カウンセラーから見ると「すごい!変わってきてるね!」と思っているのに、クライアントさん自身が全く自覚がない、ということがあります。
これは、私の心理療法が「本来の状態に戻す」というものだからかもしれません。
本来の姿に戻っていくだけだから、クライアントさんからすると「もともとこうだったよ」という感じなのかも。
でも、それ以外にも「クライアントさんが自分のステップアップに気づけないしくみ」があるんじゃないかな、と思ったりします。
たとえば、あるクライアントさんは長年容姿のコンプレックスが強くて、「見た目が気になってどこにも行けない」というお悩みを抱えていました。
見た目のコンプレックスを良くしたい、という気持ちがあるけど、見た目と向き合わなくちゃいけない場所に行くハードルが高すぎたからです。
服の試着室では汗をかいてしまい、美容院では美容師に笑われている気がする。
身体を触られるのも怖いから、マッサージやエステにも行けないんです、とおっしゃっていました。
カウンセリングに来るときも、コロナ前から必ずマスクを付けていらっしゃいます。
でも、ここ1年くらいで、このクライアントさんは脱毛に通って、YouTubeを見ながら運動を始めて、アクセサリーを身に着けるようになったんです。
コロナ禍になってしまったからマスクはつけたままだけど、それでもクライアントさんは「変われない」「人に見られるのが怖い」と訴えています。
今まで何も動けなくて自分を責めていたのに、自分の体と向き合っているじゃん!良くしようとしてるじゃん!すごいじゃないか!と私は言いたくて言いたくて、ずっと我慢してたのですが、ある時とうとう言いました。(笑)
そしたら「でも、こんなのみんなやっているのに…まだ外は怖いし」とおっしゃいます。
クライアントさんが山のてっぺんを見ている時、そのクライアントさんは自分の足元で花が咲いたことに気が付けません。
本当なら、自信がないクライアントさんほど足元をよく見て小さな変化を自分で喜ぶ過程が必要なのですが、山のてっぺんを見て「自分はなんてダメなんだ」と思ってしまう方が多い。
そして、「足元に花が咲いたじゃない」と伝えても、「みんなよりも出来損ないの私が、花を1輪咲かせたくらいじゃ何も変われない」と捉える方も結構多い。
この心のゆがみが緩んできたとき、このクライアントさんは「私ってちゃんと頑張って変わってきたんだ」と気づいてとても喜んでいらっしゃいました。
自分が「変わる」というのは主観なので、変化を感じられることによって完成するものです。
私は全く変われていないと思っている方でも、足元をよく見てみれば何かあるかもしれません。
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