「承りました♪」
「こういう時はこういう感情になります♪」
全ては得た知識より
感情を言い渡される
今どういう感情でいるのが通常か
一般的にどうあるべきか
私らしい感情はどれなのか
1秒ごとに模索している気がしてならない
理性的な私らしさを追い求める
誰かがこれこそが私らしさだというのなら
こんな私らしさいらなかった
「承りました♪」
「こういう時はこういう感情になります♪」
全ては得た知識より
感情を言い渡される
今どういう感情でいるのが通常か
一般的にどうあるべきか
私らしい感情はどれなのか
1秒ごとに模索している気がしてならない
理性的な私らしさを追い求める
誰かがこれこそが私らしさだというのなら
こんな私らしさいらなかった
あなたと出会ったのは何年前だったっけ
騒がしい教室で机に向かい
見上げた窓の外初夏の香りがした
ふわりと気づけば横に立っていた君
それが僕にとっての初めてだった
『知らない景色を見せてあげる』
そう言って僕の手を引く君は
どこまでも楽しそうで
太陽と同じくらい輝いていた
もうここにはいない君を
いつまでも思い続ける僕は
何を待っているのだろう
立ち止まったまま
動き出せば全てが壊れてしまう気がして
下を向いたまま
見上げれば広い世界で独りになる気がして
必死に抱えたまま
壊れるものなんてここにはもうないのに
わかっている
頭ではわかっている
前に進まなきゃと
ただ漠然と
でも聞こえてくるんだ
あの時の音が
教室の帰り道の2人歩いた道の君の家の音が
頭の中オルゴールのように流れ続ける
どうしてもそれを忘れたくはなかった
ずっと聴いていたかった
心はずっと痛かった
でもその痛みすら手放したくはなかった
だからこれは最後の瞬間
想い出はゆっくりと眠りにつく
深くもう目覚めることのない眠りにつく
ちゃんと眠りについた時
愛おしいオルゴールもまた静かに止まった
昔を振り返って
中学生の自分を思い出していた
あの頃は好きなものが好きだった
興味が無くなれば見向きもせず
好きなものが変わることが普通だった
あれから好きになったものが増えて
知らない世界を通ってきた
それからだろう
≪好き≫に少しの恐怖を覚えだしたのは
好きなものが変われば乗り換えと言われ
好きな人が増えると浮気と言われる
そんな世界も見てきた
周りのファンはその人を崇拝し
どこにでも現れる
物品は余さず購入し
現地はお祝いと称し馳せ参じる
それが「推し活」だと
それが「好きである証明」だと
力強く突き付けられた
純粋すぎた自分は
それが正しいと受け入れて
「推し」という言葉を避けるようになった
「好きだけど推しでもないしファンでもない」
自分を正当化するための自己防衛
それを言い訳だとすら思っていた
愚かで真面目で素直なバカは
苦しい気持ちで義務感に駆られていた
唯一よかったのはその模範的行動を
遂行する余裕がなかったこと
その状態で立ち止まり振り返り
回顧し気づけたことにつながった
ここに刻みつけておこう
「好きは義務ではない」と。
「好きは競争ではない」と。
楽しかったものが苦しいものに変わる
それほどまでに悲しいことはない
苦しみながらの「推し活」なんて存在しない
そんなものはただの苦行だ
そうでなければ何かの罰則か
距離を間違えないように選択し
心が動くものだけを
心が動いた時にだけ
好きでいればいい
その心の動きが何よりの「好きの証明」
それが正しいと教えてくれた
好きになった人を信じている
今日は夜
自己肯定感は身体の枠を出て地に沈み
チラチラと様子をうかがっていた承認欲求は
ごほうびが与えられず悲しみ
自己肯定感の自戒によって
納得させられて諦めようともがかされる
そう
ここは雨の降る場所
濁った感情が文字と化して募る場所
幸せな夢で
あるいは切ないファンタジーで
自分を誤魔化すための場所
怠惰なカラスは己を変える行動力を拒み
第2の魂の首を絞めて
無理矢理吐き出させる
その愚行を己と向き合ったことにして飛び去る
いつもの場所へ
無害なフリをした人に姿を変える
薄い膜ほどの優しさだけを貼り付けて
しかし強欲にも愛はほしいと鳴いている
何度も何度も何度も鳴いて
いつもの場所でやっと得た
薄く感情のない義理の愛に
心が少し満たされていく
そのことに苛立つ頭とウラハラな心
ひとつの場所で反発し
少しずつ壊れていくのを自覚する
そうしてまたここにカラスは飛んでくる
首を絞めて己を鎮めるために飛んでくる
にゃー…にゃにゃっ!?
