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45,234 回視聴 2026/01/15に公開済み
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中東のシリアは、2024年末にアルカイダ系の武装組織HTS(レバント解放機構)が決起してアサド政権を倒し、HTSの頭目だったアハマド・シャラアが大統領になって統治している。第二次大戦後にフランスから独立した後の1970年からシリアをずっと統治してきたアサド家の前政権は、わずか2週間で倒された。
HTS(などアルカイダ諸派)は決起する前、シリア内戦でアサド政権のシリア国軍と戦って負け続け、トルコ当局が越境支配していたシリア北部のイドリブ周辺に逃げ込んで、トルコ軍(諜報機関、NATO加盟)に守られて半亡命の生活を送っていた。
https://tanakanews.com/241217israel.php
シリア新政権はイスラエルの傀儡
それがいきなり決起して2週間で圧勝し、アサドをモスクワに亡命させて政権をとったのだから、何か裏があって当然だ。私は、世界でダントツに強い米諜報界を乗っ取ったイスラエル(リクード系)が、HTSをトルコ当局から借り出して傀儡化し、アサドの国軍を倒すためのコツ(軍事諜報)と兵器(NATO製)を与え、政権転覆させたと推測している。
2024年末は、リクード系に支援されたトランプが米大統領に返り咲く直前で、イスラエルはトランプを勝たせた見返りにシリアの政権転覆を了承してもらい、トランプの隠れた盟友であるプーチンのロシアがアサドの亡命先を用意し、HTSが政権転覆したと考えられる。
トランプは就任後、HTSのシャラア大統領を高く評価し、アサド時代のシリアへの経済制裁を解除していろいろ支援している。
https://www.jpost.com/middle-east/article-853930
Trump's photo with Syrian President al-Sharaa symbolizes new world order
イスラエル自身は、新生シリアがイスラエルの傀儡であることを世界に悟られたくないので、目くらまし策として、シリアの新政権を批判してなかなか仲良くせず、昨年の後半になってようやくシャラアと国交正常化の交渉を開始した。
イスラエルのマスコミなどは、シリアの新政権がトルコの傀儡であると批判し続けている。トルコは、アサド政権を2週間で倒せる軍事(諜報)力など持っていない。もし持っていたら、ずっと前にトルコがアサドを転覆したはずだ。アサド転覆は、イスラエルが米諜報界を乗っ取ったからこそできたことだ。
https://tanakanews.com/250328israel.htm
イスラエルの拡大
ここまでは「これまでのあらすじ」だ。私の見立ては、マスコミや専門家が言っていることとかなり違うので、いちいち昔にさかのぼって説明しなければならない。
(しかも、妄想とか難解とか反ユダヤとか、永久にけなされて批判され、エックス=ツイッターやグーグルで恒久的な制限をかけられている。反でなくて知ユダヤなんだけど。こっそり世界を動かしてるのに余計な詮索をする奴はみんな反ユダヤかもだけど。難解に見えるのは読者がマスコミ権威筋を解説を軽信してるからだし)
https://tanakanews.com/250420israel.htm
米国の中東覇権を継承するイスラエル
今回の話は、そのようなシリアにおいて、以前の内戦下で米イスラエルに支援されて一定のちからを持っていた北東部のクルド人が、米イスラエルに見捨てられてちからを失ったことについてだ。
クルド人(やキリスト教徒、ドルーズなど少数派)は、第一次大戦以来、英国系(大英帝国と傀儡のフランス)が中東を支配する際に、トルコやアラブやペルシャなどの大きな勢力を加圧して言うことを聞かせるための道具として使われてきた(スンニvsシーアも)。
英国系(英仏と、以前の米イスラエル)はクルド人に独立をうながして決起させ、周辺諸国がクルド人を弾圧するように仕向け、トルコやイランやイラクやシリアに人権侵害のレッテルを貼って制裁することを中東支配の戦略にしてきた。
