外在化、という言葉があります。
一言で説明すると、問題の原因を外に見出して「あなたのせいじゃないよ」とする手法です。
でも、外在化の説明をすると、「それって逃げてるだけなんじゃ…」と捉える方もいるんじゃないかと思います。
自分のせい、を人一倍感じやすい「自己責任論者さん」は外在化がとにかく苦手です。
全ての問題は自分から起こっているのではないか?と考え、そんな自分はすべての責任を負わなければいけないし、自分の罪を自分が一番分かっていないといけない、と思っています。
そういう方にとって、外在化を認めるということはむしろ「都合のいい理由を付けて逃げてるだけ」「責任を転嫁しているだけ」という考えにつながりやすいのが難しいところ。
外在化を受け入れようとした自分を「自分の悪さを棚に上げている」と責めることで、ますます自己責任論を強めてしまうこともあります。
また、「自分の問題なのに自分の外に原因があるなんて嘘」と反射的に感じてしまうので、外在化の話を他人にされても裏を読もうとしてしまいます。
「本当はそんなこと思ってないのではないか」と本音を勘繰ったり、「気を使われている」と落ち込んだり。
「そういう手法なんでしょ」と距離をとろうとしてしまう事もありますよね。
自己責任論者さんはブラックホールです。
なんでもかんでもブラックに解釈して、ものすごい力で自分の中に吸収して、全部を自分の問題にしてしまう。
でも外在化は、そんな自己責任論者さんに本当はピッタリな手法です。
外在化の本質は、近づきすぎた「自分と問題との距離」を適切な位置に戻すこと。
責任を転嫁したり自分を棚上げすることとはちょっと違うんです。
例えば、今私の机にはペットボトルの炭酸水(レモン風味)があるんですが、それを極限まで両目に近づけてみます。
すると、途中から焦点が合わなくなってラベルを読む事が出来ません。
問題と自分の距離が近いって、そういう感じです。
「全部どうせ自分のせい、だからこの問題は自分のもの。」
そう思っていると、問題との距離が近くなりすぎてピントが合わなくなるんです。
だから苦しいのになかなか変われない。近すぎてよく見えてないからです。
脳内で勝手に補完して、「私にはこの問題がある」と思っているけれど、目の前の問題そのものはぼやけてしまっていることがあります。
そして、問題との距離を詰めるほど、その存在が大きく見える。
視界一杯に「自分の問題」が見えてしまって、意識せざるを得ない状況です。
問題との距離が近いということは、問題を自分のものにしてしまうこと。
問題を自分のものにすることで、その問題から抜けられないような感覚になっていきます。
自己責任論者さんにまず必要なのは、
「自分の問題の責任を取り続けて生きていく」という姿勢ではなく、
「自分の問題を早く取り除く」ということでもなく、
「自分の問題かどうかってなんか意味あんの?」という心持です。(笑)
でもその気持ちを得るためには、「問題と距離を取る」必要があります。
上手な外在化は、役に立ちますよ。
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