前回とちょっと続いてます。
「発達障害はカウンセリングで治るんですか?」と聞かれることもあります。
治る=障害が消える、という意味であれば、
心理療法で発達障害の特性が全部消える、ということはほぼありません。
でも、前回のように「心のダメージ」で脳機能がアンバランスになっている部分に関しては回復が見込めます。
(個人差があるので、絶対とは言えません。)
発達障害の診断が出ているあるクライアントさんは、
「音に過敏だから大声が怖い」と悩んでいました。
発達障害だから大声(大きな音)が苦手なんだという考えです。
耳をふさいだり、その場から逃げ出してしまうこともある状態でした。
ところが、カウンセリングをしているうちに
昔からお母さんが泣いたり怒ったりしないように気を使っていたことを思い出します。
そこで試しにお母さんのトラウマを何度か心理療法してみると、
「大声を聞いてもその場にいられる」という状態まで改善。
「大きな音でもへっちゃら」というほどではないですが、怒鳴る上司に怒られた時にもパニックにならずに済むので、きちんと「怒られたときの対応」を取れるようになって、火に油を注ぐことが無くなりました。
発達障害の特性を持っていたとしても、
そこに心のダメージが混ざっていることで実際よりも「困りごと」がレベルアップしてしまうことがあります。
だからカウンセリングでは、「そこに心のダメージはないかな」という点に着目します。
(虐待や虐待に近い環境(怒鳴る、叩く、育児放棄など)で育つと、特に発達障害のような状態になりやすい傾向があります。これは第4の発達障害とも言われています。)
ちなみに、この例とは反対に、
いつも会社内でイライラしてしまうという方の話をよく聞いたら
会社内の機械音に過敏に反応してイライラしてしまうことが分かった、なんていうケースもあります。
こっちは「自分の性格が悪い」「心に余裕がない」と思っていたのに、
実は性格の問題のせいではなかったという例ですね。
発達障害の診断がすでに出ているクライアントさんは、リセットとかメンテナンスの目的で来て下さる方も多いです。
自分を責める、人に怒られるのが怖い、ついつい買い物をしてしまう、などの困りごとについてカウンセリングを受けにいらっしゃいます。
お話をしたり心理療法を受けて、ストレスを解消して帰る。
ストレスの発散(衝動的ではないもの)方法を知っているというのは、発達の特性を持ちながら快適に生きるためにとても大事なことですね。
蓄積していくストレスを消化することで、「心のダメージによって生きにくくなる」ことを防ぐことが出来ます。
*このブログは毎日19時に更新されます
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