さらに昨日の続きです。
Aさんの話を聞いているうちに、同居しているお母さんのメンタルの不安定さがAさんに大きな影響を与えている可能性が見えてきました。
マズローの「欲求5段階説」に基づいていえば、
承認欲求の段階で悩んでいたと思われたAさんですが、
実際はもっと手前の「安全欲求」でつまづきがあるのではないか、という見立てです。
もう一度5段階説の図を貼っておきますね。
ところが、Aさんは
「母との同居で困ってることはないので(一人暮らしは)大丈夫です」
と、母から離れることについて拒否の姿勢を見せました。
さっきまであんなに母親の不安定さや身体的な苦痛の話をしていたのに、です。
心の傷があると、切るべき相手や離れるべき相手と適切な距離を保つことが出来なくなる場合があります。
見捨てられるような不安を感じたり、
相手の表情を思い出して怖くなったり、
Aさんのように「離れる必要はない」とか「あの人にも良いところはあるから」などと言ってしまったりします。
この反応が起きてしまうと、Aさんは自分で「家族と距離を置いたら楽になるかも」という選択をすることができません。
ということは、安全欲求がいつまでも脅かされたままとなりますよね。
生理的欲求、安全欲求は、その上にある「人とのかかわり」に関係する欲求を支える土台です。
Aさんの主訴である、
「私は嫉妬ばかりしてしまうんです。いつも一番じゃないと不安で、落ち着きません。」
を、Aさんの言う通り承認欲求と考えるのなら、
まず安全欲求を安定させて、土台をきちんとさせてみる、というのは方法としてアリなはずです。
ここで、カウンセリングの出番です。
クライアントさんがちゃんと安全欲求を持てるように、心の傷のための心理療法を行います。
ここまでの流れをまとめると、
承認欲求がいつまでも満たされない!
↓
あれ?
そもそも安全欲求が満たされてない!
(家庭が安全じゃない)
↓
でも安全になるための行動が出来ない
(母から離れられない)
↓
ストッパーになってる心の傷を先に癒しましょう
というわけですね。
「いつも悩んでいること」「長年変われていない事」なんかを見つけたら、
まず先に、今の悩みに該当しそうな欲求段階(満たされてなさそうな部分)を探したあと、
その段階よりも前のに段階に問題がなかったかどうか、ちょっと振り返ってみてもいいかもしれません。
もしかしたら、
意識している問題よりも根本的な部分で躓いているから、うまくいかない
なんてこともあるかもしれません。
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