中小企業の支援をしていると、3代目社長に関わる機会が少なくありません。

2代目の時代は、創業社長の影響がまだ強く残り、外部の専門家に頼ることを好まない会社もあります。一方、3代目になると、大学を卒業し、他社で経験を積んだ後に家業へ戻り、事業を引き継ぐ方が多い印象があります。

しかし、いくら社外経験を積んでいても、社長という役割は特別です。

中小企業では、最終判断はすべて社長に集まります。借入金の連帯保証、社員の雇用、取引先への責任など、背負うものは非常に重いものです。

その重さを、社員や役員、家族が完全に理解することは難しいでしょう。だからこそ、社長は孤独だと言われます。

3代目社長の難しさは、会社を引き継ぐだけでは済まないことです。

創業者の思い、先代が築いた企業文化、昔からの取引先や社員との関係を受け止めながら、時代に合わなくなった事業構造を立て直さなければなりません。

しかも、創業者や先代に相談しても、過去の成功体験に基づいた助言が中心になりがちです。

そこで重要になるのが、コーチングの視点です。

まずは会社の沿革、創業理念、経営資源を整理します。そのうえで、3代目社長自身が何を大切にし、どのような会社にしたいのかを対話によって明確にしていきます。

外部コンサルタントが正解を提示するだけでは、社長の行動は続きません。

大切なのは、社長自身が腹落ちし、自分の言葉で未来を語れるようになることです。

後継社長の価値観や感情を引き出し、会社の成長に結びつける。

その対話を支えるコーチング力こそ、これからの中小企業診断士に求められる重要な力です。