気づけば失いかけていた
自分が自分であるために大切なものを
過去に置いていこうとしていた
困った
とっても困った
どうしようかにゃ
言葉の紡ぎ方を忘れた猫は
二度と物語を書けなのだろうか
言葉の意味を忘れた猫は
二度と人を理解できないのだろうか
言葉を全て忘れた猫は
二度と感動できにゃいのだろうか
二度と愛を語れにゃいのだろうか
きっと数日経てば再び奇跡が起きる
大事なことをきっと思い出す
頭が真っ白になりそうな自分に言い聞かせて
慌ててできることを探した
そうだ手紙にゃ
薄れゆく言葉たちをかき集めて
最後の手紙を残す
拾ってくれた彼女に
ご飯と毛布をくれた彼女に
ここが君の家だよと抱え上げてくれた彼女に
物語を読んでくれた彼女に
笑いあってにゃきあった彼女に
初めて僕を愛してくれた彼女に
必死に想いをこめて
最後にあなただけのために言葉を書きとめる
たとえ魔法が今日でとけてしまって
言葉を話す猫の物語がここで終わっても
ここにいるよ
変わらず僕はここにいるから
ありがとう
今までもこれからも
朝がやってきた
太陽が「やあ」と言うも
雲がニマニマと邪魔をする
止まった頭に止まった視線
せっかく太陽を隠したのに
とくに反応がない私をしばらく見つめ
泣きそうな顔をする雲は白から灰色に変わる
あぁ、今日は雨かなぁ
やってしまったとため息をついて
拗ねて涙目の雲から目を離す
傘を持っていかないと
折りたたみ傘か長傘か
カバン一つを持って家を出た時
遥か高く向こうから
「HAHAHAHA」
他人事のような笑い声が聞こえた
ゆら〜ゆら〜
橋の上でガタッガタッ
駅に近づいてひゅぅーん
シーン
そしてまた走り出してゆぅーん
ゆら〜ゆら〜
駅のたびに雰囲気が変わり
過ぎる景色も変わっていく
幾度か落ち着き幾度か嫌な気持ちになる
自分は動かなくても
変わらずにいることなど不可能なのだと
思い知らされる
秋の車窓に見える景色は
穏やかになってきた気温とはウラハラに
騒々しい街並みで満たされる
憂鬱な頭で視界に注意を向けると
窓はスクリーンのように私の記憶を映し出す
後悔も苛立ちも恥ずかしさも
全ては私にしかないもの
他の誰も覚えていないもの
安堵と寂しさと不安の混在
この全てを愛しく思える日が来るだろうか
今年もまた
思い出すには若すぎた秋だった
もう季節は巡ってこない
お母さんとお父さんが泣いてた夕方
私はそれに気づいた
生命の多くが一度幕を下ろす季節
何も悲しくなんてなかった
なんでかな
不思議だけど自分のことはわかるもので
今という短い一瞬に
どれだけ幸せを詰め込めるか
私の大きな挑戦は始まっていた
まずは大きなバニラアイス
アツアツのブラックコーヒーを垂らして
少し溶けたところを頬張る
その時は今ならいけると
苦手なブラックも克服してやった
高くて手が出せなかったお洋服
似合う間に着るために買っちゃった
早朝の始発に乗り込んで
現実逃避を試みる
歌にはそうあったけれど
やってみてもよくわからなかった
とてつもなく高いお酒を買って
いつもの4人と一緒に空ける
あんまり強くない私は早めに止めて
ぐでぐでの友達を見て大笑い
楽しい日々だった
今までで一番笑いの絶えない日々だった
なんでもできる気がしてた
たった一つだけ
勇気が出ないことがあった
それはあの人に
気持ちを伝えること
あの人に想ってもらうこと
友達以上にはなれたけど
恋人にはなれずにいた
私は優しくてあの人も優しくて
もし伝えてしまったらと考えて
あの人への罪悪感で胸が痛んだ
恋って何だろう
ろくにしてこなかったせいでよくわからない
みんなどうやってるんだろう
痛い。痛くて切なくて寂しくて。
愛したい。愛してほしい。
わがままな自分を抑えるのに必死になる
あなたと話すと自分に自信が持てないの
陽はもう帰って
月灯りが2人を照らす
上手く笑えてるかな
一緒にいてもいい存在になれているのかな
告白していいよって判断してくれる機械があれば
どれだけ楽なんだろう
せめて涙は見せないようにベッドの上で微笑む
持ってきてくれたかわいいもこもこ毛布を羽織る
あなたは楽しい話をしてくれる
あなたは優しくて私も優しいから
話題も言葉選びも気遣いも
私は全部知ってる
会話のはじめに抱いてた不安も
あなたと話していうるちに
心地よさで全て包み込んでくれる
その笑顔であたためてくれる
でもね
私は優しいけれどわがままだから
「実はね」
「好き」
言ってしまったその言葉
あなたは私の目をまっすぐに見てくれる
あらら気づかれていたのね
鼓動がうるさい
