「少し高いバッグを買いに行ったら、店員さんの態度が悪くて嫌な気持ちになりました」という相談があったとしますね。
不快な気持ちになった時の話をしているクライアントさんは、当然その場面を思い出すので少し眉をしかめてお話をされます。
どうやらその店員さんは、クライアントさんと目を合わせないし、ずっとムスっとしていてやる気もないし、こっちが「すみませんが、~はありますか?」と丁寧に聞いているのに、「あ~、はあ」みたいな返事をするらしい。
しかも、スーパーとかコンビニじゃなくて、それなりのお店でそれなりのものを買うというシチュエーション。
そりゃ、嫌な気持ちにもなりますよね。
ここでクライアントさんの気持ちを聞くと、「イライラする」とか「理不尽な対応をされてモヤモヤする」といった言葉が出てきます。
もうちょっとはっきり言葉を出せる方だと、「バカにされて腹が立つ」なんて表現が出てくるかもしれません。
感情の分類としては、「怒り」が近そうです。
「それなりの高級店に入ったのに、店員の態度があまりにも悪くて怒っている。」
筋が通っている話のように見えますよね。
ところが、ここで怒りに対する心理療法をしてみると、「効いた感じがしない」なんてことがあるのが面白いところ。
クライアントさんは自分が「怒っている」と認識しているし、第三者の視点から話を聞いても、「そりゃ怒るよね」という感じで違和感はないはず。
でも、怒りの感情にアプローチをしてもよくなった感じがしない。
そこで、ためしに「人から見捨てられてしまう不安」について心理療法をしてみると、クライアントさんの表情が明るくなって、「胸のあたりがスッとして、楽になりました」と教えてくれました。
これはあくまで例え話なので、特定の方のエピソードではありません.
でも、カウンセリングではこんな出来事がよく起こります。
このたとえ話に出したクライアントさんの場合は、失礼な態度をとる店員に腹を立てていたというよりも、見捨てられるような不安を感じてしまったのかもしれません。
表面的に感じている気持ちと、実際に心に引っかかっていたことは少し違ったりするものです。
でもそれが見えてくると、今までとは全く違う自分の姿に気が付くことが出来ます。
自分を知るというのは面白いことですね。
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