ありがとう、トニ・エルドマン(マーレン・アデ監督作品) | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう

監督・脚本 マーレン・アデ

撮影 パトリック・オルト

編集 ハイケ・パープリース

出演 ペーター・ジモニシェック、ザンドラ・ヒュラー、イングリット・ビス

2016年度 製作国 オーストラリア/ドイツ 上映時間 2時間42分

 

 

常に結果が求められる経営コンサルタントとして自分を殺して生きる娘を心配した父が、

トニ・エルドマンと言う別人に変身して娘に近づき、人生で大切なものに気付かせようと

奮闘するヒューマンコメディで、子離れできない父に翻弄される娘の関係を見ていて、

「男はつらいよ」の寅さんとさくらの姿が重なって見えていました。

 

 

♪まず自分自身を愛することが 最高の愛なのだから 

それでもいつか かけがえのない場所で あなたが夢見続けて 

寂しさに捕らわれても 愛の力を信じよう♪と

娘が父のピアノ伴奏で歌うホイットニー・ヒューストンの「GREATEST LOVE OF ALL」

やブルガリアの春の祭りで活躍する、悪霊を追い払うためのクケルの着ぐるみを纏った

父と娘が抱擁する場面等感情表現の見せ方が秀抜で、何よりも監督の思いに答えて、

表情だけではなく全身で感情表現をした娘役のザンドラ・ヒュラー(今年のアカデミー賞

の脚本賞「落下の解剖学」と国際長編映画賞「関心領域」の両作品に出演して、

主演女優賞にもノミネートされた)の神憑り的な演技は、一見の価値ありです。

 

 

 

全般ランキング
全般ランキング