カウンセリングには、「ちょっと大人びた考え方をする物わかりのいい人たち」が、社会での不適応を訴えに来ることがあります。
あちこちに気を使いすぎて疲れてしまう
集団での人間関係が苦手
社会人になってから特に周りと馴染めなくなった
仕事に行くのがつらい
大学生まではなんとかやれていたのに―…
そんなお話をするクライアントさんは、やっぱりカウンセリング中も感じのよい態度で、「優等生」や「良い人」のイメージを感じることも少なくありません。
でも、カウンセラーには感じよく話すことができる「物わかりのいい人」が、どうして人間関係や他人との距離感で悩むのでしょうか。
「物わかりのいい人」たちのお話を聞いていると、機能不全家族の中で育ってきた方がとても多いことが分かります。
機能不全家族とは、「健全な(家族としての)機能を果たせていない家族」。
具体的には、親がアルコール依存症だったり、不仲だったり、精神的に安定していなかったりすることで、家庭全体に影響が及んでいる状態です。
機能不全家族と聞くと、虐待やネグレクトを思い浮かべる方もいますが、子供への無関心や過干渉、家庭内の冷たい空気感、兄弟間の格差、親の役割を押し付けられるなど、機能不全家族にはさまざまな実態があります。
そして、機能不全家族の中で育ったために生きづらさを抱えてしまった子供のことを広く「アダルトチルドレン」と呼びます。
そう、「物わかりのいい人」は、「アダルトチルドレンの特徴」と重なるケースが多いんです。
アダルトチルドレンは、家族の「欠けた部分」を補うような役割を担うことで、家族のバランスを保とうとします。
不安定な家族の気分をいち早くキャッチして機嫌をとろうとしたり、親の期待を背負って「いい子」を演じたりすることで、家族内に居場所を見出し生き延びますが、
そのかわり、アダルトチルドレンは子供の頃から大人の役割を任せられて、子供の心を生きることができません。
周囲が子供から大人へ成長していくときに、「大人」の着ぐるみをかぶって過ごしたアダルトチルドレンは、本当に大人になった時に、心の中で止まってしまった子供の心とのギャップにとても苦しむのです。
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