中小企業診断士は、経営コンサルタントの国家資格です。合格するには相当な努力が必要で、社会人経験を積んでから勉強を始める方も少なくありません。

診断士試験の勉強を通じて、経営知識、論理的思考力、分析力は確実に鍛えられます。これは大きな強みです。

 

しかし、独立後に中小企業の社長を支援するうえでは、それだけでは不十分です。

今は生成AIが、情報整理や分析、選択肢の提示をかなり高いレベルで行える時代です。知識や論理だけで勝負するコンサルタントの価値は、以前よりも厳しく問われるようになっています。

 

一方で、AIが簡単には代替できない領域があります。

それは、社長の想い、本音、こだわり、迷いを引き出し、会社の力に変えていく対話です。

中小企業では、社長の情熱や価値観が会社の方向性を大きく左右します。だからこそ、外部コンサルタントには、社長自身も言語化できていない考えを引き出し、行動につなげる力が求められます。

 

その基礎となるのが「傾聴」です。

傾聴とは、ただ黙って聞くことではありません。社長が安心して話せる雰囲気をつくり、質問、相槌、姿勢、表情を通じて、社長自身の気づきを促す関わり方です。

 

コーチングでは、自分で話した内容を自分で聞くことで、自分の考えや本当の欲求に気づくことがあります。これをオートクライン効果といいます。

大切なのは、コンサルタントが何を言うかではありません。

社長が何を話し、何に気づき、どう行動を変えるかです。

 

これからの中小企業診断士には、正解を示す力だけでなく、社長の可能性を引き出す対話力が求められます。