https://news.antiwar.com/2026/01/20/us-declares-end-to-military-support-for-syrian-kurds/
US Declares End to Military Support for Syrian Kurds
米イスラエル(当時はまだ英国系)は湾岸戦争後、イラクのクルド人を支援してフセイン政権に楯突かせたが、クルドが強くなりすぎると、逆にフセイン政権のイラク軍に諜報を渡してクルド潰しをやらせたりした。
そしてフセインがクルド人を虐殺したと非難してイラク制裁を強化した。中東支配はモグラ叩きだった。
米国はNATO加盟国としてトルコを支援したが、同時にクルド人(PKK)に分離独立運動をやらせ、トルコ政府がクルド人を弾圧することを非難した。中東4か国などに分かれて住むクルド人の悲願である独立は、永遠の「おあずけ」だった。
https://www.jpost.com/opinion/article-874724
Israel must deepen its alliance with Kurds as Syria fractures
中東の様相が変化し始めたのは2011年の「アラブの春」からだ。アラブ諸国の英米傀儡な世俗政権が、イスラム主義の反政府運動によって連鎖的に転覆されたアラブの春。いま思うとあれは、2001年の911テロ事件以来、米諜報界に入り込んで乗っ取ったイスラエル(リクード系)を排除しようとした英国系のオバマ政権が、イスラエルから受けた反撃だった。
イスラエルは、諜報力をイスラム主義勢力(ムスリム同胞団)に注入し、アラブ諸国の英国系の諸政権を転覆してイスラム主義政権に替えようとした(私の新たな仮説)。ムスリム同胞団はイスラエル敵視だが、同時に米英(英国系)敵視でもある。
https://tanakanews.com/150207israel.htm
イスラエルとの闘いの熾烈化
アラブの春が完全に成功していたら、英国系はアラブのかなりの部分から追い出され、影響力を失っていた。そこにイスラエルが入り込み、米国から諜報を流し込んでムスリム同胞団の新たな諸政権をテコ入れすると、イスラエルとアラブは裏でつながって仲良くし始め、イスラエルが中東から英国系を追い出して覇権を形成できる。いま起きていることが10年早く起きていた。
だが、オバマはこの謀略に抵抗し、エジプトは英国系のシシ軍事政権に戻った。シリアはイスラエルによって内戦化されたが、オバマはロシアとイランにアサドへの支援を要請して対抗し、露イランがアサドを守った。アラブの春は道半ばで頓挫し、シリアは13年間の内戦になった。
https://tanakanews.com/160323obama.htm
軍産複合体と闘うオバマ
イスラエルは、米国の諜報界だけでなく政権も乗っ取らねばダメだと思い知った。それでトランプを擁立し、出したり引っ込めたり(英国系だが間抜けなバイデン政権を途中で入れて自滅させ)しつつ、米国の政権を乗っ取った。
イスラエルとトランプは、英国系の米民主党の中の極左勢力を扇動して、ミネソタ州など民主党系の諸州で違法移民取り締まり反対などの暴動を拡大させ、中道派の支持者を民主党から離反させ、今秋の中間選挙で民主党を自滅させようとしている。高市化する日本などを含め、英国系は世界から駆逐されていく。
https://themostimportantnews.com/archives/all-over-america-thousands-of-radicals-are-being-recruited-for-rapid-response-teams-that-are-designed-to-swarm-ice
All Over America, Thousands Of Radicals Are Being Recruited For “Rapid Response Teams” That Are Designed To Swarm ICE
イスラエルは念願成就の中東覇権を実現しつつある。延々と書いて、まだ「これまでのあらすじ(歴史の見直し)」から脱却してない。
