例えば、もともとADHDの傾向がある2人のクライアントさんから
「部屋を片付けられない」
というお悩みをお聞きしたとします。
部屋の片づけが苦手というのは、ADHDの方からはよく聞く話です。
だからついつい、「ADHDだから2人は部屋が片付けられない」と思ってしまう。
でも、人間というのは無数の記憶とそれに紐づく感情を持っています。
そしてロボットのように同じ過程で作られるわけじゃない。
ここまで生きてきた過程がバラバラなんです。
だから、ここでそのお二人に「部屋を片付ける」ための心理療法を行うと、面白いことが起こります。
一人は「(心理療法が)効いたのかあまり実感がない」と言いつつ帰宅後からすぐにせっせと片づけを始めました。
でももう一人の方は、「なぜか急に母親を思い出しました」とおっしゃいます。
帰宅後も母親が浮かんではモヤモヤとして、すぐまたカウンセリングにいらっしゃいました。その後何をしたかと言うと、母親に対するトラウマの心理療法でした。(結局数か月たったころ、自然と片付けが出来るようになりました。)
二人とも「ADHDの特性」という大きくて分かりやすい旗を持っていても、
そのバックグラウンドに何があるかはそれぞれ違う。
トラウマや、何かの記憶、昔言われたひとこと、
そういうものが案外「片付けられない」の引き金になっていることがあります。
同様に、メモを取れないと悩む方に「人に見られる不安」を消す心理療法を行うと
見事にメモが取れるようになったケースなどもあります。
悩みの原因は一つじゃない。
だからこそ、ADHDだから、うつだから、と決めつけてしまうのが勿体ないと感じます。
私の心理療法は魔法ではないので「ADHDを治す」というようなことは出来ません。
でも、例えば「ゆっくり考えずにすぐ行動してしまう」とか
「うっかり忘れやミスが多く、メモも取れない」とか
そういう「特性」に関する困りごとなら、改善できるかもしれません。
その背景にある、もっと根本的な悩みも分かるようになるかもしれません。
自分が変わっていくことも、自分のことがわかるようになることも、
面白いものですよ。
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