対ALS方針 | ALS記

ALS記

2023年2月13日に診断されて、現在進行中。とりあえず仕事は続けています。進行がとても遅い症例のようで、その状況を記録して発信していこうと考えています。

 昨年2月にALSの診断を受けてから、ずっと考え続けていたのは「胃瘻・気管切開を受けるか」という選択だった。様々な情報を集めて吟味した結果、基本方針は定まってきた。

 

前提1:ALSは治癒できず、症状が進むと大量の介護資源が必要となる。

前提2:生計を立てられなくなった時点で人生は終了したと見なすのが自己信条である。

 

方針1:介護を要する期間を可能な限り減らす。

方針2:死期を早められるなら苦痛は許容する。

 

対処1:ALS初期の進行を留める投薬は許容するが、その他の延命措置は拒否する。

対処2:不慮の事由で延命されることがないよう、親族の同意を得て公正証書を作成する。

    (ALS以外の要因でも死ねる機会があれば最大限に利用する)

 

課題1:親族の同意を現状では得られていない(協議を行なっていない)。配偶者は真逆の方針のように見える。

課題2:意思表示できなくなってから延命される可能性を完全に潰す具体的な方法を見つけられていない。

 

 人生信条・価値観から考えて前提と方針部分は揺るがない。対処は、課題をどう乗り越えるかにかかってくるだろう。今のところ協議を一切行なっていないから、初回協議をどこに設定するかで流れが決まるような気もする。とりあえずは、説得材料を整理しておこうと思う。

 

◉やり残したことはなく、強いて言うなら遺族への金銭・物資の配慮ぐらいしかない。

◉一方的に負担をかける存在でいることに耐えられそうにない。

 (有事の際に周囲の足手まといとなること、介護者に何の利点もないこと)

◉配偶者が死去した場合、子に介護負担がかかる。これは避けたい。

◉人生を自分らしく有意義に終えたい。

 

 説得するには、もっと材料が要るだろうから今後も引き続き考えていく。

 

 もう少し人生に執着するのかと思っていたが、自分の中では案外すっきりと方針は組み立てられた。ヴァン・ダインの『僧正殺人事件』やドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』で得られた厭世観が影響しているとも考えられる。特にカラマーゾフでのイワンの譫妄は強烈だった。