(1)日芸とSFCが大学入試小論文(作文)の双璧
私が長年、大学入試入試小論文の指導をしていて思うのは、SFC(慶應義塾大学総合政策学部・環境情報学部)と並んで、指導が難しいのは日本大学芸術学部(以下「日芸」と表記する)の作文だということです。
(偏差値から考えて)日大のどこが難しいのか、と疑問を持たれる人がいるかと思います。
日芸は、小論文のほかに作文があり、この作文が非常に厄介でクセモノなのです。
(2)日芸の作文を教えることができる教師はいない
これは断言してもいいですが、日本で日芸の作文をきちんと教えることができる学校の教師や塾・予備校講師はいない。
彼ら彼女らは作文も小論文と同じように指導するから、指導法を必ず間違える。
市販の参考書でも、小論文を解説したものは数多くありますが日芸の作文を意識して作られた教材は皆無です。
だから、日芸を作文で受けようと思っている受験生は、参考書は読まないほうがよい。
読むにしても、原稿用紙の使い方や句読点の打ち方などといった、基礎の基礎だけ参考にして、あとは放置、というほうが身のためです。
(3)作文は小論文とはまったく別物
なぜ日芸の作文が厄介かというと、小論文の書き方の真逆を行かなければならないからです。
ふつう作文というと、小学校のときに書かされたものを思いだす人が大半でしょう。
そして、こう思うはずです。
小学生にでも書けるのだから簡単だと。
とんでもありません。
作文は小論文とはまったく別物です。
今日は日芸の作文が小論文とはどこが違うのか、という話をしてみたいと思います。
(4)作文は小論文とは逆の方法で書く
作文の書き方を解説する前に、小論文の書き方の解説から始めます。
とくに重要と思うところだけをピックアップしていきます。
①自分の意見を書く。
②意見には必ず根拠や理由を付ける。
③結論に至る考え方を論理的に書く。
④論理の飛躍は許されない。段階を踏んで、一つ一つ筋道を立ててきちんと丁寧に考えて書く。
⑤結論は強く、断定的に書く。
小論文のツボと思われるところをザっと5点挙げました。
作文はこのすべてを全部否定した形で書かなければなりません。
そのためには、小論文の授業を受けている受験生、小論文の参考書を読んで自学自習している日芸受験生は、小論文とは反対の方法を意識して書く必要があります。
これをきちんとできれば、かなりいいものが書けますが、大半の受験生は途中でわけがわからなくなります。
だから、日芸の志望者は最初から小論文の参考書は読まない、小論文の授業は受けないほうがいいのです。
(5)作文の書き方
作文は小論文の方法で書かない、という否定的な言い方をしたので、これを読んだ受験生の頭はかなり混乱しているのではないかと思います。
そこで、今度は肯定文で日芸の作文の書き方を解説します。
①自分の感想を書く。
これは随筆(エッセー)と思ってください。思いついたことをつれづれなるままに書いていくのです。
②意見は絶対に書いてはいけないというわけはありませんが、意見や感想を書く場合でも、根拠や理由はなるべく避けたほうがいい。
これを書いてしまと理屈っぽくなって文章がつまらなくなるからです。
③自分の感性や感覚を大事にして書く。
日芸では、論理ではなく、感性や発想を重視します。
たとえば、「虹を渡ってまだ見ぬ世界に行く」という文章には、論理や理由・根拠はありません。
この「虹を渡る」という発想は月並みですが、これをもっと大胆にして、豊かな感性を巡らせて自由な発想でのびのびと書くことを心掛けてください。
先ほど、作文は随筆(エッセー)と言いましたが、小説を書いてもいいのです。
④小説や物語の筋道をところどころ省略して書く。
いちいち、一つ一つを説明しない。最初に主人公や場所、時代を説明しない。
文章を読み進めていくにつれ、読者がしだいに5W1H(いつ、どこで、誰が、何をした、なぜ+どのように)がわかるような仕掛けを施していく。これが作文を書くときの一番の難しさになります。
説明しないで、登場人物の動きや台詞、情景描写で、伏線を張り巡らせながら、最後の一文を読んで全体像が明らかになるような文章を書くことに徹します。しかも、すべてがわかるのではなく、あえてぼかして書くことで、経緯や結末を読者の想像に委ねるほうが、文章の味わいが深くなります。
省略して書くことで、読者はいわゆる「行間を読む」ことができるのです。
結末をあえてしっかりと書かずに、途中でぶった切る、という方法もあります。
読者にとってはやや欲求不満ですが、もっと先を読みたいという感覚を読者に持たせることが狙いです。
流行作家は連載小説でこの手法を用いています。これを用いることで、日芸の採点者に対して、受験生は自分が連載ものを書ける才能を持っていることをアピールすることができます。
⑤結論の書き方もパターン化できないので、自由に書いていい。
結論という表現は小論文的なので、むしろ、最後の締めくくりとでもいいましょうか。締めくくる文章は強く書いてもいいし、ぼかして書いてもいい。全体の流れで最終段落は決まります。
小論文では起承転結があり、作文でも同様の流れをもたせたほうがいい。その点は作文も小論文も共通しています。
小論文では、最終段落で結論、言いたいことを書いてまとめるのですが、作文は文章全体で言いたいことを書くというスタンスです。
ショートショートのように、最後にオチを持ってくる構成は避けたほうが無難です。
ショートショートは星新一が生み出した独特のスタイルで、天才の彼だからできる手法です。
短い字数でオチをつけたショートショートを書いても大半が失敗します。
👇こちらもご覧ください。
(6)日芸の作文をオンラインで個別指導します。
どうですか。ここまで読んできて、日芸の作文がいかに小論文と違うのかをおわかりいただけたかと思います。
こうした日芸独特の書き方を自覚して指導している教師は、おそらくいないのではないか。
ほとんどの教師は、日芸の作文を小論文と同じように指導している人が多いかと。
私(朝田隆)は、今まで、以上のような方法論で個別授業を指導し、日本大学芸術学部に多数合格させています。
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