シリア内戦の本質は、英国系とイスラエルの暗闘だった。イスラエルが暗闘に勝ち、トランプの返り咲きとともにシリア内戦は終わり、イスラエルの傀儡国になった。
英国が、傀儡のフランスと対立するふりをしてレバント(アラブの地中海岸)を南北に分割し、ユダヤ人に与える土地を半分にしたサイクスピコ協定から108年ぶりに、イスラエルは「約束の地」の北半分であるシリア(とレバノン)を傀儡地として得た。
(南半分では、パレスチナを抹消しつつある。本国の米欧で英国系が弱体化したので、エジプトとヨルダンは英国系政権のままイスラエルの傀儡に。レバノンは脱ヒズボラの傀儡化が進行中)
https://tanakanews.com/250725israel.htm
イスラエルの覇権拡大
イスラエルはレバント全体を得た後、その他の中東をどうするつもりか。これが新たな疑問・注目点になった。
可能性の一つは、イスラエルが中東の他の諸大国であるイラン、トルコ、サウジを次々と政権転覆して弱体化させていくシナリオだ。この場合、クルド人の武装勢力をけしかけてトルコやイランを内戦化するとか。
イスラエルの傘下に入ったUAEを元兄貴分のサウジに噛みつかせるとか。イエメン内戦でサウジを占領の泥沼にはめ込んで弱めるとか(もうやったけど)。
https://tanakanews.com/251103islam.htm
イスラム諸国の政府を強化し街頭をへこます
サウジに関しては、UAEとの喧嘩が最近ひどくなっている(と喧伝されている)。だが、クルド人に関しては、イスラエルがイランやトルコを潰す方向になってない。
トルコからの分離独立を目指して武装闘争を続けてきたクルド人の組織PKKは、昨年5月にとつぜん武装解除を宣言し、トルコの野党として非武装の政治活動だけでクルド人の権利拡大を続けていくことにした。
これは多分、イスラエルやトランプがPKKを加圧してやらせたことだ。イスラエルは、クルド人をけしかけてトルコを内戦化して潰すどころか、逆に、クルド人に分離独立をあきらめさせて武装解除させ、トルコへの同化に転換させている。
https://www.atalayar.com/en/articulo/politics/peace-with-the-pkk-in-turkey-could-be-getting-closer/20250706160000216503.amp.html
Peace with the PKK in Turkey could be getting closer
イスラエルは表向きトルコのエルドアン大統領を「親ハマスだ」とか言って非難し続け(実際にエルドアンの政党AKPは隠れムスリム同胞団であり、ハマスと同じ政党)、いずれトルコの政権転覆が必要だと息巻いている。
しかし実際は、イスラエルがエルドアンを強化している。PKKが武装解除した後、エルドアンは、それまでPKKをかくまっていたイラクのクルド自治政府と和解し、イラクのクルド地域で産出した石油を、以前からあったパイプラインでトルコのジェイハン港に運んでイスラエルなどに輸出する流れを再開した。
エルドアンは、トルコとイラクのクルド人を傘下に入れた。イスラエルは石油を得たが、それで良いのか?。どうもイスラエルは、クルド人を管理する権限をトルコに移譲した感じがする。
https://oilprice.com/Latest-Energy-News/World-News/Turkey-Pushes-for-Full-Use-of-Kurdistan-Oil-Pipeline.html
Turkey Pushes for Full Use of Kurdistan Oil Pipeline
そして今回、トランプはシリアの北東部に駐留していた米軍をイラクに撤退させることにした。シリア駐留の米軍はISIS掃討と油田乗っ取りが任務で、漸減して約千人しか残っていなかったが、その傘下に数万人のクルド人の民兵団(SDF、YPG)がいて、シリア北東部のISISと戦っていた(トルコPKKのシリア支部がYPG)。
シリア北東部はもともとクルド人の居住地域で、民兵団はクルドの自警組織だったが、シリア内戦とともに米軍がISIS掃討の名目で入ってきて傘下にクルド人を入れ、クルド軍はクルド人の居住地域を越えて広範に展開してきた。
