延命を望まない人の情報発信 | ALS記

ALS記

2023年2月13日に診断されて、現在進行中。とりあえず仕事は続けています。進行がとても遅い症例のようで、その状況を記録して発信していこうと考えています。

 ALSの疑いが濃くなった2022年10月頃から、この病気の情報をネットで集め始めた。ただそこで疑問が出てきたのが「胃瘻・気管切開は患者本人が選択し、気管切開をしない人は70%くらいいる」という伝聞が多々引用されているにも関わらず、その7割の人たちの発信がほとんど見られないこと。

 

 彼らは何故発言しないのだろうか。不図思いついたのだけど、会社を辞めると決めた人は、その会社内で発言しなくなるというか、しづらくなっていく傾向にあるけれど、それに近しい状況なのではないか、ということ。

 

 その組織を去る人は、社内で積極的な動きをしない。その辺は、私も3回辞めたことがあるし、辞める人を多数見てきたから判る。もういなくなる会社で何を言っても意味がないし、残る人々に悪影響を与えていると受け取られる分だけマイナスになるから、むしろ発言を控えることが多い(ごくまれに言いたいことを言って辞める人もいたけど、周囲の評価は低かった)。

 

 会社=現世と考えれば、既に退職を決めた人々は現世で語る価値を見いだせず、むしろその発言に伴う誤解・中傷を忌避しているのではないか。また、生存を決めた他者への悪影響を憂いているようにも思う。

 

 会社と人生は違うという指摘もあるだろうけど。

 

 ただ、たとえば「とてもやりがいのある、自分にとって有意義な仕事」だったとして、その仕事の業績が悪化して収入が激減したとしよう。それでも、家族に養ってもらってでも続けたいと思うか、さっさと辞めて「やりがいもなく有意義でもない仕事」でもいいから自立できる道を探すか。そういうことに近しいのではないだろうか。

 

 しかしその沈黙は、判断に迷う人にとっては宜しくないと思う。どのような判断材料があったのか、周囲の反応や説得をどのように行なったのか、そして本人が書けないにせよ、その最期はどのようなものだったのか。そういった情報が余りにも少ないと、ALSという病気にどう対処するかの指針が洗練されていかないと思う。