本日はカレント5月号に掲載されました
◇現代社会と青年◇
での室舘による記事をご紹介いたします。
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まずは上司を勝たせなさい
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平成二十一年に講談社より出版された拙著『まずは上司を勝たせなさい』。
組織においては、自分が我を出して這い上がろうとするのではなく、上司にとって最高の部下に徹することで上司を勝たせ、結果的に自分を引き上げてもらう、という考え方を元に、書籍にまとめたものです。
今期、弊社で主任に昇進した福田さんは、まさにこの考え方を実践しました。福田さんは弊社の教育部署の東原マネージャーにあこがれて社員になりました。かっこ良くて話も上手で成果も上げている東原マネージャーは、若手社員の憧れの的でした。しかし、一身上の都合で東原マネージャーが退職することになり、上司は佐藤部長に変わりました。
人望の厚い東原マネージャーには、退職した後も他の元部下達からの連絡があったそうです。しかし福田さんは、尊敬する東原マネージャーとは連絡を取らなかったそうです。なぜなら、今の上司は佐藤部長であり「今の上司である佐藤部長を漢(おとこ)にするんだ」と決意を新たにし、過去と決別をしたからでした。
そして彼は、新たな上司佐藤部長の元で、一生懸命佐藤部長を勝たせようと努力します。佐藤部長のチームも上手くいくことばかりではなく、たびたび成績不振やトラブルも起こりました。ただ、佐藤部長を漢にすると心に決めた福田さんは業務に集中し、安定して成績を伸ばしていきました。そしてこの度、入社四年目、同期で最速の主任に昇進することができました。
主任昇進時のスピーチは、先ほどのエピソードとともに「自分がここまで成長できたのも、主任に昇進できたのも、佐藤部長の教育のおかげです」と、佐藤部長への感謝の言葉をスピーチしたのです。本当に立派です。
前任の東原マネージャーが退職したとき、寂しい想いや悔しい想いもあったと思います。それらの感情は抜きにして、「まずは上司を勝たせる」ことに集中したのです。
「前の職場がよかった」「前の上司がよかった」との不平不満は、昔も今もよく耳にします。
ただ、若手社員には一つの考え方として「上司と商品は変えられない」という言葉を送っています。
目の前にある商品を否定するのではなく、その商品に惚れ込む。
そして上司は自分が評価するものではなく、自分が勝たせていくものだと集中できれば、どんな状況でも明るい未来が見えるのではないでしょうか。
〈※人物名は仮名です>