https://korybko.substack.com/p/the-causes-and-consequences-of-syrias
The Causes & Consequences Of Syria’s Rapid Dismantlement Of Kurdish Autonomy
トランプは以前からシリア駐留米軍を撤退したかったが、イスラエルとクルドがもう少しいてくれと要請し、油田の利権もあったので漸減に留めていた。
今回、シャラア政権によるシリアの安定化(アサドが属していたアラウィー派の虐殺、南部のドルーズ派との利権調整など)が一段落したので、イスラエルはシリアからの米軍撤退を認めた。
米軍の傘下にいたクルド軍は見捨てられ、支配地域がクルド地域のみに縮小した。その他のアラブ人地域にはシリア国軍が入ってきた。クルド軍が撤退を拒否したアレッポ近郊では国軍との戦闘になったが、結局クルド軍が撤退した。
シリアのクルド分離独立の可能性はなくなり、クルド人は一定の自治を得て(名目だけかも)シリア人としてとどまることになった。
https://thecradle.co/articles/erdogan-threatens-syrian-kurds-if-integration-with-damascus-fails
Kurds ,Erdogan Threatens Operation Against Syrian Kurds If 'Integration' With Damascus Fails
米イスラエルは、イランの政権転覆を画策してきたが、クルド人の反政府運動を扇動していない。
昨年6月、イスラエルとイランが戦争した直後、イラン政府が国内のクルド人に「イスラエルのスパイ」の容疑をかけて多数逮捕した。しかし、これは米イスラエルがクルド人の反政府運動を煽った結果でなく、イラン当局による予防拘禁の策だった。
トランプは米軍の艦隊をイラン沖に派遣し、今にもイランを再攻撃しそうな感じを醸し出している。だが、これは「ベネズエラ方式」で、イランを加圧して最高指導者のハメネイ師を亡命(もしくは辞任)させる代わりに今のイスラム共和国の政体を残す「ソフト転覆」の可能性が最も大きい。
イスラエルがトランプを動かしてイランを根本から政権転覆して、内戦化とか分割する可能性は低い。
https://www.ynetnews.com/article/hkxzctfvel
Post-war Iran moves to crush dissent amid fears of uprising
https://tanakanews.com/260115iran.htm
イランは転覆されるのか?
イランがソフト転覆されて親米親イスラエルに転換したら、その後のイランは、イラクのシーア派地域への影響力を維持することを多分許される。イラクは表向き独立国家であり続けるが、シーア派地域がイランの影響下、スンニ派地域がサウジの影響下、クルド人地域がトルコの影響下になる。
https://www.rudaw.net/english/business/081020251
Resumption of Kurdish oil exports to ease fuel shortages in Turkey
クルド人は、トルコ、シリア、イラン、イラクのいずれでも分離独立を許されず、クルドの独立運動は外部からの支援を失って終焉していく。
イスラエルは結局のところ、中東の4極体制を尊重する。ただし、他の極であるトルコ、イラン、サウジのいずれもイスラエルに楯突かなくなる。表向きイスラエルと対立しているように見えても、本質的にイスラエルの言うことを聞くようになる。
今後の中東(など全世界)は、国家が強くなり、国家以外の諸勢力、市民運動とか野党とか民兵団とかテロ組織などは取り締まられ、掃討されて弱くなる。国家以外の諸勢力を動かし、国家群を抑圧して覇権に従わせてきた英国系が弱体化・消滅していくことが、その主因だ。
https://tanakanews.com/260118israel.php
イスラエルは中東4極体制で満足なのか?
