「仕事知」探求セミナー報告 「仕事知はどう変わったか」 | チエでつながる, ワザでつながる、ココロでつながる、価値を生みだす           ~ 物語思考が世界をかえる

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この世に生まれて間もなく、人は「ものがたり」と出会い、そこで広い世界とのつながりを作ります。このblogでは、「ものがたり」と共にある人の可能性を探求していきます。

昔と今とでは働き方がすっかり変わってしまった。

 

20年、30年と働いてきた人であれば、
そう感じたことが幾度もあるでしょう。

 

では一体何がどう変わったのか。
第22回「仕事知」探求セミナーでは、このテーマについて考えました。

 

そんなテーマだったせいか分かりませんが、
今回の参加者は仕事歴20-30年のベテラン揃いで、
各々の経験が色々と披露された、誠に味わい深い時間になりました。

 

仕事はどう変わったのか。 働き方はどう変化したのか。

 

「検索」、「MSオフィス」、「スマホ」等、
日常業務にもインパクトが大きそうな切り口をいくつか選び、
参加者のそれぞれが
それらの“普及前”と“現在”の働き方の違いについて
経験を出し合っていきました。

 

最初に考えてみたのは「検索」が無かった時代のこと。
どうだったっけなー、と、当初は中々思い出せません。
それくらい、「検索」は今や自然な動作の一部になっています。

 

「検索」が無かった時代は、新聞を読みあさったり、図書館に行ったり、
入門書を買ってまずは勉強したりしていた。

 

そういえば、‘90年代途中くらいまでは、それが当然でした。
分からない領域があって、辞書や百科事典にも書いていない
新しい情報なんかだと、途中で諦めたりもしていました。

 

知らない領域に入っていくことは、
大変な時間と労力、そしてしばしば無駄が強いられる事柄でした。

 

とはいえ、そうやって“無駄”に費やしている時間は、後で振り返ってみると
結構様々なことを勉強する時間だったり、ひとつのことを深く考える
契機でもあった気がします。 

 

意外な感じもしますが、これ、参加者に共通の了解でした。

 

MS オフィスも、今や仕事の全領域に関わっています。

パワーポイントが普及する前は、
プレゼンなんて言葉も、殆ど使われてなかったんじゃないか。

 

確かにそうです。 
会社に入った頃(私は’82年入社)には、“お客さんへのプレゼン”
なんて言葉、使ってませんでした。

 

パワポが普及するにつれ、グラフを入れろ、写真を使え、
フォントをどうしろ、アニメーションだ、何だと、
いつのまにかMS社の為に一生懸命やっている様なところがあります。

 

資料を作るにも、これらのソフトの特性に合わせて、
ああだこうだと思案している。 
気づいてみると、オフィスの「枠」が自分の思考の「枠」を作っています。

 

こんな具合に、暫くそれぞれの気づきを出し合ってみると、
驚くほど広い領域で、私たちの“行動”は、
技術革新の枠組みに“絡め取られてる”と気付かされます。

 

勿論便利な事柄も沢山あって、そのメリットを享受していると、
間違いなくそう言うことはできるのですが、


やはり“知らず知らずに”思考や行動が枠に囚われているのは、
気持ち悪い事です。

 

そして昨日の気づきの中で取分け印象に残ったのは、
「スマホ」が主役になるにつれて
どんどんフェードアウトを余儀なくされている“電話の会話”。

 

この件はもう指摘されて久しいテーマですが、
そのインパクトの大きさは、改めて意識しておく必要があると
昨日は痛感しました。

 

それはこんな問題意識です。

 

私たちが社会人になって、電話は多分最初の“難関”だったのではないか。
顔が見えない、始めて話す、更にどういう人だかまるで分からない相手と
きちんと意味を通じ合うことは、
実は相当のトレーニングが必要だった様に思います。

 

電話がビジネスの中核にあった時代は、誰もが日々一定の緊張感を
持って、そのトレーニングを受けることができました。

 

電話のやりとりから雑談を学び、言葉に出てこない相手の感情を察し、
言いにくい話の切り出し方を学習していたんではないかと。

 

その学びは、自分自身が体験する成功失敗ばかりでなく、
上司や先輩、しばしば隣の部隊のベテランなどから
吸収することが出来ていたものでした。

 

「スマホ」が多様なメッセージのやり取りを可能にし、大容量の
ファイルや画像も送付出来るようになり、“電話”はどんどん
窓際に追いやられてしまった。

 

音声情報の「電話」のやり取りが、文字情報中心の「メッセージ」に
変わっていった。


しかし、私たちの感じている変化は、明らかにそれ以上の
はるかに巨大なインパクトです。

 

生の人間の声は、リアルタイムの一期一会のやりとり。

 

その一瞬一瞬を生きる中にあった、感情のつかみ、
言いにくい何かを切り出す勇気、
戸惑い、後悔、突如現れる喜び、一体感、そしてそこからの展開。

 

更にそれらを通じての実践的な学習。

 

僕たちは元の黒電話の時代に戻ることはできないけれど、
黒電話時代に有って、今は無くなってしまったものを、
しっかりと意識し、

 

今の問題、
特に組織内外のコミュニケーションや関係性を復活していく上で、
必要な行動を探り、起こしていかなければいけないだろう。

そして昨日は、やるべきことのヒントが色々と現れてきた。

 

お陰さまで、誠に豊かな学びの時間を持つことができました。
沢山の気づきがありました。
改めて参加の皆さんに、心から感謝です。