事業再生に必要な問い

原材料費、人件費、運送費など、あらゆるコストが上がっています。

その影響を受け、多くの中小企業が厳しい経営状況に置かれています。

経営環境の変化は激しく、経営計画を立てても、その通りに進むとは限りません。

 

しかし、だからこそ事業再生では、社長と一緒に現実を見つめ直し、変化に対応できる会社へ立て直すことが必要になります。

事業再生コンサルティングの流れは、通常のコンサルティングと大きくは変わりません。

情報収集、調査分析、窮境原因の特定、経営戦略の見直し、具体策の立案、実行支援という流れです。

 

ただし、事業再生では、その深さと緊張感がまったく違います。

ここでコンサルタントが陥りやすい失敗があります。

 

それは、コンサルタントだけで分析し、答えを出し、社長に実行を求めてしまうことです。

「考えるのはコンサルタント、実行するのは社長」という分け方では、社長の本気は引き出せません。

事業再生では、社長に寄り添うことが大切です。

ただし、気持ちを理解するだけでは不十分です。

 

事実を一緒に確認しながら、社長が前向きに行動できる状態をつくる必要があります。

そのためには、最初の段階で社長のありたい姿を確認しておくことが重要です。

「本当は、どのような会社にしたいのか」

「何を守りたいのか」

「もう一度挑戦できるとしたら、何に取り組みたいのか」

厳しい数字や資金繰りの話ばかりでは、社長は萎縮してしまいます。

 

もちろん、再生に至った責任は社長にあります。

しかし、責めるだけでは会社は再生しません。

社長が目指したいゴールを明確にし、そこへ向かう道筋を一緒に描き、最初の一歩を決める。

そこまで整理できれば、社長の表情は変わります。

 

事業再生に必要な問いとは、単に問題点を探す質問ではありません。

社長の覚悟を引き出し、希望を取り戻し、行動につなげる問いです。

何を問うかも大切ですが、それ以上に大切なのは、誰が、どのような関係性で問うかです。

だからこそ、事業再生では社長との信頼関係がすべての出発点になります。