友人とささやかな飲み会 | ギリゼのブログ

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 祖父は酔ってうたた寝をした事が原因で風邪をこじらせ元から肺が弱かったらしく肺炎に罹って亡くなった。いつも私の事を気にかけてくれていたのでひどく悲しんだ。

 親権を捨てた父親だった男は進路の話をしている時にビールを飲んでいた。この男にとって私は欠陥品の何も期待していない人間だ。

 力で押さえつけ20年近く傲慢な態度を取っていた結果、親子関係は崩壊した。私と酒という存在の相性が相当悪いらしい。

 普段礼儀にうるさい祖母も結婚式で私がお酒を飲まない事に対し何も言わなかった。祖父が亡くなってまだ半年も経っておらず間接的な死因の酒を忌避していると分かっているようだ。

 それから2年以上経ちようやく気持ちの整理がついた私は友人と居酒屋へ行く事にした。週末という事もあり2時間という条件の下で予約している。

 行く道中に趣味で絵を描いている友人から液晶タブレットを買ったと聞かされツイッターで落書きと称してイラスト投稿している人たちの苦労が目に浮かんだ。

 1年ほど前にあるイラストレーターはタブレットの登場でアナログ式の描き方が廃れつつあると語っていた。それだけイラスト作成の難易度が下がったようだ。

 20分ほどかけて予約していた居酒屋に着き席へ案内されてから私たちは飲む酒を決めた。某動画配信者が豪快に飲んでいる姿を見てハイボールへの憧れがある。

 数少ない友人の1人がハイボールは苦くて飲めないと言っておりどれほどのものか気になっていた。牡蠣やマトン・ラムのような苦さなら私も苦手だ。

 

 タブレットで注文したもろきゅうを肴に飲んでみたが拒否反応が出るような苦さでなく安心した。しかしあの配信者のように勢いよく飲めない。

 よく酔っぱらいが語る高揚感のようなものはなく、口の中に甘さと苦味が共存した不思議な味覚が残っていた。だが友人と一緒に呑む今は悪くない。

 

 

 ししゃもや焼き鳥は居酒屋の定番メニューだが釜飯を酒と一緒に食べるとは予想していなかった。いくらと釜飯のダシがよく合い友人の勧めで頼んでみて正解だ。

 店で釜飯を頼んだ事は恐らく今までほとんどなかった。美味しい料理があれば今まで忌避していた酒を飲む速度も上がっている。

 この時期といえばきゅうりが美味しい季節だ。もろ味噌を付けたきゅうりは程よい塩気ときゅうり特有の歯ごたえがあるから私の好物となっている。

 

 ハイボールが飲めた事で調子に乗りラズベリーカクテルを注文した。多少酒特有の苦味があっても私の大好物のブルーベリーとラズベリーの甘酸っぱい味を楽しんだ。飲んだ後に2つの果実をスプーンで味わえる手法は贅沢な気分になれる。

 恐らく度数が高いであろうこのカクテルをもう1杯頼んで苦さと甘酸っぱさを頼んだ。徐々に口の中へ酒と違った苦さが広がっていき残酷な現実を突きつけられた。

 そろそろ店員にお会計を促され急いでトイレに向かい体から毒と一緒に食べたものを排出した。どうやら私が思っている以上にアルコール耐性はなかったようだ。

 頭痛と鼻へ詰まっている排出物に悩まされながら友人の家へ戻ってそのまま泊まる事なく自転車で家路に向かった。

 生ぬるい空気に当てられながら楽しかったような苦しかったような時間から冷めた私は早速良い思い出として夜を記憶する。