ファインマンの著作を読んで物理を理解していくブログ. -2ページ目

第20章 演算子

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第20章 演算子

20-1 操作と演算子

ある状態にある操作を施すと新しい別の状態が生成されることを
\[
|\phi >=\hat{A}|\psi >
\]
と表現できる.

これは
\[
<i|\phi >=\sum _{j}<i|\hat{A}|j><j|\psi >
\]
とも書ける.


$A_{ij}=<i|A|j>$とおき
$\hat{A}^{\dagger}$を$A^{\dagger}_{ij}=A_{ji}^*$となる演算子として
定義すると
\[
<\phi |\hat{A}|\psi >^*=<\psi |\hat{A}^{\dagger }|\phi >
\]
となる.


20-2 平均エネルギー

物理的観測可能量$A$が
量子力学的演算子$\hat{A}$
に対応しているとき
状態$|\psi >$
における$A$
の平均値は
\[
<A>_{av}=<\psi |\hat{A}|\psi >\hspace{10mm}(20.20)
\]
で与えられる.


20-3 原子の平均エネルギー

前節の結果を使うと波動関数$\psi $で記述されている状態の原子の平均エネルギーは
\[
<E>_{av}=\int \psi ^*(x)\left\{\ -\frac{\hbar ^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}+V(x)\right\} \psi(x)dx .
\]

20-4 位置の演算子

まず位置の平均値を積分を用いて表した.
それを(20.20)の形にかけるとして$\hat{x}を$もとめた.

\[
<x|\alpha >=x<x|\psi >\hspace{10mm}(20.38),
\]
ここで$|\alpha >=\hat{x}|\psi >$.

((20.39), (20.40)のあたりの議論が不明.棚上げ問.
(20.38)から(20.40)が導けて以下の式の二行目から三行目に(20.40)をもちいて
\begin{eqnarray*}
\int <x|\hat{x}|x'>\psi (x')dx'&=&\int <x|\hat{x} |x'><x'|\psi >dx'\\
&=&<x|\hat{x}|\psi >\\
&=&x<x| \psi >\\
&=&x\psi (x)
\end{eqnarray*}
となりこれより(20.39)が導けるということでは?
)

20-5 運動量の演算子

(どれが定義でどれが結果かが不明.棚上げ問)


\[
<p|\beta >=p<p|\psi >,
\]
で状態$|\beta >$を定義すると
\[
<p>_{av}=<\psi |\beta >,
\]
\[
|\beta >=\hat{p}|\psi >.
\]
座標表示では
\[
<x|\beta >=\frac{\hbar }{i}\frac{d}{dx}\psi (x)
\]
となる.




20-6 角運動量

($\psi '$は$-\epsilon $回転した座標系での波動関数?)

無限小の角$\epsilon $の回転の演算子を用いて
\[
R_z(\epsilon )|\psi >=\left( 1+\frac{i}{\hbar }\epsilon \hat{L}_z\right)
\]
により$\hat{L}_z$を定義する.
\[
\hat{\mathcal{L}}_z=x\hat{\mathcal{P}}_y-y\hat{\mathcal{P}}_x
\]
となる.

\[
\hat{\mathcal{L}}_x\hat{\mathcal{L}}_y-\hat{\mathcal{L}}_y\hat{\mathcal{L}}_x=i\hbar \hat{\mathcal{L}}_z
\]


20-7 平均値の時間的変化

\[
\frac{d}{dt}<A>_{av}=<\psi |\hat{\dot{A}}|\psi >
\]
によって演算子$\hat{\dot{A}}$を定義する.

\[
\hat{\dot{A}}=\frac{i}{\hbar }(\hat{H}\hat{A}-\hat{A}\hat{H})+\frac{\partial \hat{A}}{\partial t}
\]
となる.

これを用いて位置と運動量の平均値に
\[
\hat{\dot{x}}=\frac{\hat{p}_x}{m}
\]
\[
\hat{\dot{p}}=-\frac{dV}{dx}
\]
という古典的結果と同じ形の関係を導いた.