こういったところが、現時点での私の、今後の中東に関する見立てだ。変更があったらまた記事を書く。中東は相変わらず複雑だ。私は一生、ああでもないこうでもないと書き続ける。馬鹿だね。単なるオタク。難解でごめんなさい。
この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/260125kurd.htm
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2026年1月25日 https://tanakanews.com/
250,244 回視聴 2026/01/20
藤江さん
• 【本日の大臣会見】官僚答弁を繰り返す大臣に、記者「大臣、勉強してください!!!」~※... dirGさん https://x.com/Dirg_rocketdyne ねずみ https://illustrain.com/?p=17713 情報こちらにお寄せくださいm(_ _)m veuutienchophunutruoc@gmail.com ※頂いたメールの内容は、特定されないよう一部隠して動画に使用させて頂く場合がございます。予めご了承くださいm(_ _)m 楽曲提供:株式会社光サプライズ
トランプ米大統領が1月16日、ガザ戦争の停戦策の第2段階として「平和評議会」の創設を発表した。評議会の構想は昨年9月からあった。35か国が参加し、1月22日にダボス会議の席上で正式に発足した。
トランプ自身が評議会の初代会長(総裁)になり、中東その他の諸国の国家元首たちを評議会員にして、ガザだけでなく世界各地の紛争を解決していくことが評議会の目的だと設立要綱に書いてある。
会長のトランプは評議会決定への拒否権、参加国の除名権など、絶大な権限を持っている。事務局はトランプの側近群だ。トランプを「世界皇帝」にするための機関にも見える。
https://www.timesofisrael.com/full-text-charter-of-trumps-board-of-peace/
Full text: Charter of Trump's Board of Peace
https://en.wikipedia.org/wiki/Board_of_Peace
Board of Peace - Wikipedia
トランプは世界の59か国に平和評議会への参加を求める招待状を出した。米国のほか、サウジアラビア、UAE、エジプト、ヨルダン、トルコ、カタール、モロッコ、パキスタン、インドネシア、ベトナム、モンゴル、カザフスタン、ウズベキスタン、ベラルーシ、アゼルバイジャン、アルメニア、ハンガリー、アルゼンチン、パラグアイ、アルバニア、コソボなどが参加を表明している(日本は様子見)。
https://www.aljazeera.com/news/2026/1/21/trumps-board-of-peace-who-has-joined-who-hasnt-and-why
Trump's ‘Board of Peace': Who has joined, who hasn't ? and why
イスラエルは当初、ハマスを擁護するトルコとカタールが入っているのでダメだとゴネていたが(目くらまし)、その後に参加を決めた。
半面、パレスチナの組織や個人は全く入れてもらっていない。設立要綱にも、ガザやパレスチナへの言及が一言もない。
ガザの停戦や再建を進めるならパレスチナ勢の参加や言及が不可欠だが、評議会にはそれが全くない。茶番劇(イスラエルへのえこひいき、英欧敵視の偽悪戦略)であるか、トランプの虚栄心を満たすだけか、もしくは真の目的が別のところにある。
https://www.independent.co.uk/news/world/americas/trump-board-of-peace-un-blair-gaza-peace-plan-b2903210.html
Is Trump trying to replace the United Nations with his own ‘board of peace'?
