旧市街からいったんホテルに戻って休憩。
改めて、カサ・バトリョへ向かう。。。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
カサ・バトリョの歴史は、1877年に建築家エミリオ・サラ・コルテスによって建てられた建物を、1903年当時、繊維業で財を築いたジョセップ・バトリョ・イ・カザノバスが購入したことから始まります。
不気味なカエル?2体がお出迎え
翌年、それまでに無い個性的な改装をガウディに依頼しました。
そして1906年、ガウディが54歳の時に、5階建ての建物の地下1階と地上6階、そして屋根裏を増改築したこの集合住宅、カサ・バトリョが完成しました。
螺旋階段を上がっていくと、頭上に天窓があります。
これは、建物中央吹き抜けのパティオに降り注ぐ太陽の光を、本来最も暗くなるこの空間に取り込んだもの。
亀の甲羅に似せた窓を彩る円は、海中から見た空気の泡を表現しているとも言われています。
階段を上がって最初にバトリョ氏の執務室(暖炉の部屋)
金箔を使って壁にタイルのような模様を描いています。
キノコの形をしている暖炉は石造です。
暖炉の両脇にベンチがあり、左側のベンチに1人、右側のベンチに2人が座れます。
アコーディオン式の大きな扉を抜けると。。。
2階部分はオーナーであるバトリョ家が使用していました。
そして、ここは社交場としても使われたサロン。
当時はたくさんのソファーが置かれていたらしい。
陽光が差し込む大きな窓。
その水玉模様の丸いステンドグラスは海水の飛沫を表現しており、まるで海面を反射するように輝いています。
また、石柱が骨、バルコニーが骸骨に見える外観から「骨の家」と呼ばれたり、その大きな窓の形状から人が欠伸をしているように見えるということで、「あくびの家」とも呼ばれたそうです。
窓の外には「骨の家」の骨と印象付けられたバルコニーの柱が見えます。
しかし、近くで見ると骨ではなく、枝や茎から新芽が出ている造形のようにも見えます。
サロンを出た隣はダイニングルームです。
通りから離れた静かな空間。
そしてそこから、裏のガーデンテラスへと続く。。。
が、そのガーデンテラスの前には、印象的な二本で一対となっている大きな柱。
グラナダのアルハンブラ宮殿にある「ライオンの間」にインスピレーションを得たと言われています。
黄色い照明のおかげで、分かりづらいですが、綺麗なパステルカラーです。
改装工事中でなければ、こんな感じでした!
という絵が描かれたガーデンテラスから見上げたファサード。
↓通りに面した側をもう一度。。。
かつて、バルセロナ市内の中心では、土地の有効利用の観点から、一軒家の建設は許可されておらず、集合住宅にしなければならなかったそうです。
なので、オーナー家族が住む2階や3階と、その上階に住む借家人との差を強調する差別化するために、オーナー家階の窓が他の階より広かったり、出窓だったり、またバルコニーが大きかったりと、建物の中で一番豪華に作られたとのこと。
カサ・バトリョは特に2階が豪華ですね。
木の温もりがある螺旋階段
上の窓は採光用、下の窓は換気用と、光以外にも換気と熱の循環まで綿密に計算し尽くされています。
中央パティオに出て、上を見上げると屋上の天窓が見えますね。
上階の窓ほど小さくなり、下階ほど大きくなり、部屋に差し込む採光を均一にしています。
海をイメージしたパティオ。
強い光を受ける上階には光を吸収し易い濃い色調を、逆に光が届きにくい下階には反射率の高い白っぽい色調のタイルを貼り、5段階に変化させています。
中央パティオの天窓
アーチにすることにより柱を排した通路
屋上へと続く螺旋階段
ルーフテラスも不思議な世界観です。
隣の普通のビルとのギャップも面白いですね。
ガウディ建築にみられる特徴の一つである煙突。
建物の中では、脇役の存在ですが、ガウディは煙突にかなりこだわりを持っていたようで、奇抜で、非常に凝った造りが多く、ここには、合計27本あります。
モザイク模様は煙が風で揺らいでいる様子を表しているとか。
一説には、魔物が建物に侵入する際に煙突こそが一番の弱点と言う意識が中世の昔から人々にあったらしい。
そこで、この建物を守る意味で、荒々しく武器の様に尖った煙突にしたり、またカサ・ミラの場合では兵士の顔になっているのではないかということでした。
ここの煙突も先が尖り、横にはカバーが付いて、雨はもちろん、魔物が侵入できないように開口部を隠した造りになっています。
ドラゴンの背と腹
少し前のカサ・バトリョのHPは、まさに屋根にドラゴンが乗っているイメージになっていました。
ただ、この造形には諸説あり、1つはカタルーニャの守護聖人サン・ジョウディのドラゴン退治伝説を表現したという説です。
丸みのある屋根がドラゴンの背中に見えることが理由ですね。
もう1つは、謝肉祭を表現したという説です。
屋根をアルルカンの帽子に見立て、ファサードのバルコニーが仮面、タイルのモザイクが祭りの紙吹雪を表現しているというものです。
南は、バルセロナ中心街方面となります。
ドラゴンの背と鱗に見えますよね。
元々、建物に無かった屋根裏部屋ですが、ガウディのリフォームにより新しく付け加えられました。
屋根裏の役目は、まず第一に使用人のためのスペースとしてだったとのこと。
次に、夏の暑さや冬の寒さなどの外気温の変化から、建物を保護する温度調整室の役目も担っていたようです。
かくれんぼするにはもってこいの建物ですねw
このカサ・バトリョは、長い間個人所有だったため未公開の建物でしたが、ガウディ生誕150年にあたる2002年に公開されるようになりました。
そして、2005年にカサ・ミラ、サグラダ・ファミリアなどと共にアントニオ・ガウディ作品群の一つとして世界遺産に登録されました。
帰りの階段↓は、日本人建築家の隈研吾によりデザインされたものです。
ガウディとは全く違った印象で終わっていきますw
そして、地下1階ではガウディ・キューブが流れていました。
・・・続く。