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方針

まだ後一週間以上更新できず。

方針

一ヶ月に一回は更新というのを破ってしまった。しかしまだ日曜あたりまで更新できず。


第19章 水素原子と周期律表(仮)

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第19章 水素原子と周期律表(仮)


19-1 水素原子に対する周期律表

水素原子を扱う.
その際に陽子は固定されていて,
非相対論的なシュレーディンガー方程式をもちい,
磁場の効果は無視するという近似を行う.

水素原子に対するシュレーディンガー方程式を書き
それを球座標で表した.


19-2 球対称な解

シュレーディンガー方程式の
角度に依存しない解について扱った.
シュレーディンガー方程式のスケールを変えて
ボーア半径とリードベルグであらわし,さらに変数変換し級数の形で求めた.
級数が有限項で終わるための条件からエネルギーを求めた.


19-3 角度依存性を持つ状態


z軸に沿って
lm状態にある粒子が
z'方向の距離$r$の位置に粒子を発見する振幅はz'軸方向に
m=0の状態にある振幅$<l, 0|R_y(\theta )R_z(\theta )|l, m>$
かける$F_l(r)$となる.



次に$\alpha $粒子の散乱を扱った

$a$を$Ne ^{20*}$が$l, 0$状態にあるとき$\alpha $粒子が$z$軸方向に上向きに出てくる振幅とする.
$\theta , \phi$方向に$\alpha $粒子を発見する振幅は
$a<l, 0|R_y(\theta )R_z(\theta )|l, m>$となる.


19-4 水素原子の一般の解

水素原子の波動関数を
$Y_{l, m}(\theta , \phi)F_l(r)$と書いた.
$F_l(r)$のみたす方程式は
ポテンシャルに$l(l+1)\hbar $の角運動量による項が追加されたものとなった.


19-5 水素原子の波動関数


\[
"z"=|1, 0>
\]

\[
"y"=\frac{|1, +1>+|1, -1>}{\sqrt{2}}
\]

\[
"z"=\frac{|1, +1>-|1, -1>}{i\sqrt{2}}
\]

19-6 周期律表

電子のスピンは無視する.しかし排他率は適用する.
一個の電子は核をその他の電子のつくる平均的なポテンシャルの中で
運動すると考える.

$H$


$He$

電子は核の近くでは$Z=2$のクーロン場
核の遠くでは$Z=1$のクーロン場を感じる.
その結果水素原子の$1s$状態よりエネルギーは低くなる.

$Li$
三つ目の電子は2s2p
どっちに入るか?
2sの方が核に近いところに振幅を持っており
三個の電荷の分の引力を感じるのに対し2pは一個の電荷の分しか感じない
よって2sの方が2pよりエネルギーが低いので2sに入る.

$Be$


$B$から$Ne$まで

$Z$の値が増えるにつれて
電子の分布は核の近くに引き込まれ$2p$状態のエネルギーは低くなりイオン化エネルギーは高くなる.


$Na$から$A$まで
外側のまだまだ満員になっていない殻の電子の分布は$Li$から$Ne$までと同じ.

酸素とイオウのイオン化エネルギーが小さいのはなぜか?
ホウ素の原子上に最初の$2p$電子をおく.
$m=0$の"$z$"状態にはいるとする.
炭素について二個目の電子は最初の電子とはなれている方がエネルギーが低いので
"$x$"状態に入るとする.
窒素について三個目の電子は"$y$"状態に入るとする.
酸素についてはすでに占領されている状態の一つに反対向きのスピンで入るしかない.


$K$から$Zn$まで

$Li$のところで説明したように角運動量の高い状態のエネルギーは上に押し上げられるので
$3d$までくると$4s$よりエネルギーが高くなりカリウムとカルシウムについては$4s$状態が先に満たされる.


$Ga$から$Kr$まで

$H_2O$について

酸素のように$4$個の
$2p$電子を持っていると
三個目は
"$x$",
"$y$",
"$z$"
のどれかに二重に入る.
"$x$"と"$y$"が空席とすると二個の水素が酸素と共有する電子は
"$x$"と"$y$"に入ろうとする.
そのため酸素を中心として水素原子が直角になるはず.
実際には水素が正の電荷を持つために斥力が生じ
$105^o$の角度になる.


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ファインマン物理学Ⅴ第19章(訂正 )

(19-11)の右辺にマイナスが抜けている.
p395の上から三行目$\phi $でなく$\psi$.