英国やフランス、北欧などの欧州諸国は、評議会の茶番性や国連憲章からの乖離を批判して、不参加を表明した。トランプは、フランスから輸入するワインやシャンパンに200%の報復関税をかけると息巻く「偽悪戦略」を展開した。
https://news.antiwar.com/2026/01/20/trump-threatens-200-tariffs-as-france-declines-to-join-board-of-peace/
Trump Threatens 200% Tariffs as France Declines To Join Board of Peace
英欧の不参加を見て、英欧から敵視されてきたロシアが、様子見をやめて参加するかもと言い出している。ロシアの子分であるベラルーシは最初から参加を表明している。
トランプは、平和評議会の恒久会員になりたければ10億ドルを拠出しろと世界各国に言っている(カネが全てだと演出する偽悪戦略)。プーチンは、トランプの偽悪戦略に悪乗りし、米欧が凍結しているロシアの在外資産を返還するなら、そのうち10億ドルを平和評議会に拠出すると表明した。
プーチンはパレスチナ自治政府のアッバース議長をモスクワに招待して会談するなど、実際のパレスチナ支援を担当する策(演技?)を進めており、けっこうやる気だ。
https://tass.com/politics/2075319
Palestine relations and possibility of contributing to Board of Peace: Putin's statements
トランプは、カナダやブラジルなど、イスラエルを非難する英国系や非米系の諸国にも平和評議会の招待状を出したが、そこでは10億ドルの拠出が強調されており、反イスラエルな諸国の怒りを誘発して事実上参加させない策略になっている。
全体的に、茶番や虚栄心誇示や偽悪があふれるトランプらしい策になっている。マスコミ(崇高を気取るが実は害悪になっているジャーナリズム)やリベラル派は、引っ掛かって怒りを誘発され、トランプ非難を吐露するだけで満足している。
https://www.ynetnews.com/article/syibvjyube
Europe stays out as Putin is ‘in': Trump unveils Board of Peace and warns Iran
https://tanakanews.com/251023hegset.htm
ジャーナリズム要らない
だが、そこからさらに一皮むくと、偽悪戦略で目くらまししたトランプの、平和評議会をめぐる真の意図が見えてくる。
平和評議会は表向きトランプの私物であるかのように見えるが、本質は違う。平和評議会は、トランプがイスラエル(米諜報界を握るリクード系)のために作った「イスラエル覇権機関」である。
平和評議会の参加国一覧を見ると、イスラエルとアラブ諸国、イスラム諸国を和解させるトランプ発案の「アブラハム合意」への参加国とかなり重複している。アブラハム合意の発展型が今回の平和評議会になっている。
https://korybko.substack.com/p/the-board-of-peace-a-replacement
The Board Of Peace: A Replacement To The UN Or A US-Led Coalition Of The Willing Therein?
2018年に発案されたアブラハム合意は、イスラエルがパレスチナ国家の再建に協力することを条件に、サウジアラビアを盟主とするアラブとイスラムの諸国が、イスラエルと和解して国交正常化する構想だった。
その後イスラエルがパレスチナを再建するどころか逆に破壊する抹消策を進めたので、サウジなど多くの国がアブラハム合意に入らず、構想が難航していた。
https://www.zerohedge.com/political/trump-threatens-200-champagne-tariff-after-macron-rejects-board-peace
More Than Ten Countries Have Signed On To Trump's 'Board Of Peace'
今回の平和評議会は、事前の風評ではガザの停戦と復興というパレスチナ再建を進める機関になっている。だが実際の設立要綱は、パレスチナにもガザにも言及していない。
イスラエルは、お得意の目くらまし作戦で、トランプに勧められて嫌々ながら参加したことになっている(イスラエルはシリアを傀儡化したのに、新政権となかなか和解しない。これも目くらまし)。
実のところ、米諜報界を握るイスラエルは、トランプの世界戦略の立案に発言権や拒否権を持っている。トランプはイスラエルの傀儡だともいえる。
平和評議会は、トランプとネタニヤフ(とリクード系の米諜報界=トランプ側近群)が話し合って決めた計画だろう。評議会を独裁するトランプの後ろにイスラエルがいる。
https://www.jpost.com/middle-east/article-884134
Why Israel says joining Trump's Board of Peace was not optional
平和評議会は稼働し始めた今後も、パレスチナのことは口だけで、あまりやらないだろう。評議会はむしろ、イスラエルの覇権戦略の道具として使われる。
イスラエルが世界のどこまでに覇権を行使するつもりなのか。中東だけなのか。評議会の参加国は全世界にわたっている。イスラエルは(英国系に代わる)世界覇権を考えているように見える。
https://tanakanews.com/251026saudi.htm
サウジはまだイスラエルと和解しない
アラブとイスラムの盟主であるサウジアラビアは、アブラハム合意に入らなかったが、平和評議会には最初から参加している。ガザの停戦と復興という建前があるので、トルコなどイスラエルを批判するイスラム諸国も含め、参加しやすかった。
しかし平和評議会の実体は、ガザの復興などやらず、イスラエルの世界覇権に協力する傀儡的な機関である。サウジやトルコは、それでかまわないのか??