なんで言ってしまったんだと
私が私に叱ってる
後悔ととめどない悔しさと大きすぎる気持ちが
自分の内からしずくとなって溢れだす
「ごめん」
「ごめんね」
優しいあなたには効くはずもないのに
精一杯の笑顔でごまかそうとする
あなたは目線を外さない
いつも私をまっすぐ見てくれたその瞳
今も私を捉えてる
あぁ
やっぱり
あなたは私より優しすぎるのね
その目から私のとよく似た涙が溢れだす
「うん」
「知ってた」
2人で泣きながら笑った夜
これ以上の幸せはないでしょう
「あのね」
「何も答えないでほしいの」
私は優しいけれどひどいから
あなたには答えさせてあげない
「なんでだよ」
「言わなくても分かるって?ひどい」
あなたは優しすぎて
私のひどさをわかっているのかな
他愛もない話に戻った後
「もう帰るね」
そう言ってあなたは去っていった
私は初めてこの場所で声をあげて泣いた
わたしはただ愛されたかった
愛したかった
あなたと一緒にこの先も
今あなたから欲しい言葉は
たった一つだけなのに
拒否した自分を許せなくて
恋した自分を許せなくて
あなたがその言葉を口にしたら
私は幸せと悔しさでいっぱいになりそうで
優しすぎるあなたが大好きだから
あなたの心に形ある傷を残したくなくて
言わせたくなかったの
バンッと勢いよく開いたドアの音
顔を向ける前にギュッとされ
「好きだよ」
「後悔なんてしない」
「君を好きになれたことは僕の幸せなんだ」
震える声が聞こえた
今夜人生一番の幸せを2回もくれた
やっぱりあなたは優しすぎるのね
ゆるやかに
シルクで首をゆるやかに
そーっと気づかれないように
今日を殺す
私は悪魔
今日だけを生きる悪魔
過去の記憶を引き継ぎながら
毎日生まれて死ぬ悪魔
何もいなくなった暗闇で
ゆらりゆれる薄明かりの下
いくつかの古傷をなぞる
指、足、背中、手首に顔
どうやって傷ついたか
あるいは傷つけたか確かめる
それだけが唯一
心の平穏を取り戻してくれる
これは生きてきた証
痛み苦しみながら
それでも生きてきた自分を
褒めるための証拠品
心の古傷はダメだ
身体みたいには塞がらないから
薄いベールを被せて
見ないようにしてるだけ
それは見てはいけないもの
見たら絞める首を間違えてしまうから
決して目を凝らしてはいけない
「今日も生きててえらい」
そんな言葉を口にしながら
笑う私
『君はいつからおかしくなってしまったの?』
悲しき声がたまに聞こえる
そんな時はそれを頭から追い出すだけ
追い出し方はその日の自分次第
あーあ
また証拠品が増えちゃった
愛しき新しいお仲間を
あたたかく迎え入れるぬくもりを感じる
本当に殺したい存在はただ一つ
私の中に残る者
煩わしく私に問いかける
過去の私共の思念
私が私である前の人間であろうとした
人間であった頃の私達の怨念
この身をじわりとほぐし続ける影
昼は人の面を被る
他人が笑えば笑い
悲しい顔をすれば悲しい顔を
鏡のように反射する
そうやって私は続いていく
理解などされない
表面だけの
それも間違った共感などには飽きた
私は悪魔だから
悪魔だから分かってもらえないことも
存在を認められないことも
至極当然のことであり
毎日今日だけ生きるという解放を選ぶのだ
さようなら私よろしく私
遺言はそれだけ
あ、絞める首は間違え…
この感情はどう食べよう
少し眉をひそめて考える
砂糖をかけてハチミツを塗って
ホイップクリームをのせて
カラースプレーをふって
どうにか食べられる状態にした
息を止める
一気に頬張る
甘い。酷く甘い。
その後から強烈な苦味。
大きくて水分が少なくて
噛むのも飲み込むのもままならない
冷や汗を流しながら
目をぎゅっと瞑って
限界がきたから半強制的に飲み込んだ
ため息が出る
不味かった。
今度はこっち
その辺で手に入るよく出会う
あまり味がしないもの
そこまで美味しくないはずなのだけれど
さっきの後だとかなり美味しく感じる
無表情で食べられる
それだけでもそこそこありがたいのか
しばらく経って
次はこの感情らしい
なんて美味しそうなのだろう
少し手にとって食べてみると
とてつもなく幸せの味がする。
ふわふわと宙に浮いた
もしこのまま全部食べてしまったら
どうにかなってしまいそう
これは求肥に包もう
美味しすぎないように
我を保つために
この感情は認めてはいけない
虚ろな名前がつく前に
あまり噛まずに飲み込んで
全部消化してしまおう
あぁ。美味しい。
目頭を押さえて
いっぱいの喜びと心地よさと幸せを。
少しばかりの寂しさを添えて。
ふぅと一息
ご馳走様でした