経営計画や事業計画は、必ずしも計画どおりに進むとは限りません。

現在の経営環境は変化が激しく、2〜3年先に何が起こるのかを正確に予測することは困難です。

 

しかし、ここで問題にしたいのは「環境変化によって計画が狂うこと」ではありません。

本当の問題は、経営計画で決めたアクションプランが、最初の段階から実行されていないことです。

では、なぜ時間と労力をかけて作った経営計画が、行動に移されないのでしょうか。

 

主な理由は、次の3つです。

  1. 社長が計画に腹落ちしておらず、本当の意味で納得していない

  2. 社長のビジョンや目指す方向性が曖昧で、前向きに取り組めていない

  3. やる必要性は理解しているが、体制、施策、優先順位など具体的な進め方でつまずいている

中小企業では、社長の影響力は非常に大きいものです。

社長が本気でやりたいと思っていないことを、幹部や従業員が社長に逆らってまでやり遂げることは、ほとんどありません。

だからこそ、まず大切なのは、社長自身の腹落ちです。

 

ここで中小企業コンサルタントが間違えてはいけないことがあります。

それは、コンサルタントや金融機関にとって都合のよい方向へ、社長を説得しようとすることです。

必要なのは、説得ではありません。

社長の考え方、これまでの経験、大切にしている価値観を理解し、誠意をもって対話することです。

その対話を通じて、社長自身が気づき、自分で判断できるように支援することが重要です。

 

人には、その人らしい強みやこだわりがあります。

社長にも、長年変わらず持ち続けてきた価値観、事業への思い、ありたい姿があります。

中小企業コンサルタントが最初に行うべきことは、社長にその原点を思い出してもらうことです。

社長自身が「自分はどこへ向かいたいのか」を明確にできれば、会社のビジョンや10年後、20年後の経営目標も見えやすくなります。

すると、社長の意欲も高まり、経営計画は単なる書類ではなく、「自分が実現したい未来への道筋」に変わります。

 

ただし、社長のやる気が高まることは良いことですが、注意も必要です。

意欲が高まると、最初から大きすぎる目標や、身の丈に合わない取り組みに走ってしまうことがあります。

しかし、最初の段階でつまずくと、その後の行動が続かなくなります。

だからこそ、初期段階では小さな成功体験を積み重ねることが大切です。

「やってみたら少し成果が出た」

「幹部が動き始めた」

「数字が少し改善した」

このような小さな変化を積み重ねることで、社長も社員も前向きに行動し続けられるようになります。

 

これからの中小企業コンサルタントに求められる役割は、精度の高い経営計画を作ることだけではありません。

むしろ重要なのは、社長が前向きに行動し続けられる状態をつくることです。

行動によって成果が生まれ、その成果が次の行動につながる。

この好循環をつくることが、中小企業向けの伴走支援コンサルティングです。