それに対する私の考察は、イスラエルが米諜報界を乗っ取って米国並みの覇権力を持ったので、サウジもトルコも事実上イスラエルと張り合うのをやめて軍門にくだった、というものだ。
(覇権力とは、軍事諜報力と、国際政治の謀略力。反政府勢力を動かして政権転覆とか、他国Aを使って他国Bを動かすとか)
https://thecradle.co/articles/gazas-phase-two-the-illusion-of-transition-and-the-reality-of-control
Gaza's ‘Phase Two': The illusion of transition and the reality of control
もともと中東は、今後の多極型世界において、イスラエル、サウジアラビア、トルコ、イランの「域内4極・4大国体制」が想定されていた。
だが今や、米国を乗っ取ったイスラエルだけがダントツに強い。イランは、ハメネイが亡命に追い込まれてベネズエラみたいにソフト転覆され、米イスラエルの傘下に入りそうだ。
トルコとサウジは、イスラエルに逆らうとイランみたいに転覆されかねない。それなら、ベネズエラの転覆を見た南米コロンビアの自主的な親米化みたいに、自分からイスラエルにすり寄った方が良い。
エルドアンもMbSも、そう思っているはずだ。それで、トルコやサウジやその他の諸国が、茶番な平和評議会にどんどん参加している。偽悪作戦が成功している。
https://tanakanews.com/260118israel.php
イスラエルは中東4極体制で満足なのか?
平和評議会には、カザフスタンやモンゴル、ベトナムといった、イスラエルから遠い、中国の隣接諸国も入っている。カンボジアやタイ、韓国、日本、豪州もトランプから招待を受けている(検討中)。
この状況が意味するところは何か。中国包囲網だろう。イスラエルは、世界戦略の一つとして、これまで非米諸国を束ねて覇権を拡大してきた中共に対抗する構えを見せている。
イスラエルは、米英の中国包囲網を継承する。これは、評議会の前身であるアブラハム合意からの流れだ。
中共はトランプから招待されたが、まだ平和評議会への態度を決めていない。
https://www.aa.com.tr/en/americas/trump-invites-australia-vietnam-and-thailand-to-join-gaza-peace-board/3804439
Trump invites Australia, Vietnam, and Thailand to join Gaza peace board
米英が退潮して包囲網がなくなると、中国の隣接諸国は、中国だけが頼りになる。アジアにおける中共の覇権が拡大しすぎる
中共は、プーチンのロシアを子分にして中央アジアから西アジアに影響力を拡大し、BRICSやG77を主導して印度やアフリカや中南米に手を伸ばしてきた。
https://tanakanews.com/251203tshknt.htm
ユーラシアの真ん中で世界の流れをとらえる
イスラエルは、こうした中共の覇権拡大を制限しようとしている。中国の近隣諸国を平和評議会に入れ、米国(トランプ)を通じて影響力を行使し、近隣諸国が中共の言いなりにならず歯向かえるようにする。
イスラエルはすでに、隠然子分にしたトルコを通じてコーカサスや中央アジアで影響力を拡大し、中国の裏庭まできている。
プーチンは、コーカサスのロシア覇権を放棄してトルコイスラエル連合に渡している。
中南米では、アルゼンチンのミレイ大統領が親イスラエルの極右で、反イスラエルな左翼政権のブラジルなどとやり合っている。
https://tanakanews.com/251115russia.htm
中東への関与を下げたロシア
トランプが返り咲く前、世界は、英国系の米単独覇権が崩れ、中共主導のBRICSなど非米側の覇権が拡大していた。リクード系のトランプが返り咲き、イスラエル(リクード系)が英国系と中共系の覇権争いに割って入った。
それ以来、世界の覇権は、衰退する英国系、割り込むリクード系、抑止される中共系という三つ巴の暗闘になっている。今回、リクード系の世界機関として登場したのが平和評議会だ。
