いじめられたり、陰口を言われた経験があると
それがきっかけになって「いつも言われている」気がしてきます。
(陰口を言う側だった方が「自分も言われる」という不安でそう感じる場合もあります。)
「自分の一挙手一投足を見られていて、物を落としたり髪型が変だというだけでも笑われたり陰口を言われる」というのは、なかなか不自由で恐ろしい体験です。神経がどれだけすり減るかを考えれば、拷問に近いかもしれません。
さて、
拷問を受けた人が、その場から解放された途端に「あ~人生楽しくてもうなんにも不安がない!」となるでしょうか。
多くの場合、後遺症が残ります。
身体的な苦しみを受けた場合は体に後遺症が残ることもありますが、心の後遺症が残った場合はこれを「PTSD」と言います。
PTSD、つまりトラウマです。
いつも自分がどこか変じゃないか気になってそわそわしたり、
電車で向かいの座席の人達が耳打ちするのを見ると、自分のことを言っているんじゃないかと思ったり、
いじめてきた人と似た雰囲気の人達とすれ違う時に緊張したり。
あの時と今は違うのだと、頭では分かっていても勝手に不安が襲ってきます。
これがPTSDのフラッシュバックです。
PTSDを抱えたまま社会人になると、
(もちろん社会人になってから精神的な負荷がかかりPTSDになる方もいます)
上司や同僚が自分のことをどう思っているのかものすごく気になって、仕事に集中できません。
分かりやすく褒められれば、束の間安心できますが、
それ以外はまた不安が襲ってきます。
家に帰っても、職場の人とのやり取りを反芻して、一人で反省会ややり直しをしてしまいます。
そして相手が自分のことを悪く思っていないか不安なので、相手のちょっとした動きにも敏感に反応して、「私のそばにいたくなかったのかな」などと悪い方へ意味づけをしてしまうこともあるのです。
こういう時に大切なのは、「気にしないようにする」とか、「相手の迷惑にならないようにする」という心がけではなくて、まずフラッシュバックを止めることです。
出血が止まらない時に「気にしない」と思っても、出血は止まりません。
出血を怖がる気持ちはやわらぐかもしれませんが、血が止まらなければいずれ命にかかわります。
PTSDによるフラッシュバックも、気の持ちようで不安が軽減するかもしれませんが、
「気の持ちよう」、は本当にうまくやらないとただPTSDを一時的に押さえつけて先延ばしさせることになります。
その間に、少しずつ心が疲れて死んでいくのです。
他人に傷つけられた過去も、痛みも変えられないけれど、今の自分に何をしてあげるかは自分で決められます。
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