監督 アンソニー・フィリップソン
脚本 フィリップ・ラルフ
撮影 ティム・クラッグ
編集 ダンカン・ヒル、サイモン・バーカー
出演 エイダン・マクアードル、アンドリュー・ヘイビル、レイチェル・バリー
2024年度 製作国 イギリス 上映時間 1時間16分
「私は好戦的な平和主義者である。平和のためなら戦う」と言う信念を持っていた
アインシュタインが、トルーマン大統領宛てに送られた、ナチスドイツよりも先に
原爆を開発するように促す手紙にサインしたことは大きな過ちであったと、
後に罪悪感に苛まれていますが、ナチスのユダヤ人迫害でイギリスに亡命した
アインシュタインが、なぜパンドラの箱を開ける手伝いをしてしまったのかを、
当時の記録映像とアインシュタインが残した言葉を基に構成された作品です。
「戦争には勝った、でも平和にはなっていない。」ネットの普及で新たな全体主義が生まれ、
ヒトラーが死んでも、新たなヒトラーを生み出す環境にある現代、アインシュタインが
後世に残した言葉「人類の進歩は、私たちの倫理観の成長に懸かっている」が持つ意味の
重さを感じて、今この瞬間に起こっている悲惨な現実に向き合っていく勇気が、
私たちに問われています。
原爆の父オッペンハイマーを描いた作品が、日本でも漸く公開される運びとなりましたが、
鑑賞される予定のある方は、本作はタイムリーな作品として、観ておく価値がある(Netflix
で配信中)と思います。