英国は(家来のフランスともども)平和評議会への不参加を正式に表明している。これまでの英国は、米国がどんなに不合理で身勝手な世界戦略を始めても、真っ先にそこに追随し、英国勢が米国の議論の中に入り込み、英国好みのリベラル派グローバリズム覇権の枠内に米国を戻す努力を続けてきた。
しかし今回は違う。平和評議会は政敵のリクード系に完全に固められており、英国は入り込めない。英国系の覇権は根幹が人道主義(という名の政敵潰し)であり、ガザ虐殺の巨大な人道犯罪を容認する平和評議会に入れない。
https://www.cbc.ca/news/world/board-of-peace-gaza-trump-list-of-countries-9.7055866
Here are the countries joining Trump's 'Board of Peace' so far
英国人ではブレア元首相が評議会の理事として入っている。これは評議会を英国系のように見せかけるリクードお得意の茶番劇であり、ブレアはピエロとして使われているだけで権限がない。
英仏がいない世界評議会の始動は、英国系の覇権衰退と、リクード系の覇権拡大を物語っている。
https://www.politico.eu/article/europe-backs-away-from-donald-trumps-board-of-peace-gaza/
Europe backs away from Trump's Board of Peace
トランプは、平和評議会が国連に代わる国際機関になるかもしれないと言っている。国連(とくに総会)は冷戦後、英国系と中共系の覇権が戦う場だった。リクード系の平和評議会は、国連の枠外に作られた。
英国系が衰退すると、国連は中共系の機関になる。中共系の(英国系の人道主義の遺志を継いだ)国連と、ガザ虐殺で人道主義を踏みにじったリクード系の国連外の平和評議会が対峙することになる。トランプの発言は、その流れで読み解ける。
https://www.zerohedge.com/geopolitical/board-peace-replacement-un-or-us-led-coalition-willing
Trump Unveils His Board Of Peace In Davos: A Replacement To The UN Or A US-Led Coalition Of The Willing?
プーチンのロシアは、中共ともイスラエルとも親しい。ロシアだけでなく、非米側でイスラエルを敵視していない諸国はすべて両属的だ。
これらの諸国が、これから中共とイスラエルのどちらにより強く肩入れするのか。それによって、中共とイスラエルの覇権争いの流れが変わる。
中共は現実主義だ。イスラエルに楯突くと、中共自身が政権転覆されかねない。それならむしろ、イスラエルと争わず、ガザの大虐殺も不問に付して、中共や国連が平和評議会にすり寄る展開もあり得る。
中共がすり寄っても、イスラエルは中国包囲網を解かずに加圧し続け、多極型世界におけるバランスを調整し続ける。
その場合、イスラエルが作る平和評議会の中国包囲網を、右傾化(高市化)した日本がいずれ担当するかもしれない。
イスラエルは、表向き対立しつつ実は子分のトルコに、コーカサスや中央アジアでの覇権拡大を下請けさせている。ならば同様にイスラエルが、中国包囲網な海洋アジアの運営を日本に下請けさせても不思議でない。
https://tanakanews.com/160506submarine.php
潜水艦とともに消えた日豪亜同盟
そこに豪州も入れば「日豪亜」になる。一期目のトランプは、安倍晋三に「日豪亜印」の中国包囲網を担当させようとした(安倍は親中を維持して回避した)。高市は安倍の子分だった。日本は、今度は逃げずにやれるかもしれない。
イスラエルが日本に「2度目は失敗しない大東亜共栄圏」をやらせようとしている、ともいえる(リベラル様たちは、2度目も失敗すると言いたがるけど)。
この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/260123board.htm
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2026年1月23日 https://tanakanews.com/