※クライアントさんに許可を得て掲載しています。
昨日の続きです。
ADHDだから遅刻が直らないんだ、と思っていたクライアントさんが、
ある日
「そういえば最近なぜか遅刻が減ってきたんです」
と教えてくれました。
ここでまず、おっ?と思います。
1つの悩みに対して要因が複数あるケースというのはよくあることで、
「もともとADHD傾向があって遅刻しやすい人」がストレスや心の傷で脳の機能が低下したりして「毎日遅刻する人になる」みたいな現象は珍しくありません。
なので、たとえADHDであっても、ADHDの悩みを加速させているストレスを解消することで「ADHD度合いが減ったように感じる」ということはまあまああり得るお話。
でも、そのクライアントさんが
「私の周りって遅刻しても許してくれる人達なんですよね~」
と続けた時、私ははっとしました。
そっか、遅刻が直らないのはADHDだからじゃなくて、
「遅刻をしてもなんとか許してもらえる」ことに幻の愛情を見出していたから。
失敗(遅刻)することで「出来ない自分」「ダメ人間な自分」を作り出し、それを許してもらうことで「良かった、愛されている」と感じることができる仕組みを心に持っていたんです。
なぜそんなことが分かるのかというと、人は「苦痛」だけを繰り返すことは出来ないから。
繰り返せる「苦痛」には必ず「幻の快感」がセットになっていて、切り離すことができません。
(人は痛い思いをしたときに、その痛みを和らげるために脳内麻薬が分泌されます)
つまり、このクライアントさんは「遅刻」がやめられないんじゃなくて、それを許された時に感じれる「愛情のようなもの」を求めてやまなかった、というわけですね。
ただ、これはもちろん「許してもらって安心するために遅刻して迷惑をかけよう!」と意図してやっているわけではありませんから、
クライアントさん本人からすれば、
「みんなに迷惑をかけて辛いのに、遅刻が直らない」
というお悩みになってしまう。
人は、誰かが「苦痛を感じている自分」を哀れんで優しくしてくれた瞬間を強く覚えていて、「あの時のように苦しまなければ愛されない」と心に刻んでしまうことがあります。
それが入り組んだ愛情獲得の形となって、「つらいのにやめられない」悩みに変わってしまう。
このクライアントさんは、「すっきりしました」と言って、そこから遅刻がぱたりとなくなりました。
*このブログは毎日19時に更新されます
当カウンセリングルームに所属する、女性カウンセラーの情報はこちら