雨詩 烏 -11ページ目
明けない夜
冷える体を毛布でくるみ
窓を開けて白い息が漏れた
星が空を流れていく
キラリと光る一筋
厚く灰色の雲の上
間隙から除いた先に
一体何が広がっているのだろう
星のない空に目を閉じる
…
…
僕は流星
ここより遠く恒星達が煌めく暗闇で
星々を横目に通り過ぎる
音はしない
空気がないから
ただただ何もない場所を揺蕩い続ける
ふわふわと
ゆらゆらと
悠々と暗闇を縫っていた僕は
やがて青くきれいな星を発見する
少し覗いてみようか
ぶわっ
これまで感じたことのない抵抗
負けるものか
ゴオォォォオオォォォオオオオ
食いしばって進むと初めて音がした
やがて僕の体は輝きだす
僕は今燃えている
まるで恒星のように輝きを放ちながら
この先を目指して燃えている
やがて僕の体は燃え尽きるだろう
ひとひらの欠片も残さず
それでもかまわない
なぜなら今
俺は最高に燃えt
…
…
ゆっくりと目を開け
見えない星に願いをかけて
僕は窓を閉めた
きれいな花を愛せたなら
やさしい人を好きになれたら
醜い自分をゆるせなくても
少しは自分の良いところをつくりたい
嫌われたくなくて
何も言えなくて
自分のことを
心のどこかであきらめた
それでも
やっぱり
自分のことを
永遠に嫌いにはなれないらしい
変わらない自分の悪いところも
変わってしまった良いところも
ひとつずつ ひとつずつ
すくいあげて
「それでもいいんだよ」と
ゆっくり愛したい
誰も傷つけないように
考えて考えて考えて
話そうと決めた本音
伝えようとした途端
飲み込んだ
…返された言葉を受け止められるだろうか
傷つけたくないと建前をかざしてみたが
傷つきたくないだけだった
逃げた言葉たちはもう戻らない
聴いて欲しかった話を
「ごめん、大したことないんだ」
と引きつった笑顔で終わらせた
誰にも何の感情も生ませないように。
朝も歌が聞こえた
「元気に生きて行け」と
そんな力は無いと
目を背けた
昼も歌が聞こえた
「あなたが好きだ」と
そんな人はいないと
耳を塞いだ
人に元気を与える詩を
書いて誰かは前を向くのだろう
人に感動を与える詩を
書いて誰かは動き出すのだろう
全部僕には届かない言葉達
今傷ついているわけでもないのに
今はのんびりと過ごしているのに
明るくポップな歌たちは
僕を置いて誰かの元へ行く
そりゃ悩みは尽きないさ
この先も自己嫌悪は続くだろうし
埋まらない心の穴はどうすればいい
空虚な波に何かを求めてしまう
夜も歌が聞こえる
「もう生きていけない」と
ああ、その通りだよと
目を閉じた
人に届いてもどうしようもない詩を
受け取った僕は涙を流している
大切な心の穴を確かめるように
今僕は必死に歌をうたっている
今僕が進むのに必要な歌を
明日などないと叫ぶ歌たちは
僕の腕を明日へと引いていく
一緒に傷跡を裂きながら
偉そうな明日への扉を蹴り破りに行く
たどり着いた僕らはどうしてるだろう
すがすがしい笑顔でいられる気がした
何度説明をしただろう
何度言い訳をしただろう
「あなたは成長しないね」
哀れみと共に発せられたその言葉
思考を心臓を止めるほど鋭利な凶器だと
なんで気づいてないのと怒りながら
影でわんわん泣いている
成長しない僕は
成長を諦めている
これでいいと思っている
言い訳なのか新しい観点なのか
自分らしさなのか卑屈なのか
変わらなければならないという恐怖
どれがまともだという強迫観念
今にも心が潰れそうで擦り切れそうで
ギリギリの状態を保ち続ける僕は
変われない
今もぐちゃぐちゃの頭は死んでいる
曖昧な恐怖はなんだろうか
カラスが怖い人がいる
毒も持たない虫が怖い人がいる
大概の人間は言う
「なんか黒いし怖いし気持ち悪い」
人間は利もなく命で遊ぶのに
無意識あるいは意識的に、快楽的に、悦楽的に
種なんか関係なく誰かを傷つけて
誰かの中の何かを殺すのに
どうか世界は世界のために回っていて
自分は誰かの下位互換
あの人はあれはできて自分はこれができる
そんなの表面でしか見てない
自分の「これ」が
いかにどうしようもなくて
なんの意味もなくて
「あの人」が少し手を伸ばせばすぐ届く
淡く光るだけのごみに意味なんてあるだろうか
私はあなたの下位互換
眩しさから目を逸らし
仲良いフリを必死に続けて
ぐずる劣等感を押し殺す
羨望の眼差しは最初から嫉妬だと
そう理解した時
ただの下位互換になったのです
好きなものが増えていくたびに
悲しくなる自分がいる
自分の中ではとっても大切なものの一つなのに
僕はあなたの特別になる何かがない
何年来のファンだと周囲には言っても
そこには自分より熱心なファンがいて
世界に対して口を閉ざしてしまう
それでいい。認知なんて求めてない。
そう割り切る自分もいて
「ファンに向けた言葉」を
自分のことと素直に受け止められない
無情にも飽きやすい性格だと
自分をよく分かっているから
熱心に応援して悲しませたくない
矛盾に揉まれる自分が情けなくなって
迷いながら明日も推しの誕生日をお祝いする
あぁ
そうか
帰ってきたのか
明日からまた日常
恐ろしい日々がはじまる
嫌だ来ないで誰か
劣等感と孤独感
複雑に見えて実はすごく単調で
気まずさに吐き気を覚えながら水を飲む
その水は甘いのか苦いのか
無知の恐怖と嫌悪の恐怖
君は知らないだろう
僕が君を嫌うことにどれだけ疲れているか
そんな自分も嫌い
こわい、ぜんぶこわいよぉ
泣きながら蹲るその姿はどう見ても子供で
自分の本質はただの子供だと理解する
祈る神は持ち合わせておらず
息を潜めて時間に気づかれないように
いつかくる死を待っている
からっぽな心
電車に揺られる身体
空虚な存在はどこに行くのか
そんな妄想をする
原因不明の不安で溢れた心
揺れになんとか耐えようとする身体
考えることをやめられない
目も耳も情報で塞ぎ自分を無理矢理空虚にする
行き場を求めて啜り泣く亡霊に取り憑かれた
彼はどこに行くのか

