむけるための行動だったりするので、

 

イネイブラーは、全然他人事じゃないんですよね。

 

 

 

 「自分が救われる」を大切に

 

イネイブラーにならないために、

もしくはイネイブラー状態から抜け出すために、

出来ることは一つだけ。

 

「他人を救おうとしないこと」です。

 

イネイブラーは家族の空気をよく読んできました。

 

だから、「他人のしてほしいこと」がなんとなく分かります。

 

してほしいことを察すると、その通りにしたほうがいいような気持ちになります。

 

そして、先回りしてお世話をするようになります。

 

でも、イネイブラーがそれをするたび、自分自身が救われるチャンスを失っていきます。

 

他人を救えば救うほど、自分の時間は他人のために使われて、

自分の労力は他人のために費やされます。

 

そうすると、当然自分の心の痛みに向き合う余力は奪われ、

ますます誰かを支えることに意味を見出してしまいます。

 

イネイブラーに必要なのは、他人を助けることではなくて自分が救われることです。

 

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